【感想・ネタバレ】理不尽に勝つのレビュー

あらすじ

仕事で無茶な要求をされたり、いわれのない責任を押しつけられたりして、理不尽な気持ちを抱いている人は多いかもしれない。神戸製鋼でラグビー日本選手権7連覇を達成し、ラグビー日本代表監督、日本サッカー協会理事を歴任した著者。その陰には、不登校、『スクール・ウォーズ』の舞台ともなった伏見工業高校での他の部員との軋轢、日本代表監督でのプレッシャーなど数々の試練があった。著者は、理不尽な状況に直面した時、どのように乗り越えてきたのだろうか? 内容例を挙げると、◎媚びない、キレない、意地を張らない ◎妥協せず、折り合いをつける ◎「怒らない」と「怒れない」はまったく違う ◎「自分だけ」と思い込むな ◎瞬間瞬間にすべてを賭けてすべてを出し切る 等々 また、著者は「理不尽」を経験するからこそ、人は磨かれ成長する、と言う。そしてリーダーとして選手や部下に「理不尽」を与えるならば、必ず成果に結びつけろ、と言う。ビジネスマン必読。

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Posted by ブクログ

スポーツ経験の少ない自分が読んでも、すごく共感が出来る一冊。「理不尽に勝つ」とは「現実を受け入れる」と理解した。

ラグビーボールが楕円形なのも、サッカーで手を使ってはダメなのも、ある意味理不尽。でも、理不尽だからこそ、おもしろさがある。現実と向き合って、もがき苦しみながらもチャレンジするからこそ、人間は強くなる。やるだけやって失敗してもしゃーない。

リーダーはたとえ孤独だとしても、自分がチームに必要だと思うことを信じ抜いてやり抜く覚悟を持つ(自分にしか見えていない景色があるはず)。謙虚さと柔軟さを忘れずに。

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2025年02月12日

Posted by ブクログ

理不尽に勝つ
著:平尾 誠二
紙版

おもしろかった 人とはやっぱり情であって、決して理ではないことを本書は語ってくれる

世の中には、理不尽なことは当たり前のようにあって、それを乗り越えるためには、視点を変えろということをいっています。

理不尽を経験し、それを乗り越えることで人は鍛えられ、成長するというのが本書の主張です。

気になったのは、以下です。

・世の中は、理不尽であふれている
 一生懸命やっているのに、どうして報われないのであろうか
 よかれと思ってしたことなのに、なぜわかってくれないのだろう

・上司からは現場を無視しているとしか思えないような無理な要求をされたり、意に添わない仕事をさせられたりすることが多々あるにもかかわらず、こちらのリクエストはさまざまな理由をつけて拒否される。そのくせ、リスクと責任は押しつけられる。部下は指示をしなければ動かず、動いてもなかなか自分の望む通りには動いてくれない

・あらかじめいっておけば、理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。それどころか、確実に人間を鍛えてくれる。強くしてくれる。理不尽を経験すればするほど、人は強くなる。

・世の中はフェアであるはずがない。
 そもそもこの世野中は決して公平でも公正でもない。フェアではないのだ
 世の中は公平である、なんて、幻想にすぎない
 さらにいえば、人間は生まれながらに理不尽を背負っている。決して平等には生まれてこないからだ

・人間は無力、であり、現状を受け入れるしかない、ということ、そのうえで、気持ちを切り替えるしかない、ということだ

・つい人のせいにしたくなるけれど、それでは何もかわらない。責任を他人に求めても、それで社会が変わるわけではない。状況を変えるには、自分自身が変わるしか、自分自身で変えていくしかないのである

・理不尽が大きければ大きいほど、それに打ち克ち、乗り越えた時の喜び、達成感は大きくなる

・率先垂範、つまり自分の態度で見本を見せるだけではなく、どうすれば言葉の力をもって部内をまとめていくことができるかをいつも考えていた

・人間の感情から発する問題は、いくら理屈で問い詰めていっても、解決しない。

・外にいる敵と戦わなくてはいけないのに、ほんとうの敵は、内にいた、ということはまれではないのだ。むしろ、それがふつうなのである

・現実として、理不尽な目にあっているのは、決して、自分だけではない。
 自分とはケースが違っているだけで、みんな、多かれ少なかれ同じような目にあっている。
 おれだけが、恵まれていないわけではないんだ

・そうか!つらいのはおれだけじゃないんだ

・こいつらにくらべれば、おれなんかなんでもない

・あれだけ、きついことに耐えたのだから、絶対に神様は俺を見放さない
 努力は絶対に嘘をつかない

・思い通りにならない原因が自分にあった場合、つまり、単に自分の努力がたりなかったり、甘えや自分勝手な自己正当化によって自分が悪くないと思い込んでしまうようなケースだ

