【感想・ネタバレ】王とサーカスのレビュー

あらすじ

2001年、新聞社を辞めたばかりの太刀洗万智は、知人の雑誌編集者から海外旅行特集の仕事を受け、事前取材のためネパールに向かった。現地で知り合った少年にガイドを頼み、穏やかな時間を過ごそうとしていた矢先、王宮で国王をはじめとする王族殺害事件が勃発する。太刀洗はジャーナリストとして早速取材を開始したが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女の前にはひとつの死体が転がり……。「この男は、わたしのために殺されたのか? あるいは――」疑問と苦悩の果てに太刀洗が辿り着いた痛切な真実とは? 『さよなら妖精』の出来事から十年の時を経て、太刀洗万智は異邦でふたたび、自らの人生を左右する大事件に遭遇する。/解説=末國善己

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Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤穂信さんの作品は、まずタイトルが好きです。この内容を、「王とサーカス」というタイトルで表現される感性が素晴らしい。
「さよなら妖精」のシリーズとして読みましたが、まさか主人公が万智だとは!
日本が舞台の「さよなら妖精」から、今度はネパールへ。
描写が丁寧なので、本当にネパールに行った気分にもなりました。
事件を調べていく上でバラバラだったものが、記事をまとめるようにどんどん明らかになっていって、
犯人が誰だったのかの先にある真実……
報道しない選択、ジャーナリズムの在り方について問うような、そんな物語でした。

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2025年08月30日

K

ネタバレ 購入済み

歴史に疎く、物語中、ネパールの王宮で事件が起きたとき、フィクションにしては妙にリアリティがあると思い調べてみると史実だった。それから万智はジャーナリストとして、これを好機とし、記事にするため事件について調べていくが、その途中、万智が王宮事件を調べていたせいで殺されたとしか思えないような死体が現れる。そうして万智は職業としてのジャーナリズムの正しさについて考える。その中で、事件の謎は明かされていく。坊主が麻薬を密輸していることには気づけたが、サガルについては思いもよらず、驚いた。純粋に面白かった。いい小説。

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2023年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

序盤はミステリ感は全くなく、紀行小説のような雰囲気だったが、中盤から事件が起き、ミステリになっていく感じだった。そこまで殺伐とした感じはなく、万智の取材活動と心の動きが丁寧に描かれていて良作と感じた。実際に起きた事件を題材にしていることもあり、ジャーナリズムのあり方の議論にもリアリティが出ていた。悲惨な事件を伝えるニュースを見て、共感した気になっていても、実はサーカスのように楽しんでいるだけなのかもしれず、考えるところはあった。セルロティを食べてみたくなった。

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2026年03月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

おもしろかったです!前作を全く覚えてませんでしたが問題ありませんでした。難しい外国の情勢が絡む内容なのにするする読めてしまう不思議に、作者のすごさを感じました。タイトルの回収もすばらしく、事件とそれを娯楽として楽しむ人間たちの対比に、報道のあり方に、ドキリとしました。真犯人の正体にも虚をつかれます。続きも買ってあるので早めに読もうと思います。

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2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正直そんなにミステリーとしては驚かなかったけど。ジャーナリズム的な観点から見ると結構興味深いものでした。主人公の淡々としてるけどなんだか人間臭い部分もあるところ結構好きです。だけどサガルが結構気に入ってただけに、最後ちょっと複雑でした。でもそれも私が主人公目線でもの見て勝手に持った幻想だったなて思った。

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2026年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語に終始漂う異国情緒と緊張感は独特。物語冒頭から丁寧に伏線が張り巡らされ、なんとなく印象に残っていた単語が実は事件解決へのキーワードであった、ということが後半でいくつもあって、しかもそれが大袈裟ではなく非常にさりげなく感じさせられるのも気持ちが良かった。
カトマンズの人々や宿の宿泊客に対する主人公の接し方が好きだなと思った。観察眼が鋭く記者として冷静な視点を持っているが、決して利己的ではなく人と人として関わろうとしているのが良い。
宿の主人であるチャメリがとても良い人だなと思った。自国で動乱が起こっている中で淡々と働き、仕事の一環としてただこなしているだけかもしれないが、度々主人公たちの宿泊客に茶や軽食を提供する場面ではあたたかさを感じた。最後に太刀洗に簪をくれたのも彼女の優しさが垣間見えたような気がした。
ただのミステリーとしての面白さだけではなく、メディアのあり方、報道の倫理について立ち止まって考えさせられる一作。

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2026年03月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

積読消化中の土瓶さんの高評価に刺激されて
読んでみました。
事前にきちんと調べず予約してしまったのですが、本作は米澤氏のいわゆる記者連作の一作で、
「さよなら妖精」「真実の10メートル手前」と同じく太刀洗万智を主人公に、ジャーナリストとして「何を信じ、何を伝えるのか」を手探りしていく物語です。みんなはちゃんと知ってるみたいだけど。

