【感想・ネタバレ】王とサーカスのレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

一人の人間が、信念をみつけるお話。

異国の土地へ単身おもむき、国籍の違う、価値観が違う様々な年齢の人達と対峙したことで、自分の軸に気づく。

見た目で人を決めつけるな。
職業、国籍、年齢で人は人を判断しようとする。
しかし、目に見えるものが全てでは無い。

自分が許せないものはなにか。
自分の軸とは、なにか。
軸に気づけた時、それが信念となる。

個人的に、主人公よりも犯人との接点が多く、
自己を客観的に分析ができた。

自分に憎しみを向けてくる相手に対し、自分は主人公のように、はたして考えられるのか。
米澤先生は人の心をえぐる悲しいお話を作ることができるプロだけれど、作品を通して人を成長させることもできる、人類を導く指導者のような人なのかもしれないと、思った。

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2024年01月18日

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ネタバレ

当事者においては重大事件(王の殺害)であっても、全く関係ない人には娯楽(サーカス)になる。真理を当てているようで、深く心に残った。

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2023年09月20日

K

ネタバレ 購入済み

歴史に疎く、物語中、ネパールの王宮で事件が起きたとき、フィクションにしては妙にリアリティがあると思い調べてみると史実だった。それから万智はジャーナリストとして、これを好機とし、記事にするため事件について調べていくが、その途中、万智が王宮事件を調べていたせいで殺されたとしか思えないような死体が現れる。そうして万智は職業としてのジャーナリズムの正しさについて考える。その中で、事件の謎は明かされていく。坊主が麻薬を密輸していることには気づけたが、サガルについては思いもよらず、驚いた。純粋に面白かった。いい小説。

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2023年02月13日

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ネタバレ

序盤はネパールの街並みや空気、人々の生活や祈りを静かに感じることが出来た。
中盤で王族殺害事件が起こる。そして、王族殺害事件当日、王宮にいた軍人ラジェスワルがフリーの記者太刀洗のインタビュー後に殺害される。
不可解な殺人事件の謎を通して、太刀洗の記者としての核が問われる。

記者に限らず、誰もが目の前に起こる事を情報として流せる時代だからこそ考えさせられる話だった。


『何を書くか決めることは、何を書かないか決めることでもある』
『自分は中立だと主張する時、記者は罠に落ちる。記者は常に取捨選択する。誰かの主張を書くことで、別の誰かの主張を無視する。その選択において記者自身の見識があらわになる。主観で選択しているのに、どうして中立などと言えるだろう』
心に刺さる言葉でした。
情報を消費する側も忘れてはいけないことだと思った。

ラストは切なかった。そうだ、彼は、確かに伝えていたのだから。

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2024年02月23日

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ネタバレ

正統派のミステリー推理小説。
フリー記者、大刀洗万智がネパールのカトマンズにて出逢った事件を解決していく物語。作中、王子が王族一家を大量殺人するがこれは実話だとかなんとか。そして、この殺人が事件に絡んでくるかと思いきや、そうでも無く、ただ無関係かと言えばそうでもなく?

構成も仕掛けもシンプルがゆえに面白い。
ラジェスワルの一言、自分に降りかかることのない惨劇はこの上なく刺激的な娯楽だというメッセージが心にくる。
この本は推理小説に見せかけて野次馬根性への警鐘があって響くものがある。
タイトルもなかなか秀逸。

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2024年02月04日

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ネタバレ

ネパールの情景を事細かに描くことで、物語に臨場感を出すとともに、推理の糸口となる伏線を見事に隠していると感じました。
そして最後の謎が明らかになって行く中で、二転三転と答えが揺れ、顕になって行く結末には、驚きと感動を感じました。
主人公が記者の在り方について苦悩しながらも結論を出し、自身の信念を持って行動することで、最後の結末に辿り着けた様に思います。
単純なトリックやミステリーだけではない素晴らしい作品でした。

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2024年01月25日

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ネタバレ

思い返せば、米澤穂信先生の著書で学園ミステリもの以外を読み切ったのは初めてかもしれない。
米澤先生の学園ミステリのほろ苦さが大好きなので、避けていたわけではないけど読む機会がなかった。
でも面白かった〜!