・ある選手が伸びるか伸びないかを見分ける時に、私は次のことをひとつの大きな判断材料としている、それは、上手くいかなかったときに、その原因を人のせいにするかどうか、ということだ

・要は目の向け方なのだ。同じ事態に直面しても、どこに目が向くかで、考え方や解決法はかわってくる

・いい時は悲観的、わるい時は、楽観的

・重要なのは、運と愛嬌、そして、素直さ、だ

・そうか、おれはいやなことから逃げていただけなんだ
 その瞬間、パッとスイッチが切り変わったのを鮮明に覚えている
 強制的にやらされているのではなく、自分からやろうとしたからなんだ
 いってみれば、義務ではなく、権利としてやるようになったのだ

・高い目標を達成するためには、自己を厳しく律し、何かを犠牲にしなければならない

・実力や運だけでは足りない、日本一にふさわしい、格、とも呼べるべきものが必要なのだと、当時から信じていた

・周りが文句を言えないくらいのことを自分がする

・リーダが備えるべき条件は、媚びない、キレない、維持をはらない

・妥協と、折り合いは、同じような意味とされるけれど、私にいわせればこのふたつは絶対に違う
  妥協が、現実に甘んじることだとすれば、折り合いをつけるとは、次に進むための準備だ
  妥協はさらなる妥協を呼ぶけれど、折り合いはそうはならない、新たなスタートなのだ

・本質的論理と、状況的論理、という2つの思考法をつねにもつことだ
  本質的論理:物事をどんどんと突きつめて考えていく思考法
  状況的論理:周りの空気を読みながら、状況に合わせて思考を展開していく思考法

・今やれることを全力でやれば神様ががごほうびをくれる、道は拓ける
 理屈抜きにひとつのことに没頭することは決して無駄にはならない

・まあ、なんとかなるだろう、という楽観的な目論見
 ならなかったらしかたがない、という一種の諦観
 結局私には、その二つがあっただけという気がする

・破れかぶれにはなるな、何とかなるさは、死んでもいいということではない

・現実を冷静に見据え、徹底的に考えれば、戦略が描ける

・敵に勝つための3つのファクター、①戦力、②戦略、③戦闘

・何としても勝ってやる、絶対に達成してやる、そういう強い気持ちがなければ、勝つことはできない

・練習の密度が高まったということが大きかったと思う、集中力があきらかにあがった、時間を無駄にしたくないから、みんな課題に貪欲に取り組んだ

・クリティカル・モーメント:勝敗をわけるような重要な一瞬のことだ。真剣に練習をすれば、クリティカル・モーメントを見極められるようになる

・One for All , All for One :各自の目的を実現しようとすることで、チームの勝利に結びつくようにすること

・この試合に、おれはすべてを賭けて臨んでいるんだ。おれの感じた通り、思った通りにやる!

・大切なのは理不尽を排除せず、乗り越えること

<結論>

・あらかじめ結果がわかっていることに人は興味を持てない。おもしろくないからだ
・やってみなければどうなるかわからないから、人はチャレンジできる
・うまくいった時喜べるし、失敗しても、次があるさと気持ちを切り替えることができる
・なんとかなるさ、という気持ちさえ忘れなければ、むしろ楽しいことなのだ
・理不尽を理不尽と思わない人間がやっぱり一番強いのだ

目次
はじめに
第1章 理不尽によって人は鍛えられる
第2章 リーダーとして理不尽な状況をいかに乗り越えるか
第3章 理不尽をどのように与えるか
第4章 理不尽は、決してなくならない
第5章 ひとりでは無理でも、チームであれば乗り越えられる
第6章 孤独に耐えてこそ、乗り越えられる
第7章 理不尽が人を成長させる
おわりに

ISBN:9784569801650
出版社:PHP研究所
判型:4-6
ページ数:232ページ
定価:1300円(本体)
2012年05月01日第1版第1刷発行

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

(2013/4/10)
伏見工業3年で高校日本一、同志社大学で学生日本選手権3連覇、神鋼で社会人、日本選手権7連覇と、
ラグビー界で常に華やかな位置にいた平尾誠二氏。
なんとキャプテンをした国内試合で負けたのは同志社VS新日鉄釜石の日本選手権一試合だけという。凄い。
そんな平尾も、若くしてラグビー日本代表監督となり、改革を試みるも既得権益を持つ諸先輩に阻まれ、
中途半端な状態で1999年のワールドカップに臨み、3戦全敗。
華やかなラグビー経歴がここで止まり、以後は神鋼のGMなど務めるものの、ラグビー界では必ずしも日の当たる場所にいない。

