あらすじ
初期楔形文字で記されたシュメールの断片的な神話に登場する実在の王ギルガメシュの波乱万丈の物語。分身エンキドゥとの友情、杉の森の怪物フンババ退治、永遠の生命をめぐる冒険、大洪水などのエピソードを含み持ち、他の神話との関係も論じられている最後の世界文学。本叙事詩はシュメールの断片的な物語をアッカド語で編集しアッシリア語で記されたニネベ語版のうち現存する2000行により知られている。文庫化に伴い「イシュタルの冥界下り」等を併録。
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ウルクの王ギルガメシュが、神の創造したエンキドゥとともに怪物フンババを打倒すべく杉の森に乗り込む。見事フンババを征伐したギルガメシュは、その姿に惚れ込んだ大女神イシュタルから求婚を受けるがこれを拒否、罵倒の言葉を浴びせる。激怒したイシュタルは、天の牛をウルクに送り込み市街を滅ぼそうとする。ギルガメシュらは天の牛を退治できたものの、神々の裁決により、エンキドゥが熱病の呪いをかけられこの世を去る。親友の死によりギルガメシュは自らも死ぬ運命にあることを悟り、不死を求めて賢者ウトナピシュティムのもとへ向かう。
解説にもあるが、今から3000年以上も前に書かれた話でありながら、不死を願う人間(ただし女神と人間の子ギルガメシュは2/3が神)という普遍的なテーマが題材となっていて想定よりも読みやすい。この物語は、石板の欠片を寄せ集め、英語やドイツ語、ロシア語、チェコ語、アラビア語等数十の翻訳版が生み出されており、それらをベースに今回の和訳がなされた。こうして(比較的)読みやすいテキストとなっているのは、研究者たち、翻訳者たちの血の滲むような努力の賜物といって間違いない。また、付録で入っている「イシュタルの冥界下り」も、その神秘性が面白い。
古代メソポタミアの物語を文庫で手に取って読めることの幸運を今回感じました。
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ギルガメッシュ叙事詩とイシュタルの冥界下り。色んな物語の元ネタになっている神話なので(なんなら聖書のノアの方舟のエピソードもこれに影響を受けている説がある)、知っているとフィクションがより楽しめるし、いつでも参照できるようにしておきたい。
所々、粘土版が欠如していて展開がわからないところがある。
数年前に、新たに発掘された粘土版から、ギルガメッシュ叙事詩の失われたパートが発見されたというニュースを聞いたけど、その後どうなったんだろう?
そのパートの展開を加えたらどんな話になるのか読んでみたい。
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宮崎駿監督の『もののけ姫』など、ありとあらゆる伝説、物語のルーツとなった作品「ギルガメシュ叙事詩」。その日本語訳である。
シュメールに起源をもつこの物語は楔形文字で書かれており、古代オリエントに広く流布された。伝播の過程で様々な言語に編纂され、新たなパートも取り込まれており、完本は現存しない。本書も所々抜け落ちた状態である。おそらく全体の半分ほどしか伝わっていないのではないかとされる。
しかし訳者の矢島氏は、それらいくつかのバージョンをパッチワークのように組み合わせ、英雄王ギルガメシュとその友エンキドゥの物語を、筋が通るように訳出した。
あくまで一般向けとの配慮から、1965年の刊行ながら、その訳文はわかりやすく、ゴテゴテした修辞は排されている。とても面白い。文庫化に伴い、イシュタル(イナンナ)の冥界下りも収載された。
興味深いのは、ギルガメシュもエンキドゥも頻繁に夢見をすることだ。当時のメソポタミア、オリエントではそのような占いが存在したということか。
師匠から矢島氏の話はたびたび聞いていた。本文以外の氏のコラムも、非常に示唆に富み、興奮を覚える。実在したというギルガメシュ。その4000年前の姿に想いを馳せる。
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第七板。「エンギドゥよ、なぜお前は遊女をのろうのか。あれがお前に教えたのは、神にふさわしいパンを食べること、王者にふさわしい酒を飲むことだった。あれはお前に立派な衣服を着せたではないか。そしてお前に良き友ギルガメシュを与えたではないか。」
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本日本屋に行きましたら、平積みでFGOの帯が掛かって売られておりました!
