【感想・ネタバレ】パワーハラスメント<第2版>のレビュー

あらすじ

どうすれば問題なく“指導”ができるのか?

職場で相手より優位な立場にあることを利用して行ういじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント(パワハラ)が職場で大きな問題となっています。
厚生労働者は「職場のパワーハラスメント防止対策についての検討会」を開催し、2018年3月、報告書をまとめました。今後、ガイドラインの策定などを通じて国の規制が強化されることが予想され、企業はいっそうの対策を迫られます。

何がパワハラで、何がパワハラでないのか? どうすればパワハラにならず、部下を指導できるのか? 言葉遣いや仕草の注意点、適切なコミュニケーションの取り方などを実践的に紹介。

厚生労働省・パワハラ防止対策検討会の報告書や最近の裁判例など最新の状況を踏まえ、ケーススタディも豊富に入れて、企業現場の実態に基づいて解説します。LGBT(性的マイノリティー)への配慮など、職場で問題となる様々なハラスメントへの対応も取り上げます。

著者は「パワーハラスメント」という言葉を生み出し、厚生労働省・パワハラ防止対策検討会の委員もつとめた第一人者。豊富なコンサルティング経験をもとに、職場の実態に即した解説を行います。

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Posted by ブクログ

本書のねらいは、パワハラと指導の境い目がどこにあるのか、どうすればパワハラにならない効果的な部下指導ができるのかについての解説です。

加害者も被害者も人生が変わってしまう、パワハラを防ぎ、どうすれば、生産性の高い、快適な職場で仕事ができるのか、ひとつの社会的なものさしを指し示してくれる本です。

気になった点は以下です。

■パワハラとは

加害者だけでなく、企業も責任が問われる
裁判に至る前にできることがある
快適な職場は、自らつくり上げなければ、世界中のどこを探しても存在しない

厚生労働省のパワハラの概念
「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる好意」

力関係に優劣がなければなりません。対等であれば、対立、ケンカとなります。

■パワハラとはどんな行為

暴力
暴言、人格否定
執拗な叱責、恐怖を与える
長期にわたる無視
能力にみあわない仕事を与え意欲を低下させる

■パワハラが深刻化するプロセス

①ちょっとした仕事のミス
②熱心な指導、注意
③ヒートアップ
④精神障害、休職、退職

■パワハラの起きやすい職場

閉鎖的な職場
忙しすぎる職場、暇すぎる職場
人や仕事のマネジメントが徹底されていない職場

■さまざまなハラスメント

セクハラ 性的いやがらせ
モラハラ パワハラと同じ意味
マタハラ 妊婦・出産・育児
ジェンダーハラスメント セクハラ、パワハラに発展
ケアハラ 介護離職

■ハラスメントの共通点

Noといえない力関係
侮辱された感覚を伴う
だれもが加害者にも被害者にもなりえる
エスカレートする
言語と非言語とで行われる

■パワハラのレベル

1:犯罪行為
2:労働法に抵触
3:社員がメンタル不全、安全配慮義務に抵触
4:悪意ある排除 退職へのいやがらせ
5:行き過ぎた指導 悪意はない
6:部下側がパワハラを誘発

■パワハラへの注意

嫌悪感、不安をぶつけてしまう
過大要求
マイクロマネジメント
完璧
他人を喜ばせよ
努力せよ
強くあれ
急げ

■どう指導するのか

行為を叱って、人を叱らず
部下のミスや素行不良を厳しく叱るのは、上司の大切な仕事
適切な叱責や指導は部下の成長のために必要不可欠
人格否定や非難はパワハラに
正すべき行為を明らかにして、それについて指導する
指導において焦点を当てるのは、行為、言い方、態度、判断
叱るときに意識すべきは、公平性
メールやLINEは使わない
真摯な態度で話を聞く
ねぎらいの言葉をわすれない
Iメッセージ 私は~です
YOUメッセージ は相手に責任があると思わせてしまう
コミュニケーションはキャッチボールと考えよ

目次

はじめに

第1章 社会問題化するパワハラ
第2章 パワハラとはそもそも何か
第3章 職場で起こるさまざまなハラスメント
第4章 パワハラと指導の境い目はどこにあるのか
第5章 パワハラへの対処法を知る
第6章 パワハラにならないコミュニケーションを身につける

おわりに

ISBN:9784532113971
出版社:日本経済新聞出版社
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:860円(本体)
発売日:2018年08月10日

0
2023年02月24日

Posted by ブクログ

パワハラについては「受けた者が不快だからパワハラだ」と言う人がいますが、それはセクハラの判断基準です。

なるほど。


裁判で争われた具体例も含めて、働く上で役立つ知識がわかりやすく本書に書いてある。

0
2020年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2001年にパワハラという言葉を考え出した専門家による著作。
社会問題化するパワハラ、パワハラとはそもそも何か、職場で起こるさまざまなハラスメント、パワハラと指導の境目はどこにあるのか、パワハラへの対処法を知る、パワハラにならないコミュニケーション法を身につける、の6章からなる。非常にわかりやすく、パワハラを具体的に説明。対処法として、行為を叱って人を叱らず、我慢せずすぐに対処するという点参考になった。良書です。

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2019年08月18日

Posted by ブクログ

 このところ特にスポーツの世界でパワー・ハラスメントが問題となっている。スポーツ選手や弁護士を含めて、様々な人たちが意見を述べているが、多くの方々は、「パワー」「ハラスメント」「暴力」「指導」等の用語の定義すら混同し自分勝手な解釈から私論・我見を述べている状況は、当該問題をめぐる困難の本質を表しているように思える。本書を読んで何が「パワー・ハラスメント」なのかを考えながら責任をもって慎重に議論したい。パワーがあるからコントロールできるが、精神的肉体的暴力を伴うことは論外である。
 コメンテーターやアスリートの皆さん、ちゃんと「パワー・ハラスメント」について勉強してから、しゃべりましょう。本書の著者が番組に登場することをひそかに期待します。
 次の機会で、スポーツ界教育界も含む社会構造全体に触れて議論されることを期待して、この評価。

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2018年09月08日

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