そんな平尾氏が昨年著したこの本、日本ラグビー協会でも特にとりあげないほど。
注目度は低かったが、手にとって読んでみた。

結論。素晴らしい本。
常に日本ラグビーの最高峰にいた男が、いかに厳しくラグビーに向き合ってきたか、
そしてその男から見て、いかに今の世の中の風潮がおかしいかを、的確に表している。
嘆いている。
理不尽をなくそうとするのはおかしいと。
スパイラルアップする理不尽の中で人は成長するのだと。
目次がそれを端的に表している。


第1章 理不尽によって人は鍛えられる
第2章 リーダーとして理不尽な状況をいかに乗り越えるか
第3章 理不尽をどのように与えるか
第4章 理不尽は、決してなくならない
第5章 ひとりでは無理でも、チームであれば乗り越えられる
第6章 孤独に耐えてこそ、乗り越えられる
第7章 理不尽が人を成長させる

「嫌いな人間は星一徹」から始まる。
平尾といえば、いつも冷静で、合理的で、、、というイメージがあり、
そのイメージ通りなのが「嫌いな人間は星一徹」なわけだが、
その平尾をして、理不尽が大事、というのだ。

世の中そんなもの。環境を一番いいものにするなんてできっこない。
なにかしら制約がある環境でなにかをしなくてはいけない。
それが今は何かというと環境のせい。
社長がワンマンだから、上司があほだから、部下が無能だから、、、
言いだしたらきりがない。
その中で自分がどうするか、だ。どこまでできるか、だ。

それを今は、環境が悪ければ国のせいにして、国が対応できなければ金を巻きあげる、
みたいなことが横行している。補償金として。役人もそれを仕事として生きているところがある。
税金を使う権限のような形で。
そんなことをして世の中が回るわけがない。
人間同志が生きる中でそれぞれのエゴがぶつかり、最高の環境なんて作れるわけがない。
その中でどう自立し生きていくか、なのだ。
そこに税金が介在してもうまくいくわけがない。
(だから私は減税賛成、小さな政府賛成、医療費削減年金削減賛成です。といってアメリカがいいというわけではないからややこしいが
もう何もできない老人を高額医療費で生かし、さらに年金を与える、というのは、納税する側から考えれば不合理すぎる
年収数百万で病気もできず結婚もできず子供も産めずにいる若者が、上記の見知らぬ者のために税金を払うというのは、
社会モラル的にもおかしい)

著者の趣旨とは少し外れたが、
生きていく上で理不尽はつきもの。
それをどう乗り越え、自立するか。コヴィーの世界でもある。

平尾氏という超一流の人間が訴えるこの本、非常に共感する。
もっと多くの人に読んでもらいたい。

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2024年06月11日

Posted by ブクログ

理不尽に勝つ。平尾誠二先生の著書。世の中は理不尽なことだらけ。理不尽に対して不平不満を言ったり、被害妄想をしたり、嘆き悲しんだり、怒ったりしても何も始まらない。理不尽を受け入れ、理不尽を楽しみ、理不尽と戦った達成感を得るくらいの姿勢が大切。ラグビーの選手、ラグビーの監督として高名な平尾誠二先生だけれど、きっと他の道に進まれていたとしても大成功されたのではないでしょうか。

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2018年07月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

