あらすじ
無印良品、ファミリーマート、パルコ、西武百貨店、西友、ロフト、そして外食チェーンの吉野家――。
いずれも日々の生活でなじみのある企業であり、知名度の高いブランドだ。
これらの企業が、かつて同じグループに属していたことを、知らない世代が増えている。
これらはいずれも、堤清二という男が一代でつくり上げた「セゾングループ」という企業集団を構成していた。
小売業にとどまらず、クレジットカードや生命保険、損害保険などの金融業、ホテルやレジャー、食品メーカーまで、多様な事業を展開してきた。
2000年代、セゾングループは解体された。だがそれぞれの企業を見れば、堤が育てたセゾングループの価値がより鮮明に分かるはずだ。
現代の消費市場をリードするのは、米アマゾン・ドット・コムに代表されるIT企業だ。
インターネット通販やスマートフォンが爆発的に普及したことで、消費スタイルも根底から変わりつつある。
ものを所有しないシェア消費や個人間売買など、新たな流れが広がっている。
大きな変化が起こっているのは確かだが、人々の生活意識や買い物のスタイルがこれからどう変わっていくのかについては、企業も消費者も視界が晴れない。
そんな中で、堤とセゾングループがかつて持っていた特有のエネルギーを検証することは、未来の消費の行方を知る大きなヒントとなるはずだ。
新たな価値を生み出す発想力や、現状を否定してイノベーションを起こす柔軟性――。
閉塞感が漂う現代だからこそ、セゾングループのかつての哲学を掘り起こし、分析することに大きな意味がある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
緻密に関係者の証言が取材されていて、内部のリアルが可能な限り炙り出されている。堤清二とセゾングループを包括的に知るには優れた本で、今最も読みたかった本。現在の無印良品のフィロソフィーにどう堤清二の思想が生きているのかを知れた事が良かった。事業の歴史や成り立ちを知る事は大事。
Posted by ブクログ
『コト消費』は最近の言葉ではない。
小池一子さんなどのコピーライターを採用し、クリエイティブチームを作った。
ブランディングの重要性をひしひしと感じる。
昔のセゾングループから無印良品・PARCO・西友・ファミマ・西武百貨店が生まれている背景を振り返ると滅茶苦茶面白いね。
Posted by ブクログ
1.地方ではあまりみませんが、東京にいけば必ず見ると言って良いほどの有名会社のことなので、なんとなく面白そうと思って買いました。
2.セゾングループを一から作り上げ、日本を代表する企業に成長させた堤清二社長の経営者としての道のりを記しています。現代の小売業はセブンとイオンの二強ですが、セゾンとの違いは、専門店を新しく生み出していないことです。2つ企業は、自社内でいかに大きくしていくかと言うスタンスです。しかし、セゾンは堤社長が部下にアイデアを投げ、それを具現化し、専門店として成長させていくスタンスです。この違いは組織風土の形成に大きな役割を与えています。いわゆる大企業病を撤廃し、常に斬新なアイデアとフットワークの軽い企業を維持したかったのだと思ってます。一般的な大企業の社長とは考えが違い、組織風土を積極的に変える姿勢が強く見えます。
3.堤社長の常に先を見る目はどうやったら養っていけるのだろうと考えながら読んでいました。かといってこれから売れるものだけに焦点を絞るのではなく、自分が魅力的だと思う要素をしっかり入れつつ、部下に会社を立ち上げるようにしています。
また、親戚達への反骨精神からセゾンの躍進を成し遂げてきた面もあり、楽しく読めるようにもなっています。やはり、他人よりも何倍もの努力を積み重ねた結果が惜しみなく出されているのだと思います。
Posted by ブクログ
偉大な経営者! 何より創造的-日本にはいないタイプ
新しい業態を次々に創造-文化が中軸 未来先取り
①商品よりライフスタイルを売る
②モノ消費からコト消費へ
③店をつくるのではなく、街をつくる
「セゾン文化」
西武百貨店 PARCO 無印良品 ファミリーマート
主人公はヒト
しかし晩年は「資産バブル」銀行債務に押し潰された
弟の堤義明と父への対抗心が深入りさせ過ぎたのか
本来は、金のボリュームに価値を見出す経営者ではない
現代の閉塞感にこそ彼の存在が求められるがいない
脱収益至上主義・資本第一主義には「彼の文化主義」