米澤作品とは相性が良いのか、冒頭から文章が滑らかに流れ、イメージは自然とネパール、そしてカトマンズの喧騒の中へ入り込んでいきます。

2001年に実際に起きたネパール王族殺害事件が、
物語の背景の一つとして描かれています。
主人公である女性ジャーナリストの行動力や、
情報に向き合う姿勢には惹かれるものがありました。
ただ、前半で大きく描かれる王族殺害事件は、読み進めるほどに「これは物語の核ではなく、背景でさえないのではないか」
という感触も残ります。

本作 、王とサーカス は当時、
このミステリーがすごい! や
このミステリーが読みたい!
といったランキングにも選出されていますが、
そこで評価されている「ミステリー性」は、王族殺害事件そのものと直接結び付きません。

ジャーナリズムへの不信や憎悪が引き起こした事件として受け止められるかどうかで評価が変わりそうです。
そこに納得できれば、静かながらも強く惹き込まれる作品だと思います。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サガルがとっても切なかった。
事件も複数で犯人も複数で複雑だった。単純なミステリじゃなくておもしろい。

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2025年11月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

米澤穂信さんの作品は「満願」に続き、2作目。もともとあまりミステリーを好まないので、自分から買ったり借りたりはしないのだけれど、今回も夫が買ってきたので。
「満願」の時に抱いた感想と変わらず、米澤さんの文章は本当に端整というか、スキがないというか。一文一文から、作者の思惑、登場人物の伝えたいことが存分に伝わってくる。どうしたらこうも無駄なく、言いたいことをきちんときれいな文章で伝えることができるのか。こんなふうに文章が書けたら、と思わざるを得ない。

で、肝心の内容・・・(ネタバレになります)。
2001年6月にネパールはカトマンズで実際に起こった国王殺害事件を主軸に、ジャーナリストはどうあるべきか、報道とは、といった作者の「知ること」への小さなひっかかりを、主人公を通して問題提起し、内省、そして主人公なりの答えを見出す物語。と、こんなに簡単にまとめていい作品ではないのだけれど。

王宮での事件の取材を依頼した軍人の言葉は、報道者側だけでなく、それを受け取る側にとってもハッとさせられるものだと思う。ネパールの王宮の事件を、日本人ライターの主人公・太刀洗が日本語で書いて、日本に向けて報じたところで何になるんだ、と。この事件がサーカスの見世物のようになるだけではないか、と。そしてその事件を報じようとする太刀洗をサーカスの団長と非難する軍人。
日々世界中から集まる悲劇の報道は、確かにそういった側面もある、いや、むしろほとんどが一時的に娯楽のように扱われ、すぐに次の悲劇へと人々の関心は移っていくのではないか。太刀洗はこの軍人の指摘に答えられなかった。その後、軍人の他殺体が発見され、ここから物語が大きく動き出す。

事件の真相に迫っていきながらも、常に太刀洗の頭にあるのは、あの軍人から突き付けられた言葉への自分なりの答えを探すこと。なんとか報道の意義、自分が書き、伝えることの意味にたどり着くのだけれど、終盤、サガルが太刀洗に突き付けた言葉は私にとってはとても衝撃的だった。
サガルの主張は、このようなもの。外国人記者の報道によって、ネパールの子供が働く劣悪な環境の工場が閉鎖された。するとその工場で働いていたサガルの兄は稼ぐ術を失い、がれき拾いのようなことをするしかなく、そのことで傷を負い、亡くなったと。それでサガルは記者やカメラマンを憎むようになり、太刀洗を貶めるつもりだったと。
サガルの考えは子供っぽく短絡的過ぎる、と切り捨てることは絶対にできないと思う。遠いところから来た者が正義のつもりで行ったことが、現地の人々にとって必ずしも良かったとはならないことは長い歴史の中で多々起きている。それでも、真実を書き、伝えていくことを決意する太刀洗・・・。
報道の在り方について改めて考えるきっかけとなると同時に、物事も人も多面的だと痛感した。誇り高き軍人が密売に手を出すこともあるし、穏やかに説教をする僧が人を殺めることもある。太刀洗が八津田に「冷たいものを抱えている」と言われた時には、うーんと唸ってしまった。

相変わらず、レビューとしてはまとまっていないけれど、特に中盤からは先が気になる読書となった。

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

政治要素は苦手だけどそれでも楽しめた。サガルがいいキャラで好きだったので読後感…だけど考えさせられるな。大刀洗目線で読んでいるからバイアスかかっているけど、普段マスメディアに対してあまりいい印象は持たないので、当事者目線ではもっともだと思う。作者の聡く達観している主人公は好きなのだけど、大刀洗さんにあまり興味がわかないのはなぜだろう?守屋や同僚の話とか今後明らかになるのかなぁ。

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2026年02月18日

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