*理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。それどころか、確実に人間を鍛えてくれる。強くしてくれる。理不尽を経験すればするほど、人は強くなる。だから、もし自分がそういう状況に置かれているのならへこたれてはいけないし、若い人たちにも経験させたほうがいい。その壁を乗り越えた時、その人は必ず成長しているからだ。
*世の中はフェアであるはずがない。そもそもこの世の中は決して公平でも公正でもない。フェアではないのだ。必ずしも理屈が通らないどころか、通らないのがむしろふつうだ。世の中というものは、もともと理不尽なものなのだ。なぜなら、世の中をつくっているのが、もともと矛盾に満ちた人間であるからだ。
*理不尽に打ち克つのは喜びだ。
けれども、われわれはそれでも生きていかなければならない。前に進んでいかなかればならない。「世の中は思い通りにはならない」ということを言い訳にして、「だからおれの人生はこんなものさ」と思ってしまったら、これほどつまらなことはない。自分が恵まれないからといって、恵まれている人をうらやんだり、妬んだりしても、虚しさが募るだけだ。大切なのは、そんな境遇にあっても、いつも自分の夢を実現しようとすること、理想の人生にできるかぎり近づこうと努力するうことだろう。その過程にこそ、生きることの醍醐味というか、喜びもあると私は思っている。そして、それは必ずしも経済的な勝者になることだけを意味しないはずだ。
*人は理不尽を経験すればするほど、より大きな理不尽を体験すればするほど、鍛えられ、強くなれる。間違いなく成長する。そして、理不尽が大きければ大きいほど、それに打ち克ち、乗り越えた時の喜び、達成感は大きくなる。そう、理不尽な経験をするのは決して悪いことではない。ネガティブではなく、ポジティブにとらえれば、得るものは非常に大きい。理不尽な体験をすることは、人間が成長していくために必要なことであり、とくに子供のころに、若いうちに経験するべきなのだ。経験させるべきなのだ。
*それで翌日練習に出ると、それまでとはよることは変わらないのに、全然つらいと感じなくなった。どうしてなのか、その時はよくわからなかったけれど、あとからこういうことだとわかった。「先生から強制的にやらされているのではなく、自分から”やろう”としたからなんだ」いってみれば、「義務」ではなく「権利」としてラグビーをやるようになったのだ。そうなってからは、たとえ理不尽にみえる猛練習であっても、きついとは感じなくなっていた。
*「自分は不運だ」「恵まれていない」そう嘆いても、何も変わらない。今、自分が置かれいる環境のなかでできることを全力でやる以外、状況を変えることはできないのだ。だから、今やるべきことをしないで先のことを心配する、過去の失敗にとらわれて、今しなければならないことがおろそかになる。そういうのは大嫌いだと岡田さんは言って、こう、続けた。「だから、今やれることをともかく全力でやってみる。そうすると、不思議なもので、最後に神様がご褒美をくれる。道が拓けるんだよ。」
*批判というのは、みんな「あと出し」だ。失敗したり、うまくいかなかった時、メディアをはじめとする世の中はこう言って批判する。「ほら見ろ、あの時こうしておけばよかったんだ。どうしてしなかったんだ」そんなふうにあとから文句を言うのは誰でもできる。でも、やる前から結果がわかっている人間なんていない。信じることをするしかない。そして、結果さえ出れば、風向きは一八〇度変わっていく。
*繰り返しになるが、世の中は、社会というものは、自分の描いたストーリー通りに物事が進むことはめったにない。どこかで絶対に理不尽な状況にぶち当たる。その時、モノを言うのはやはり、意思の力だ。「やり遂げる」という気持ちの強さだ。本人にそれがあって初めて、仲間だって支えてくれるし、ストーリーを完成させることができるのではないだろうか。
*「自由」とは「時間」だといっていい。自分の意思で使える時間のことだ。日本人は、その使い方が下手だ、というより、理解していない。「自由」が永遠にあると思っている。なぜなら、日本人にとって、「自由」とは、西洋のように戦いのなかで文字通り命を賭けて勝ち取ってきたものではないからだ。それまでいわば全体主義でやってきたところに突然与えられたものだからだ。
*理不尽は人を鍛える。強いエネルギーを出させる。筋肉を強化するには、負荷をかけることが必要だ。重いものを持てば腕の筋肉は強くなるし、持たないでいれば衰える。毎日歩いていれば足腰は強くなるけれど、歩かなければ弱っていく。ハート、すなわち心も一緒だ。負荷をかければそれだけ強くなるし、かけなければ弱くなる。強くなれば、少々のことでへこたれなくなるし、弱まればちょっとしたことで落ち込み、現実から逃げようと考えてしまう。そして、負荷をかければかけるほど心は強くなり、より大きな厳しさや苦しさにも耐えられるようになっていく。「こんなこと、どうってことない。」そう思うことができる。たとえ歩けなくなっても、生きていくことはできる。でも、現実から逃げてしまえば、生きていくことは難しくなる。そして、負荷をかける方法はいくつかあるだろうけれども、理不尽は間違いなくそのひとつといえる。人は理不尽な経験をすればするほど、強くなるのは間違いないのだ。これが、理不尽が必要だと私がいう最大の理由だといっていい。
*理不尽を理不尽だと思わない人間が、やっぱりいちばん強いのだ。

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2017年04月30日

Posted by ブクログ

平尾にはもっと生きて、いろいろ伝えて欲しかった。
指導者としても優れているのに、その真価は結果としてあらわれる前に逝ってしまった気がする。

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2016年12月10日

Posted by ブクログ

本書の「理不尽は人を鍛える」という言葉が、今の時代だからこそ心に響きました。便利で快適になった世の中では、困難を乗り越える経験は確かに少なくなっているかもしれません。だからこそ、本書が教えてくれる理不尽な経験によって得られる効用は、より一層大きな意味を持つように思います。(京都先端科学大学工学部の川上浩司教授が説く「不便益」の考えにも似ているように感じられました。)