彼の存在は早過ぎたのだろうか? 2020/04/30
Posted by ブクログ
西武セゾングループ、堤清二について網羅的に扱った本で非常に読み応えがありました。
西武セゾングループが最終的には解体され、経営者の責任を問われた堤清二ですが、そこから10年以上経った今だからこそ、冷静に、かつ客観的に見えるものがあると思います。
堤さんの目指した文化戦略、反骨精神に学ぶところは多いですね。
Posted by ブクログ
この本は知り合いの経営者に教えていただきました。読む前はセゾンと聞いてセゾンカードという単語しか出てこなかったです。
無印良品や西武百貨店を経営する堤氏の「現状を否定する」考え方が、テクノロジーが発展する今求められている考え方だと思いました。
文章から堤氏の経営に対する情熱が感じられ、非常に感銘を受ける良著でした。
Posted by ブクログ
長年、取材を重ねてきた記者の書。
メチャメチャ面白かったです。
80年代後半から90年代初頭のセゾンや西武百貨店は、感性豊かで好きでした。無印良品、ロフト、今でも好きです。
西武鉄道の不祥事から上場廃止になった時は、とても残念でした。堤家のごたごたは、当時あまり興味がなくよく知ろうともしなかったのですが、本書でよく分かりました。
(この章だけが、暗い印象です)
最終章で、人間としての堤清二に視点を戻して頂き、改めてクリエイティブなセゾングループの余韻に浸ることができました。
Posted by ブクログ
西武百貨店 対 無印、パルコ、ファミマ、ロフト。
軸を育てて、自己否定をするような対軸も育てる。結果、両方とも存在感を増す。
すごいとしか言えない発想。
ダイエーの中内功を書いた「カリスマ」と対比して読みたい。
Posted by ブクログ
西武百貨店を足がかりに、無印良品、パルコ、ロフトから吉野家に至るまで、日本の流通業に大きな足跡を遺したセゾングループ。総帥だった堤清二氏の生き様を、様々な関係者のインタビューで再検証したドキュメンタリータッチの一冊だ。
なぜ無印良品が生まれたのか、なぜ電車もないつくばに西武百貨店ができたのか、なぜ吉野家を引き受けたのか。
セゾングループというとバブル崩壊後の経営危機、そしてグループ解体というところに注目が集まりがちだが、一つ一つのエピソードを目の当たりにすると、セゾングループが世に問うたことが、時代の先を行き過ぎたということに気がつく。「もし」が禁句なのは承知しているが、今なら受け入れられたものもあったように感じた。
マーケティングの教科書としても読めるし、日本の産業史としても人物史としても読める。私にとって、ここ10年で一番の本だった。
Posted by ブクログ
セゾングループ発の某企業を傘下に収める会社に勤めており、会社から勧められて購入しましたが、正直、非常に面白い本でした!80年代後半生まれの私はセゾン全盛期を知らなかったので、西武とパルコ、Family Mart以外にも、無印良品、ロフト、JWAVEがセゾングループ発だったことは全く知らず、これだけの専門店企業群をセゾンが生み出していたことは驚きでしたし、糸井重里さんをはじめ、多彩なクリエイターとキラキラした広告を作っていたことも知りませんでした。今の日本の消費文化の源流の一つを間違いなくセゾングループが作ったと感じました。経営者としては賛否両論な部分もあるかもしれませんが、熱量があり生粋の文化人であった堤氏のような方の下で一度働いてみたかったなぁと思います。
Posted by ブクログ
西武もパルコも無印もロフトも生み出した堤清二という人。
幼い頃の記憶の断片と重なって、ああ、セゾン文化の恩恵を受けて育ってたのだなと思った。
小手指の西友に行く時はワクワクしたし、映画館は西武から新所沢パルコだった。西武に行ったら必ずロフトも無印を見て、waveで洋楽のCDを買ったような。本屋はリブロだったはず。
量販店ならぬ質販店、
ブランドへのアンチテーゼで始まった無印良品、
裕福な家庭で育った自分をどこか否定し長靴で来られる百貨店を作った堤さんは、こういう気持ちでサービスやブランドを作り上げるのが大事なのだと思える人柄だった。
Posted by ブクログ
私の青春時代、西友の中に普通に無印があって、一人暮らしを始めた私に母「無印でいいから必要なものを買いなさい」なんて言ってたっけ。今では国民の大多数が認めるライフスタイルブランドになっているけども。
