【感想・ネタバレ】サルたちの狂宴 (下) フェイスブック乱闘篇のレビュー

あらすじ

自身のスタートアップをツイッター社に売却し、フェイスブック(FB)のプロダクトマネジャーとして入社したアントニオ。宿敵グーグル打倒に燃え、新規株式公開(IPO)に沸き立つFB社員たち。一方、彼が全力を注ぐウェブ広告の新規プロジェクト「FBX」は、社内を二分する論争の的になりつつあった――。

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Posted by ブクログ

著者のFacebook(、Twitter)時代を描いた下巻。

Facebookの中身はどうなっているのか詳細に語られている。Facebookの企業文化によって著者のプロジェクトであるFBXがなかなかうまく進まない点にはやきもきさせられた。FBXの顛末を考える余計に…。

上巻に続いて描写が細かく、専門用語や裏事情には具体例を交えて捕捉されているのでかなり感情移入してしまった。

学生の身で読んで十分楽しめたが、社会経験を経て読んだら見えてくるものも違ってきそうな予感がする。

またいつか再読したい本である。

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2021年08月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下巻はフェイスブックでの日々が中心

モバイルの世界とウェブの世界はこと広告に対しては大きな差異があるそうだ。ウェブの場合はクッキープールを介して様々なパブリッシャーがユーザーがどのような行動をしているのか把握できるのに対し、モバイルの世界ではクッキーがアプリ毎に隔離されているため、ユーザーが他のアプリでどのようなことをして、どういう関心を持っているかということがうかがいしれない。そのため、入り口で課金(ダウンロード一回400円のような)するなどマネタイズに関しては進んでいる。モバイルで広告によって課金しようというアプリはそもそもそれだけの人気がないものばかりだという。

2012ころからプライバシーの問題がやかましくなってきており、モバイル的な作りのフェイスブックにとっては幸運な状況だという

ただ、著者自身は毎年のようにギャンブルを繰り返し、大きな当たりが出ればよし(フェイスブックにとってはインスタグラムやワッツアップの買収)、出なければ急速に会社が衰退していくというシリコンバレーの流儀に疑問を感じたこともあり、四年間(ストックがボーナスとしてつく)を過ごして退社しているが、IT長者というほどのものにはなれなかったという

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2018年08月13日

Posted by ブクログ

上下巻の話で、上巻は著者がゴールドマンサックスの金融業界から、シリコンバレーのIT業界への転身。
さらにベンチャー立ち上げ。資本金の獲得からTwitter社に売却までを描く。
Twitterへの売却は会社の身売りというよりも、会社ごとの吸収合併。
著者もCEOな訳なので、当然にTwitter社に転籍するはずなのに、そこを裏切ってFacebook社へ転職。
下巻はFacebookの広告マネージャーと転職してからの、Facebook内の広告の仕組みの杜撰さ、そこを改善するために社内政治に巻き込まれながら奔走する様子が描かれる。
本書は業界の内幕だけでなく、所詮自分自身も「サル山サル」であることを揶揄しての物語が展開さていく。
シリコンバレーのエンジェル投資家とベンチャー企業との関係性。
ほとんどは人脈と言われるが、逆にどうやって人脈を築き、事業をプレゼンし、資金を提供をしてもらうか。
そんな様子もざっくばらんに描かれる。
タイトルの通り、その様子はカオスであって、秩序がある訳では決してない。
サル山の掟は確かにある。しかしそれは統制が取れているものではない。
暗黙のルールを守らないと業界内では決して生きていけないのは確かだ。
だからと言って、おとなしくしていても一歩も前には進まない。
むしろ搾取され、むしり取られて自分が損をするだけだ。
そうならないためにも、時にはハッタリをかまし、騙される前に相手を騙し、違法スレスレのところでヒリヒリと神経をすり減らしながら生き残りをかけて戦い続ける。
読み進めていきながらその様子を想像すると、シリコンバレーとは本当に競争が激しいところだと感じる。
日本のように同質性がある訳ではないので、様々な人種がひしめき文化も異なる人たちの中で、誰を信じて誰を敵と見做すかは、相当に難しい判断だ。
裏切りそして裏切られの世界の中で、まさに生き残るために最も大事な人生の選択は「人を見る目」なのかもしれない。
この物語はシリコンバレーの成功譚ではない。
著者はかなり恵まれた方だとは思うのだが、本書は貧乏人がのし上がって成功したという立身出世物語ではないところが特徴だ。
金銭的にも比較的赤裸々に記載しているが、ベンチャーの売却による利益やFacebookのギャラや持ち株を含めても数億円の収入にはなっているようだが、これもシリコンバレーでは大成功とは言えないようだ。
本書を読むと日本との物価の違いも相当に感じる。
サンフランシスコに家族が住める一軒家を買うならば、2~3億円はかかる。
そもそもの生活コストが相当に高いのだ。子供がいれば、子供の大学までの学費で日本の何倍なのか。
(冗談でなく10倍くらい違うのではないだろうか)
サンフランシスコ、そしてシリコンバレーだからという特徴かもしれないが、日本が相当に暮らしやすく、世界的に見ても生活コストが相当安いということを改めて感じてしまった。
下巻のFacebook編は主に社内政治の話なので、ここは日本のサラリーマンとしても共感できる点はあるのかもしれない。
どこの世界でも上司と部下の関係性は似たようなものかもしれない。
カリスマCEOと何も持たない部下を比べたら、どちらを向いて仕事をするのかは明白だ。
Facebookという企業でも縦割の弊害は記載されている。
それも当然だ。
人種も様々で、隣の人間も敵か味方か分からない状態で、組織を超えて仲良くなろうなんて思わない。
関わらない方が得と思うのか。
外側にも味方を作った方が得と思うのか。
つまりはすべてが個人の損得勘定で判断されていくということなのだ。
組織全体の得とか、会社全体の得とか、さらに言うと「徳」という目線では決して判断されないということなのだ。
人間の本性はなかなか変わらない。
今でもシリコンバレーの狂宴は続いているはずだ。
その狂宴が世界のスタンダードになっていくのかは分からないが、いずれにしても楽に生きていけることではなさそうだ。
これからの世界を生きていくには、覚悟が必要というなのだろう。
生き残りたければそうするしかない。
(2021/5/15)

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2021年05月30日

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