特に心に残ったのは、単なる根性論ではない具体的な心構えです。「いい時は悲観的に、悪い時は楽観的に」と自分を見つめる方法や、最悪の事態を覚悟することで生まれる「なんとかなるさ」という前向きな気持ちは、日々の仕事や暮らしの中でも役に立ちそうです。思い通りに転がらない楕円形のラグビーボールを「理不尽」に重ねる例え話も、予測できないからこそ「おもしろい」と捉え、困難に立ち向かう姿勢が人を成長させるのだと教えられました。

「教育」という観点で考えると、偶然の理不尽を乗り越えることによる成長は肌感としても納得できますが、意図的に理不尽を与えるとパワハラやいじめになりかねないので、他者に対して理不尽を設計することは難しいという点が大きなジレンマだと感じました。著者も「理不尽」の効用を繰り返し語りつつも、決して強要はしない点に配慮や遠慮が感じられて好感を持てます。

「理不尽」という言葉に対する印象が変わり、変化の多い毎日を、力強くしなやかに歩んでいくためのヒントをたくさんもらえるおすすめの一冊です。

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2025年08月11日

Posted by ブクログ

理不尽なことを避けたり、非難しがちな世論が多く見られる中で、理不尽であることの中からの学びに気付く、気付かせることの大切さが伝わってくる一冊でした。
良い学びを得られました。

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

理不尽な体験をすることは決して無駄にはならない。
この世の中は決して公平でも公正でもない。フェアではない。
大切なのは、そんな境遇にあっても、いつも自分の夢を持ち続け、なんとかして理不尽な状況に打ち勝って夢を実現しようとすること、理想の人生にできる限り近づこうと努力すること。その過程に、生きることの醍醐味というか喜びもある。
人間は無力であり、現状を受け入れるしかないということ、そのうえで気持ちを切り替えるしかない。過ぎ去った時間は戻らない。どんなにつらくても、現状を受け入れ、気持ちを切り替えて次に向かうしかない。状況を変えるには自分が変わるしか、自分自身で変えていくしかない。

あることをあきらめて、別の道や可能性を探すことは決して悪いことではない。でもたいがいの場合、また同じことを繰り返すのではないだろうか。どんなところにいっても、多かれ少なかれ理不尽な目に遭わされる。そこに人間が介在する限り、絶対に矛盾が生じるから。

野球じゃなくてラグビーを選んだ。その理不尽さにおもしろさを感じた。というのは後付けの理由で、当時はそこまで冷静に考えていたわけではない。本能的に感じとった。

サッカーは点を取るゲームなのに、手を使えない。理不尽。だからこそ、そのルールによってゲームとしてすごく面白くなっているし、ダイナミックにもなっている。もしかしたら、自分の人生も同じかもしれない。この理不尽さ、今の状況は、人生をより楽しくするためのものなのかもしれない。

ある選手が伸びるか伸びないか、それを見分ける時、私は次のことを一つの大きな判断材料としている。うまくいかなかったとき、その原因をひとのせいにするかどうか。人の責任にする選手は、どんなに才能を持っていたとしても、それ以上は伸びない。自分の責任を放棄しないで、どうすればそれを克服できるかを考える。

たとえ理不尽に見える状況であっても、自分にベクトルを向ければ、もしかしたら成長するチャンスかも。やりたい方向に近いことが全てできなくなるわけじゃない。そこでできることをどうやったら大きくできるか。それを考える。

他人に責任転嫁しようとしてないか?といったん落ち着くには?自分を客観視する。今は自分が人の話を聞こうと着てないな、とか。客観視するには?物事を多面的に見ること。そのためには好奇心。物事や問題の本質や実像を掴もうとすること。

笑顔は意外と重要だ。運と愛嬌、素直さ。人との関係性の構築のしやすさ。関係が深まる。笑顔を見せてくれた相手に対して、人はもう一言言葉を重ねる。それだけ話に厚みと深みが加わって、相手の理解度も深まる。互いの距離も自然と縮まる。

周りがだらけている。楽な方向に流されている。そんなときはどうする?周りが文句を言えないくらいのことを自分がする。実際の行動と態度で示す。他の人が認めざるを得ないパフォーマンスをする。

折り合いをつける。自分のしたいこと100%はやらせてもらえないかもしれないけど、ある程度はやらせて貰える、そこで折り合いをつける。
ここで突っ張っても仕方ないな、と思ったら、周りの空気を読みながら、状況に合わせて思考を展開していく。それならこれはどうだ、それならこれは、と状況を見ながら柔軟に変える。でも、信念のところは変わらない。