無印にしてもロフトやパルコにしても、商品を通して国民のくらしを変容させるビジョンに共感するし、そこは軽井沢などをリゾート地にして中流階級の余暇を変えた堤康次郎にも通じているような気がします。
無印が最近調子いいみたいだけど、そういえば昔ダイエーの中に入ってたドムドムも最近話題になってきてるよなー。なんて気になってダイエーグループの現在も調べてみたらセゾンより全国に展開していたし(解体も半端ないけど)、セゾンの堤氏とダイエーの中内氏の思想なんかを比べてみるのも面白そう。
それにしても、強い哲学とビジョンを持ち、バイアスブレイクを意識し行き過ぎた資本主義や高級志向を疑い否定する堤氏のスタイル。現代においても必要になってくる姿勢を社員にも示してしたにもかかわらず、イエスマンは必ず発生したり、買収するしないゲームになったりで、やっぱり規模が大きくなると経営ってむずかしくなるよな...という諸行無常感を感じたりします。(今でも拡大し続けているイオンやファストリはホントすごい)セゾンは財務管理に問題があったのでは...という見方もある。
Posted by ブクログ
部長からいただいた。
抗生剤のせいで、頭がぼーっとすることもあり、思ったより時間がかかったけど、これはたしかに色々と歴史の教訓が見つかりそうな会社だ。
・反体制
・自己矛盾
・理想主義(文化の発信)
・効率性一辺倒ではない、人間重視の世界観
・先見性、優れた構想力
・事業管理への関心の低さ(事業立ち上げに比重)
・ゆるい規律(ファミマとセブン)
・オーナー一族
・不動産投資、大型開発(結果的にこれがとどめ)
・多様な事業会社
・専門店に生き続けるセゾンDNA
・次世代経営者がたくさん育った(忘れてはならない堤の足跡by著者)
・努力を重ねた人
・裸の王様は避けられず(監査を活用してください)
Posted by ブクログ
セゾングループを作った堤清二についての本。
弱小百貨店で、ラーメン百貨店と当時いわれていた赤字の西武百貨店を任せられながら、様々な文化的なコンセプトを発案し無印良品、、パルコ、ロフト、ファミリーマートとブランドを作り、セゾングループを成長させた。
だが、バブル崩壊と共に、セゾングループは解体していく。
何十年も前から「モノではなくコト」を優先していた先見性に驚く。
そのための、文化的なコンセプトの発案、それを現実にする推進力がすごい。
ただ、本文に記載さているように、自分の案が実現されてしまうと興味がなくなってしまう。なので企業としての採算の確保部分がどうしても甘くなる。
高度経済成長、バブルと皆が豊かになることが、世界が豊かになる事態にはとてもフィットしたやり方だが、経済成長がゆるくなると精緻な経営が企業の基礎体力維持のために必要になってくる。
アイデアを出しながらどんどん推進していく堤さんの帝国の中で、お目付け役の大番頭のように企業の屋台骨をしっかり安定させる人間がいればよかったのかなとも思う。
堤さんの権力が絶大すぎて忖度や根回しによる決断の遅れなど、大企業病的な性質も現れる。
どこの企業も成長期が終わり安定してくると陥る状態だろう。
百貨店が苦戦を強いられる中、今までの百貨店の歴史を振り返り、社会の変遷に対しての栄枯盛衰が分かる部分も面白かった。
Posted by ブクログ
物心がついたときには丁度バブル経済が破綻しかけていた自身にとって、セゾングループという存在は一種の謎めいた企業体であった。セゾングループが、なぜ企業体としての経済成長と同時に、ある種の文化的爛熟さを提示することができたのか。それが私にとっての謎であった。例えば、中学生のときから私が愛聴してきた日本が誇る作曲家である武満徹。彼の生涯を追うときに、セゾングループが主催した事業「MUSIC TODAY」の存在は欠かせない。その支援は、いわゆる企業メセナ・CSRといったものとは違う立ち位置に感じられていた。
その答えは、セゾングループのドンたる堤清二に迫る他ない。本書は長らくセゾングループを日経の記者として取材した著者によるルポルタージュである。
本書の問題提起は、バブルの最中で不動産等の過剰投資によりセゾングループを崩壊に追い込んだ堤清二の負の側面ではなく、正の側面を照射しようとする点にある。例えばその正の側面とは、無印良品、パルコ、ロフト、ファミリーマートといった今でも別資本の元で活躍を続ける種々の企業体の創出。また、美術・アート・コンサート等のいわゆる”コト消費”の先駆け。こうした観点から、関係者のインタビューを元に本書では堤清二に思想を明らかにしようとする。