ゼロ放映時に購入した際はネット注文したな-と懐かしく。
今時の小説のような気の効いた台詞などはありませんが、思っていたよりも人間味ある物語が印象的でした。
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書板の欠損などで空欄も多いにも関わらず面白く読めた。
神様も善だけの存在じゃないから良いね。
箱舟伝説って聖書しか知らなかったので、鳩のくんだりでノアまんまやんと思い、発見当時のセンセーションと同じ気分になれました。
書板の数が12だったり、一、二...と並べたてるところとかで6とか12の区切りが多いのは、シュメールが六十進法だったからでしょうか。
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「野原をさまよってのちに
大地のまんなかにわが頭を横たえるべきか
すべての年々をずっと眠りつづけるがために
わがまなこをして太陽を見させよ、私が太陽に満つるように
光あるところ暗闇は引き下がる
死を死せる者、太陽神シャマシュの輝きを仰ぎ見んことを」
ビューリホー
旧約聖書に接続する洪水神話の原型だけでなく、シッダールタの旅立ちも思わせる
ギルガメッシュの旅に答えをもたらしたのがシャカだとでも言いたいくらい
予想外に古事記みたいな読む苦労の要らない傑作でした
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世界最古の神話文学
原語は粘土書板に楔形文字で刻みこまれたアッカド語(バビロニア・アッシリア語)で、もとは十二枚の大型書板に分けられ、計約三六〇〇行あったと考えられているが、今は二〇〇〇行のみが残っている。
一八七二年ジョージ・スミス「大洪水書板」発見以後、今では世界約三十ヵ国語に翻訳されている。
叙事詩・解説とも、素人の私でもとても読み易く世界最古の神話を楽しめました。
遥か昔の人が残した文章を読む・・・それだけでとてもわくわくした思いを抱くことができました。
よい読書でした^^*
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十年かけて訳した矢島先生の凄さ。万年筆を使っていたけどボールペンが世に出て、使うようにしたら便利だったとか、なぜか感動して泣きそうになった。
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オリエント学者 矢島文夫氏によるギルガメシュ叙事詩の邦訳。文庫版にはイシュタルの冥界下りも併録されてます。古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメシュを巡る物語で、人間の知られている歴史の中で最も古い作品です。オリジナルに欠落が多く、あらすじを理解した上で読む必要がありますが、物語として成立するように様々なテキストで補完して、邦訳が編集されているので、ギルガメッシュやエンキドゥなど登場人物が魅力的に描かれているのは分かります。解説なども豊富で非常に面白かったです。最近でFGOなどで知っている人も多いのでは?
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古代にこんな物語が書かれたことに驚きました。
死をテーマにした話は、現代にも通じるので楽しめます。
洪水伝説の舞台はどこかについて考察も一部あり、非常に興味深いです。
この書籍は、少し予備知識がないと理解が分かりにくいところがある為、初心者向けの書籍と一緒に読むと理解が深まると思います。
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FGO好きとしてやはりバビロニアの話はおさえておきたい。ずーっと昔に存在した、シュメール人が残したお話。文字を残すほど発達した文明だったのだろうな。そしてこれを訳した人たち全員にノーベル平和賞もしくは文学賞を贈りたい。
ギルガメッシュもイシュタルもエンキドゥ(FGOではエルキドゥ)も人間くさいなと率直に思った。
ていうかイシュタル、ギルガメッシュにめちゃ惚れしてんじゃん!!!笑
FGOでのツンデレ具合がかわいく思える。
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普通の本として読んだら評価が難しい本だと思う。本文自体は短くあっという間に読めるが、古代遺跡の粘土板に書かれた断片を集めて、沢山の考古学者が翻訳して整理したものなので欠落部分が沢山ある。本書ではそうした欠落部がそのままカッコになって抜けており、本文だけ読むと何が何やら?という感じだが、解説部を読むとこの本を現代人が母国語で読めることの凄さを感じる。
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世界史の教科書でお馴染みの世界最古の文学作品。読む前はギルガメシュ叙事詩=洪水物語というイメージだったけど、物語の本筋は違うところにあって意外でした。
数千年前に楔形文字で記された作品が今、自分の母国語で読めるなんてすごいなぁとロマンを感じます。