道を拓くためのいちばん大きな力となるのは、「なんとかなるさ」という精神。
あまり細かくプレーを決めずに、状況を見ながらここぞという場面でたくさんのオプションの中から最前と思われるプレーを選択するほうが、良い結果をもたらすことが多い。これしかない、と思い込んでいると、間違った時に修正するのが難しくなってしまう。後戻りもしにくくなる。なんとかなる、と思っていた方が、失敗してもショックもダメージも少ないし、すぐに気を取り直して別の選択ができる。
なんとかなるさ、は楽しいことに出会う可能性も高くなる。

戦略的なゲームメイクばかりしていると、それ以上伸びない。新たな力、可能性を引き出すことはできない。それまで勝ち負けだった価値基準に、おもしろいか、おもしろくないかという視点が加わったことで大きく飛躍した。
理不尽な仕打ちが、日本代表の闘争心に火をつけた。ワールドカップ前の国際試合で四連敗した時には選手たちも盛大に叩かれた。けれどこれが選手の闘争心に火をつけた。このままでは終われない。

あまりに外部から理不尽に圧力をかけられたことが、大きなブラックパワーを産むとともに、横の連帯を強める。
社会というものは、世の中というものは、そういうふうにできている。理不尽にできている。だとしたら、問題はおれのほうにある。おれのキャパシティが非常に小さいんだ。世の中に理不尽はつきものであると認め、現実を受け入れること。そもそま世の中はそういうもの。

「理不尽に勝て」世の中は理不尽を解消しようという方向に向かっている。理不尽をいわば病原菌とみなし、「無菌状態」におこうとしている。でも理不尽はいくら排除しようとしても、完全には無くならない。もともと矛盾を孕んだ人間で世の中が構成されている限り、絶対に無くならない。

若い人や子どもが人間として間違っていることをしていると映ったり、こうしなければいけないと感じた時には、理屈抜きに叱ったり、無理やりやらせることも時折必要だ。実際、そうやって鍛えられる部分は実に多い。

基本は、仕事のこととかは、理不尽なんだから笑って流そう。ただ、大切な人が人としてどうなんだという問題に巻き込まれている時は、怒るようになりたい。

親として私は、自分の子どもに対してこう考えている。人様に迷惑さえかけなければいい。
あとは、願わくば自分がやりたいことを見つけ、その実現に対して一生懸命努力できるようであれば、そしえ明日が来るのを楽しみに待てるようであれば、何もいうことはない。
自分の期待に応えられなかったと子どもに失望しているなら、どんなに自分が愛情を注いでいると信じていても、それは愛情ではない。自分本位の勝手な感情であり、エゴと呼ぶしかない。いい学校に行けなかった。大企業に入れなかったからと嘆くのは、いい成績と大きな会社を愛しているだけ。

最近の若者は、勝利への意欲がないと言われるが、スイッチが入っていないだけ。理不尽な状況を用意することで、眠っている遺伝子にスイッチが入り、もう一度本能を呼び覚ますことができる。

楕円形のラグビーボール。どっちに転ぶかわからない。楕円の方が面白いから。何が起こるかわからない。そういう予測不可能性が、よりゲームをエキサイティングに面白くしてくれる。何が起こるかわからないから、不確実だから人はワクワクする。理不尽を理不尽だと思わない人間が、いちばん強い。
虚心平気かな。

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2024年04月05日

Posted by ブクログ

TVで実話化された平尾さんのドラマを見た。
平尾さんの事は名前と顔を知ってる程度で、私はiPS細胞の山中先生ファンなので、それを目当てに見たのである。

ドラマで病魔に侵された平尾さんが「理不尽を楽しめ」と言った。その言葉に、私は凄く心を揺さぶられた。

本書でも書かれているが、世の中は理不尽で溢れているし、世の中はフェアではない。でも、それを嘆いていても仕方がない。凄く説得力のある言葉だ。

前向きな平尾さんの言葉に元気をもらった。
天国の平尾さんありがとう‼️

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

平尾誠二さんが亡くなられて、もう5年。53歳という若さで亡くなられたことが本当に残念です。私より4歳年下。伏見工業高校で日本一。同志社大学で日本一。神戸製鋼で日本一。そして日本代表監督。本当にラグビーエリートです。ミスターラグビーと呼んでいい方だと確信しています。30年以上前に一度だけ梅田で、お見かけしたことがあります。カッコ良かった。オーラが凄かった。彼が存命であれば、日本のスポーツ界に大きな影響を与えていることは明らかです。前置きが長くなりすぎました、本の内容は、生きていく限り理不尽を避けて通れない。理不尽であることを認めて、自分の考えを変えることが大事なことである。理不尽を乗り越えることにより、新たな世界が見えて強くなれると言うことが書かれていると私は理解しています。作品とは関係ありませんが、ノーベル賞受賞者の山中伸弥先生との友情も感動的です。長くなりました。彼に対する思い入れが強すぎたように思います。