時間が経つことで負の側面がマイルドになり、それまでは隠れていた正の側面が浮かび上がってくるということは往々にしてある。歴史的再評価とでも言おうか、本書を読んで堤清二の生き方は十分それに見合うものであるということを実感した。
Posted by ブクログ
西武百貨店、クレディセゾン、良品計画、ファミリーマート、ロフト、パルコ、吉野家、西友、といった企業が1つのグループから生み出されたと言われてもピンとこない人がいるかもしれない。
外資のや他社傘下に入った企業もあるが、今もなお日本のマーケットを牽引する専門店が綺羅星のように存在するグループ。
それを作り上げた堤清二氏。
バブル崩壊とともに経済界から姿を消したと記憶していたが、こんな風に世の中を、未来を見ていた人なんだと初めて知った。
物を売るという商売ではなく、ライフスタイルを提案するという事に重きを置き、その実現のために自身の人生を賭けた。今の世を見ているとどのように感じられただろうか。
私自身もこれから先の10年、20年を見据えて、世の中の役に立つ事ができるだろうか、そんなことを実現したいと考える上で非常に参考となった気がする。
Posted by ブクログ
セゾンって大学に入ったときに絶好調だったから、もう本当に完成されたものだと思ってたけどそんなことなかったんだね。藤沢のlibroでテニスボーイの憂鬱のサイン本を買ったことを覚えているし、本のレイアウトの感じもうっすら覚えてる。駒沢大学にもあったよね。こんなところで大丈夫かなーと思ってたら大丈夫じゃなかったんだけど。あと、セゾン美術館のクリムトとかね。あれ、すごかったな。ニューアカのねじろの池袋にはあまり行ったことがなかったけど。クアトロはクラウドベリージャムとか見た。それからPHATか。でも、どんなに文化的に優れていても、どんなにかっこよくても、続かなくっちゃいけないんだよね。ということを自分への戒めとして読みました。
Posted by ブクログ
日経MJ編集長による堤清二の評伝。
…面白いのは無印良品とロフト、西武百貨店の説明までで、インターコンチや吉野家についてはもう一つ掘り下げられていない。そもそもセゾングループで最も成功した例の一つはクレディセゾンな筈だが、あまり触れられていない。なんでだろ。
家の話や辻井喬の話が中途半端に入っており、全体として堤清二のマインドがボヤケてしまい、複雑な人間臭さがちょい薄まってる。
Posted by ブクログ
堤清二が作り上げたセゾングループ。
最終的に収益化に成功し、帝国を反映させることはできなかったものの、時代の最先端を直走り、今でも残る企業を複数立ち上げたとんでもないグループ。
西武百貨店を皮切りに、西友、ロフト、無印良品、ファミリーマート、クレディセゾンと、今でも別法人の傘下で日本を支える企業が多数ある。
吉野家も一時、この傘下にあり当時のこのグループの実力には脱帽の思い。
このグループを率いた堤清二。彼の数奇な運命はメディアの格好の餌食ではありながらも、根本にあるのは反体制。常に自らに対するアンチテーゼを探しながら、新しいものを作り出し続ける。
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衣食住足りた次にみんなが求めるものを、ぼんぼんで既に衣食住足りてた人が少し先に考えていたのかな。
ハングリー精神から生まれたものではないよなー。
Posted by ブクログ
モノからコトへ。渋谷の文化をつくった男。常に自分のやってきたことすら、否定し、新しいものを生み出し続けた堤清二氏の話。
西武をやりながらブランドは求められていない、と言って、無印を作ったり。。
自分自身のやってきたことを疑うことが大切。
Posted by ブクログ
無印良品やロフトなど現在でも業界のトップを走るブランドを数々立ち上げたセゾングループの堤清二氏の半生や功績について関わりのあった関係者の取材などを通して書かれた一冊。
大資本家の一族として生まれ、父も経営者というなかで無印良品やロフト、パルコといった斬新なブランドを次々に誕生させ、画期的な戦略で他とは一線を画したルーツには父や異母弟との確執が大きく影響していると本書を読んで感じました。
