あらすじ
疑いを差し挟む余地のない、資産家の老人の死。しかし彼の娘は、財産の大部分を相続する中学生の孫に疑惑の目を向けた。あれは本当に自然死だったのか? すでに遺体は荼毘に付され検視は不可能、疑惑を解決するための困難極まりない調査は弁護士を介して特殊能力を持つ私立探偵に持ち込まれた。その探偵が――俺だ。霊の記憶を読み取ることができる探偵、天野春近の調査と推理を描く書き下ろし中編二編を収録。『記憶屋』が話題を呼んだ新鋭の野心作。
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Posted by ブクログ
誰もが納得のいく死を迎えた資産家老人の死。だが、彼の娘は財産分与の大部分を相続する中学生の甥に疑いの目を向ける。すでに火葬済みの状態から死因を調べて欲しい。無理難題の依頼を受ける私立探偵の天野はその調査に乗り出す事に…
霊の記憶視える探偵の天野は、その能力で死の真相を探るけれど、それは必ずしも意図した物ではなく、中編2本共に少しモヤッとした気分でした。特に、資産家老人の方は本人は良くても、知らずに加担させられた方は知らない方が幸せって感じで後味良くなかったです。
でも、ストーリー的には面白く、また続編が読みたいと思います。
Posted by ブクログ
探偵、天野春近。
流行らない探偵事務所は浮気調査と、友人の弁護士から紹介された仕事でなんとか成り立っていた。
今回、朽木弁護士が持ってきた仕事は、春近の特殊な能力を見込んでのものだった。
春近には霊が見たものを視ることができる。
中学生の孫と暮らす、老人の死。
彼の莫大な遺産の大半は、孫に遺された。
病死として処理された彼の死は事件なのか?
2年前に失踪した運送会社の社長。
借金で会社存続も危うかった彼。
彼の事務所にむかった春近は、そこで佇む霊を視る。
霊が伝える、なんてもっと陰惨なお話かと思ったら、主人公が不器用なのもあり、どこかほっこりとした気持ちが残った。
楓と春近の関係が微笑ましい。
いつか楓が推理してしまうんじゃないか、なんて。