最近読んできたミステリは話の構成が似ていたので、この一文が謎を解く鍵になるな、とか感覚でわかるけど、この作品はそうではなかった。
実際に起きたネパール王宮殺人事件を題材にしているし、この本の「人はその人が持っている一面と正反対の面も併せ持つ」というテーマで描かれた登場人物たちが事件の核となっており、その人間の描き方に説得力というか現実味があった。
なので、小説というよりはルポルタージュに近いような不思議な感覚で読んだ。

あと興味深く読んだのは、主人公の報道に対する姿勢の揺らぎと決意の過程。
昔マスコミへの就職を目指していたことがあったけど、当時の自分は主人公と同じ迷いを持っていたことを思い出した。
誰かの悲劇を消費するものとして世に伝えること、それに何の意味があるのか答えを出せず、結局マスコミではない業界に就職した。
けど主人公が出した答えは「知りたい」というシンプルなもので、その知への欲求はとても共感できるものだった。
これでいいんだ、と思えた。
この後の八津田の話は、あんまり吟味できていない。
あらゆる視点の情報があって、一つの出来事は形成されていく。
言っていることはわかるけど、それを自分の役割として真っ当していくことはどんな感覚だろう。
そして世の中の報道に携わる人たちが、自分たちが情報を伝える意味をどこまで考えているのだろう。

ミステリ要素よりは、ネパールの風景や登場人物たちの心の動きが印象に残る小説だった。


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2024年01月14日

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ネタバレ

報道の倫理がテーマになっていて、前作の「さよなら妖精」同様にミステリー要素は控えめ。

あらすじ
旅行記事を書くためにネパールを訪れた主人公は、国王殺害による国の混乱に巻き込まれる。
ここぞとばかりに事件の記事を書こうとするが、取材対象に自分が報道する意義を問われ、報道とエンタメの区別を強いられる。

序盤は国王殺害に巻き込まれるパートで、国の状況ばかりが描かれるが、ここが謎解きの対象にはならない。時間をかけて読んだのに何も無いという肩透かしを喰らう。
しかし読み終わってみれば、この序章にサガルの心情に関する伏線があり、自分がいかに人の心を考えずに読んでいるかが分かる。
結局、他人の悲劇なんてエンタメで、当人の立場に立って考えていないことを痛感させるための構成なら、皮肉がきいてる。
ただし、つまらないんだから軽く読んでしまうのも仕方無しとも思う。

ラジェスワルの取材から、やっと主人公が絡んだ物語が動き出す。
ラジェスワルの死がミステリー要素だけど、この推理には無理があると思う。
「チーフ」「最悪、空路でも」という言葉からロブの銃に気付くのは難しすぎて、自分は置いてけぼり感があった。

最後にサガルの関与が明らかになり、彼の思惑を察するべきだったと気付かされる部分が作品の主題に沿った終わり方だった。

序盤の退屈さ、内容の薄さが自分の心を作品から離してしまった。
テーマは良かったが、引き込まれなかった。

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2024年01月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2001年に実際に起きたネパール王宮事件を題材にしたフィクション。皇太子が国王夫妻や兄弟を銃殺した衝撃的な王族殺害事件と、フリーに転身したばかりと記者の目の前に現れた軍人の変死体には、どう関係があるのか?

久々のミステリー。インスタで感想を見て、面白そうだなと思って読んだはずですが、期待ほどではありませんでした(ごめんなさい)。犯人の細かい動きまではよめなかったけど、被害者が大麻を云々…と出てきた段階で薄々犯人(と動機)が分かってしまったので、物足りなかったのかも。

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2023年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジャーナリストの在り方とか職業有意性みたいな葛藤が多く描かれていて、感心したり考えたりするも、ミステリーとかエンタメ性への期待強めで読んでいて、途中だいぶペースダウンしました。

何気ない描写からの伏線は細かくて面白い一方、近年に限らず空港などに大々的に注意喚起されているあの手法を終盤まで疑わないのが大いなる謎。

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2023年10月27日

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