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2021年04月29日

Posted by ブクログ

理不尽なことが少なくなったいま、よく恵まれていると言われるけれど、一方で、いままではあった成長の機会が減ってしまっている。その分、ぶつかる理不尽から逃げず、成長の機会を自分で掴みにいきたいと感じた。

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2020年12月30日

Posted by ブクログ

世の中は理不尽なことばかりである。それを嘆く人は、理不尽は無くて然るべしだと思っている人だが、そうだろうか。もともと自然界は人間が整理できる理屈で成り立っておらず、世の中は矛盾だらけの人間が作り上げたもの。理不尽はあって然るべきである。であれば、「理不尽との付き合い方」を身につけることは、豊かな人生を送る上で非常に重要に鍵となるのではないか。理不尽な状況を「おもろい」と捉えられるかどうか。具体的には、誰もが諦める理不尽な状況が訪れたとき、それを乗り越える(生き抜く)方法は無いか、冷静かつ客観的に、仲間と情報交換しながら、上下左右いろんな角度から眺め、考え、闘志をもって臨むこと。人は結末がわかっている物語を「おもろい」と思わない。どうなるかわからないからこそ、理不尽で不確実な未来だからこそ、楽しむことができる。理不尽な状況を乗り越えた(生き抜いた)後、日本はどんな国になっているか、社会は、自分はどうなっているか。世の中が理屈で成り立っていないということは、何がどうなるかわからないということでもある。今やれることを全力でやれば、神様がご褒美をくれる、そういうことだってある。

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2020年04月12日

Posted by ブクログ

生きる力を養うために大切な事は何か?を述べた本。
それが理不尽である。
最近の日本では、理不尽を無くそうとしているが、これでは人が成長しない。理不尽に打ち勝ち続け、理不尽を理不尽と思わなくなる人間が一番強いのだと。

非常に共感出来た。今の仕事でも、プライベートでも理不尽な事は多いが、自分を強くしてくれるものだと前向きに捉えていきたい。

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2020年01月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どんなところに行っても、多かれ少なかれ、理不尽な目に合わされるからだ。そこに人間が介在する限り、絶対に矛盾が生じるからだ
立ち止まって考えるためには、もう一つ大事なことがある。それが、自分自身を客観視することだ
短い人生だからこそ、その一瞬、一瞬を大切にするし、できるだけのことはしたいと考えているのではないだろうか
日本人は農耕民族だからなのか、常に余力を残しておく貯金主義的なところがある。だから、ここぞと言う表処に弱い。重要な判断を迫られたときの決断力が不足しているのだ
幸せとは明日が来るのを楽しみに待ってること
そう、理不尽を理不尽だと思わない人間が、やっぱり一番強いのだ

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2019年11月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理不尽に耐えて、乗り越えていく心、行動力を持てるようになることが、人間としての成長につながる、逆に今の時代は理不尽なことを排除しすぎていて、経験がないから、立ち向かい、乗り越えることができなくなっているとの指摘。

理不尽に耐えて、乗り越えていく心、行動力を持つというところは賛同できるし、そうしたいと思うけれども、理不尽なことをなくすことを全くする必要がないというところには、ちょっと賛同できなかった。
理不尽なことを変えるための心、行動力を持つということも、人間としての成長につながると思う。(何事も変えるためには、パワーが必要だと思う)

本の中で、"妥協する"と"折り合いをつける"というのは、全く違うことといっていたところが、なぜか非常に印象に残った。
・"妥協"は、現状に甘んじること。
・"折り合いをつける"は、自分の欲求を抑えるなど、セルフコントロールのちからをつけることになり、次に進むための準備となる。

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2012年09月02日

Posted by ブクログ

義兄から借りた。
理不尽なことに直面することは無駄なことじゃないんだということを改めて知らされた。もちろん、どう取り組むかによって無駄になってしまうことも忘れずに。
文章も読みやすく、あっという間に読み終えた。
あとこの本を読んだら、岡田武史の本を無性に読みたくなった。

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2012年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理不尽に勝つというよりも、理不尽を活用しようといっているように感じた。すぐに何かできるようになるノウハウ本ではないが、一読の価値がある本。筆者の経験からくる重みのある言葉が読める。
いくつか気になったフレーズをピックアップする
•理不尽は絶対になくならない
•フェア/アンフェアは立場で違う(スポーツなんてアンフェアのかたまり、理不尽にしてこそ楽しさが生まれる)
•理不尽は人を鍛える
•一人だけチームから浮き上がって優秀に見える時は、いい状態ではない、それは周囲よりも本人に問題がある
•感覚を研ぎすます。このために理不尽に耐えて鍛える

