あらすじ
古代ギリシアのヘロドトスは海賊たちを英雄とみなし、ローマのキケロは「人類の敵」と罵倒した。スペインとオスマン帝国が激突したレパントの海戦の主役は海賊であり、大英帝国を裏面から支えたのもカリブ海に跋扈するバッカニア海賊だった。19世紀、欧米の覇権主義で海賊は滅びたが、現代のソマリア海賊として甦る。キリスト教とイスラームの対立、力と正義の相克など、多様な視座で読み解く、もう一つの世界史。
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Posted by ブクログ
海賊という側面からの海洋史。
引用できそうな箇所が多く、ためになった本。
古代ギリシア海賊王、ポリュクラテス
「友人に感謝されるには何も奪わずにいるよりも、奪ってから返してやるほうがいいのだ」 ーま、そりゃそうかもしれんが、、、
ゲルマン民族大移動の中のバンダル族、長い旅路の上にカルタゴに定住し海賊国家(?)となる。その略奪の悪だつさからVandalizeの語源となる。
アッバース朝時代のアブ・ハスクはクレタ島を占拠し多才にわたってきた船を焼き払い、いぶかる部下に「何が不満なのだ、私は乳と蜜が流れる血にお前たちを運んできたのだ。休息しお前たちの不毛な土地のことは忘れてしまえ」(強引すぎる)
レパントの海戦後のセルバンデス。下級貴族で生活の厳しかったセルバンデスはレパントの海戦に参加することでのちの官職を得るためレパント海戦の総司令官やナポリ総督の推薦状を得てスペインに帰国。しかし帰国途中で海賊にとらわれ、上記推薦状から高貴な貴族と思われ法外な身代金を要求される。払える親族もないことから10年ぶりに帰国することに。帰国後も十分な職なく税金の徴税代理人。 徴税したお金をあづけていた銀行が破産したことから国から訴えられる運命に、、、(悲惨すぎる、、、)
その他諸々、エピソード満載。