高度経済成長がひと段落し、国民が充実したライフスタイルを求めていることを察知し、様々なブランドを作っていった時代を読む眼は読んでいて何度も凄いと感じました。
80年代にキャッチーなコピーで当時の小売業界では他とは一線を画した戦略を打ったり、一軒の店舗から街の空間を作ったりと一族の中で異色の存在となるべく奮闘してきた堤氏の姿は印象に残りました。
本書を読んで、自身の消費の先を読む感覚で今の時代も存在感を放つブランドを多く作ってきた堤イズムの浸透している後継者たちがどのような道を進んでいくのか楽しみになるとともに堤氏が歩んできた足跡を辿ることでこれからの小売業界や経済界についてのヒントが詰まっているとも感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
「商売を通して、生活や文化を作ることに貢献する」という小売業の醍醐味ややりがいといったものを改めて考えさせられた。
無印、西武だけでなくチケットセゾン、J-WAVE、パルコ、クレディセゾン、このあたりが面白かったな。
無印良品とは、消費者の自由を確保すること
生活の要求の多様性、意義のある生活を送りたいという願望、生活の知恵を得たいという願い、そういう人々の要求に応えるように売場が作られ、商品が提供されているということ
自分の頭でものを考え、判断することが質販店なのである
米国の様子を見ていると、その地域に住んでいる人に合わせて品ぞろえを変えている。その変え方がチェーンオペレーションのスピリットになっているという感じがする
ノーアイデアでなんとかするというのは、みっともないんですよ
資本の論理と人間の論理の間にあるという「マージナル産業論」
Posted by ブクログ
自己矛盾の経営と、生活者を真に豊かにするためにセゾン文化とあう1つの時代を作ったことは大きな功績であり偉業だと思う。バブル崩壊後のセゾングループ解体からは経営者として優れていたと評価することは難しいかもしれないが、戦後物が充足する中でまず個々の豊かさをいかに提供するか、ライフスタイルや街をつくっていくという文化的な消費行動を促した点では、優れたアーティストだったのかもしれない。
無印良品、ロフト、パルコ、WAVE、リブロ。どれもが堤清二から生み出されたということに驚き。
Posted by ブクログ
セゾン全盛期の雰囲気を知っている世代としては、懐かしく読んだ。堤清二の人となりは何冊か読んでいるので知っているが、もう少し掘り下げないと何故このような経営をしたのかという核心に迫れていないと感じた。
Posted by ブクログ
グループ全体で4兆円を売り上げる時期もあったものの、解体されることとなったセゾングループの堤清二について記載されている書籍。セゾングループが関わっていた企業というと、良品計画、パルコ、ロフト、ファミマ、吉野家、リブロなど多岐にわたる。それらのビジネス展開に関する堤氏のこだわりや各関係者の考えなど、リアルに記載されている。
Posted by ブクログ
アベノミクスも株価にしか影響を与えず「失われた20年」は「失われた30年」にならんとしている今、では「失われていなかった時代」、いや「得ようとしていた時代」を確かめてみたい、ということで80年代を考える読書が続いています。そこには80年「じぶん新発見」81年「不思議、大好き」82年「おいしい生活」という糸井重里のコピーで突然、地上に現れたセゾン文化という大河が滔々と流れているのです。そしてその源流としての堤清二という変わった経営者に興味を惹かれて「闘争と叙情」「ユートピアの消滅」「わが記憶、わが記録」などを読み続けているのでいるので、新聞広告の「これはおもしろいぞ。糸井重里」の惹句で即読み。とても読みやすいので、堤清二入門書として最適かも。わかりやすくしている分、あるいは著者がビジネス誌の編集者である分、堤清二のモヤモヤ感が消えていて「未来を予見していた経営者」の魅力が今ひとつ伝わっていないような気もしました。ただ、堤清二にしろ辻井喬にしろ自分で書いた本では明確に指摘されていない、父 堤康次郎が軽井沢開発で文化をテーマに推進した手法との再帰性は、発見でした。働き方改革、データサイエンス、生産性が語られる現在、堤清二の説明の出来ないようなモヤモヤ感をどうアップデートするか?が大きなテーマになると思っています。