【感想・ネタバレ】新しい労働社会 雇用システムの再構築へのレビュー

あらすじ

正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 日本の労働の現状を分析しつつ、どのような政策を取るべきかを論じた本。

・三六規定(労働基準法第36条の時間外労働規制)は1週間の労働時間の上限(原則40時間)と定めているが、時間外労働を含めた上限を定める必要がある。

・日本は整理解雇(リストラ)の条件が非常に厳しく、個別解雇の条件が非常に緩い。そこで企業から退出を迫られることなく使用者に対して発言できる担保としての解雇規制を考えるべき。

・日本では均衡処遇=同一賃金同一労働の原則が適用されていない。これは同じ内容の労働に同時間従事しても、正規労働者か非正規労働者で賃金に格差が出ることである。

・2000年代に入ってもフリーターはバブル期と変わらない「夢見る若者」として扱われた。その中で非正規雇用問題も、アルバイトは「若者の就労意識の欠如」、パートタイマーは「夫婦間のアンペイドワークの問題」といった言葉で片付けられてきた。

・労働組合=正社員組合になっているのは危うい。非正規労働者を含めた集団的合意形成と共に、特定の人の利害のみを代表しない、使用者から独立した労働者代表組織が望まれる。

 この他にも、生活保護制度を救貧という観点でなく、就業促進を図れるものにするよう主張するなど、単なる人道主義に陥らないバランスの良さも評価できる点。

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2011年06月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本は……難しいです(笑)
目新しいと感じたのは、最低賃金の成立背景つまり、家計を補助する学生や主婦が主だったためにその低賃金で良かった(所得主筋は男性である)が、もはやその性格は過去のものとなり、フリーター等はその補完的性格である最低賃金で生活を営まなければならない状況にあり、これは現実社会と醋齬をきたしている。

それともう一つ。労使の団体交渉について、労働組合への加入は管理職を除く正社員であり、利害関係者として管理職や非正規社員は排除されている点。
これだと労使間協議の際、利害を主張できない非正規社員が真っ先に不利益を被ることになる。
しかも、一企業では非正規社員数と正規社員数の比率が逆転しているところもあり、そのような少数の(正規社員の)主張が労働組合全体の主張といえるだろうか、疑問を禁じ得ない。

もちろんその他、主にEU諸国の取り組み事例を紹介し、それをEU礼賛主義ではなく、模倣する際の注意点や批判もあり、丁寧に書かれているにも関わらず読解力の無い(労働問題は全くの門外漢な)僕には理解の難しい点が多く感じました。

偽装請負問題も分かったようで分からない、一知半解の状態で、もう少し社会勉強をしてから読むと面白いのではないかと思いました。

キャバ嬢の労組結成がタイムリーな話題となってるので、これから数年に労働問題のパラダイムを迎えるのは間違い無いと思います。

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2011年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

[ 内容 ]
正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。
その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。
正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。
問われているのは民主主義の本分だ。
独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。

[ 目次 ]
序 章 問題の根源はどこにあるか―日本型雇用システムを考える
第1章 働きすぎの正社員にワークライフバランスを
第2章 非正規労働者の本当の問題は何か?
第3章 賃金と社会保障のベストミックス―働くことが得になる社会へ
第4章 職場からの産業民主主義の再構築

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2011年04月27日

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