誇り高い女学園で繰り広げられる、淑やかで甘美な群像劇。
明確な主人公が存在しない本作の最大の魅力は、女生徒たちが影響しあうことで交錯する心、揺れる気持ちです。
例えば「王子様」と呼ばれる少女・佐伯。昔から同性にも「かっこいい」と言われてきた彼女ですが、学園に入ってからは向けられる視線が少し変わったと感じています。その違和感は次第に増し、周囲の視線や言動によって王子様に「変えられていく」という苦しさに変わっていきました。
そんな佐伯の前に突如現れるのは、滅多に学園に姿を現さない深窓の令嬢・星宮です。窓から飛び降り「ずっと遠くに逃げられるような気がしたのだけど」と言う彼女に、佐伯は一緒に逃げないかと提案。ふたりの少女による、ささやかな逃避行が始まります。
このエピソードはほんの一例で、他にも魅力あるキャラクターが次々にフィーチャーされます。
表紙で本作に惹かれた方も多いと思いますが、作中ではストーリーの深みと相まって、魅了させられるシーンが多いです。
ピンときた方は、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2023年01月16日
私は日本昔ばなしの髪長姫が好きだったため、この作品はまるで理想のような存在です。髪が長い少女たちの、学園にいるときだけの、ひとときの恋情がとても素敵で感動します。私は主人公ちゃんの気持ちもわかりますが、一番共感を持てたのは星宮さんの自由になりたいという想いです。凄くわかります。私のスマホにもGPSを...続きを読む付けられているので、星宮さんの気持ちがよくわかります。是非一度手に取って読んでほしいです。
星宮とはなが少し掘りさげられ、そしてついに洋子が動く。夜に黒髪のシーンが美しい。はな中心に多くの女生徒がうずくまっているシーンは、さながら繭。
Posted by ブクログ 2021年10月27日
雑誌「月刊コミックビーム」で連載されている原百合子の「繭、纏う」の第3巻です。特別な制服を纏う星宮女学園に通う生徒たちを描く百合作品です。唯一無二の世界観を構築しており、耽美系な作品としてはかなり上位に位置する作品ではないでしょうか。繊細なタッチで描かれる女の園が素晴らしい。群像劇であり、時系列が行...続きを読むったり来たりするので、サラッと読もうとするには少し難解かも。じっくりと読む必要があります。