納得の言葉が多い、私自身もそれほどではないが、理不尽に鍛えられてきたと実感する部分はある。望んで理不尽にあいたくはないが、なくならない以上、活用できればと思う。

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2012年05月04日

Posted by ブクログ

古い根性論ではなく、かといって「納得性のある理論的な」スキルアップ論でもない。理不尽さは必要、と説きます。辛くてもスジが通っていなくても、それをすることで自分が向上する時がある、と。

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2012年04月30日

Posted by ブクログ

事例はとても極端で、かなりタフな人でないと耐えられないと思うし、さすが日本を代表するラグビー選手のレベルの話だな…という感じなのですが、本質は合意。

世の中理不尽なことは多かれ少なかれあるので、滅菌状態で暮らすのは望ましくないと思う。
ただし、どれくらいの負荷を耐えられるかは持って生まれた資質もあるので、人を育てる立場の人間はその資質の見極めをして負荷をかけていかないと潰れる人も居ると思うので注意が必要。

そのほかにも平尾さんの考えが随所に散りばめられていて、確かにそうだよなぁと納得する部分が多かった。
例えば、複数の物差しを持って自分や他人を評価することの重要性や、データだけではなくおもしろさも軸に置くということなど。

全てが同意見ではなくとも、部分的に学べるところを探したり、抽象化して実はこんなことが言いたかったのではないかと理解することは読書においてとても大事なことと感じます。

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2022年01月06日

Posted by ブクログ

・平尾さんの熱を感じられる一冊。
・人によっては刺さらないかもしれないなぁ(笑)と思う、私は好きです。
・これまで理不尽だと思ったことってなんだろうと思い返すきっかけになった。

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2021年02月15日

Posted by ブクログ

本書を読んでまず思ったことは、著者平尾誠二はとてもタフな人だということ。
過去に経験した「理不尽」が彼をタフにしたのかもしれないが、このタフさ加減はそうそう真似ることはできないのではないだろうか。
スポ魂を嫌う著者ではあるが、実は著者の中にもそれに近いものがあるようにも思う。

「いい時は悲観的、悪い時は楽観的」という考え方はとても素晴らしいと思った。
物事がスムーズに進んでいる時は、自分が思うより自己評価をちょっと低く見積もり、逆に、うまくいかずに気持ちが落ち込んだ時は若干高く評価するのだ。(p46)
これはスポーツの世界では勿論のこと、一般的な仕事にもあてはまるだろう。
調子のいい時は謙虚に、悪い時は奮起するために、気持ちのコントロールをするのだ。
著者自身、謙虚な人だったのだろうと思う、理不尽の原因を外に求めないという姿勢もその表れだろう。

最後の最後に「理不尽を理不尽だと思わない人間が、やっぱりいちばん強いのだ」という一文がある。
そこまで到達するのは至難の業だが、少しでもそのようになれるよう本書で学んだことを活かしたい。

実際に理不尽な状況にある最中に読んだら、より意義のある内容だったと思う。

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2020年10月30日

Posted by ブクログ

説教臭いと思われるかもしれないけれど、平尾誠二はこれでいい。特定の時代に苦悩して体現したことが、無駄なわけがない。そのように思いながら読むんです。

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2020年07月26日

Posted by ブクログ

理不尽は矛盾を抱えた人間が社会を構成している限り、いくら排除しようと完全には無くならない。

まずは、「世の中に理不尽はつきものである」ことを認め、現実を受け入れる。
生きていく限り、いやでも理不尽な状況に直面しなければならないのなら、その状況をなんとかして乗り越える強さを持つ。
さらに、理不尽な状況をマイナスと捉えるのではなく、プラスに転化していく方法を探る。
要は自分の捉え方次第。
理不尽を理不尽だと思わない人間がいちばん強い。

ラグビーの世界に長年身を置いてきた著者だからこそ伝えられる内容だと感じた。
体育会系すぎる気もするし、全てが理解できるわけではないけれど。
また、立場や置かれている環境が変わったら読んでみたい本。

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2020年05月25日

Posted by ブクログ

2019.10.12
やっぱりそうよなあ、と思うところがちらほら。企業にいても応用できる考えがたくさん。古臭いと言われる考えもあるかもしれないけど、個人的には共感する部分がたくさんあった。

媚びない、キレない、意地を張らない

妥協せず、折り合いをつける

頑固にして柔軟であれ

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2019年10月12日

Posted by ブクログ

タイトル通り、「理不尽に勝つ」ことを一貫したテーマとして、
著者の経験に基づき記載されている。
生まれながらにして平等でない我々は、理不尽を活かすことで
しか幸せになることはできないし、改めてその覚悟をさせてもらえた。

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2013年02月03日

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