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ウルクのギルガメッシュ王は英雄で暴君。女神アルルは対抗するために粘土でエンキドゥを作りますがライバルになるはずが親友になってしまい冒険の旅に出て森に住む怪物フンババを倒したりします。約4000年前に楔型粘土版で書かれ今のラップ風に人々に伝承されたよう。人類は物語で発展した説も納得です。
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ウルクの王であったギルガメシュの英雄譚。
ゲームで興味を持ち購入した。
ストーリーは一貫して死がテーマになっており、エンキドゥが死んでからの不死の法を探す旅は特に面白かった
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原本が原本なので欠損が多く読みにくい印象を受けた。それはそれで仕方が無いので諦めつつ楽しく読んだ。
授業で使うので仕方なく読んだものだが欠損部分の想像が楽しい。時間ができたらゆっくりと読み込んで自分なりに解釈を持って読むのも楽しそうだ。
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世界最古の文学作品です。そのため、まだまだ発掘調査中で、翻訳中です。この文庫版の初版は1998年に出ています。初版発行から約30年経ちますが、翻訳に進展はあったのかが気になります。おおよその作品の流れはだいたいわかりました。いつの時代も永遠の命はテーマになるようです。
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約半分が叙事詩の訳で、残り半分は解説やあとがき。
いろんなサブカル作品に出てくる固有名詞が見られる。
しかし、やはり目に留まるのは大洪水のくだりか。
現在のギルガメシュ叙事詩は、アッシリア語、バビロニア語、シュメール語、アッカド語など複数の言語の原テキストから再構成したもののようだ。
解説やあとがき部分を読むと、叙事詩の翻訳の歴史が伺える。とはいえ、これも既に25年も前のお話になってしまっているのだが。
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楔形文字で残された太古の物語を現代の日本語に変換してくれているなんともありがたい書物である。過去に様々な言語に訳され残されているものからまとめ、破損している部分も多々ある原文を補っている。古代バビロニア語、アッシリア語、シュメール語、フーリ語、ヒッタイト語、アッカド語といった言語で語り継がれた物語だ。
文中にも鉤括弧のみのところもいくつかあり、破損された部分で翻訳ができない箇所が存在する。それでも、物語として追えるので心配しなくても良い。旧約聖書にある洪水(ノアの方舟)と似た場面も登場する。神様と人間が共存する世界での英雄ギルガメッシュの物語。一般教養として一読できた。
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5000年以上前に書かれていた作品というのも凄いけど、それをよくここまで解読したなと感心。あと、訳者がこの本を出すに至る過程のお話しもなかなか興味深いものがありました。
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メソポタミア神話であるところの、ギルガメシュが主人公の物語を読むことが出来た。これが、数千年前に作られた物語であることに価値があると感じた。
あらすじを知ってから読んだため、大筋を理解しながら読み進めることができた。アニメのfateとも通ずる話であったため、イメージも湧きやすかった。
この時代から、不老不死を求めることに意外性を思った。
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『ギルガメシュ叙事詩』は、古代メソポタミアの文学作品。実在していた可能性のある古代メソポタミアの伝説的な王ギルガメシュを巡る物語。人間の知られている歴史の中で、最も古い作品の一つ。 ウィキペディア
執筆年: 紀元前2100年
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ギルガメシュという英雄の名前は、いままで数々の物語やゲームなどに出てきたので知ってはいたが、数千年も前に石版に書かれていた物語の主人公であることは知らなかった。
数千年も前の人たちが今と同じようにこの物語を石版で小説を読むように簡単に読んでいたとは思わないので、ある意味、特別な用途、例えば神にささげたり、祭事に利用されたりしたのだろう。
ギルガメシュという王が半人半獣のエンキドウと戦い、後に親友となり、そしてまた冒険に出かけ、最終的にはエンキドウを失ったギルガメシュが不死を求めるがそれもできなかったという、物語的には単純な話ではあるが、数千年も前の古代人が今と同じように考え、物語を楔形文字で記録していたということに壮大なロマンを感じる。
解説が詳しく、理解しながら読める。一読の価値あり。
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久々に古代の物語を読んだ。
こういう昔の書物を読んでいつも思うのは、人というものは、もうのっけから、愛や友情や生と死という根源的なものに思いを向けていて、それは何千年経っても変わらないんだなあという感慨。
こういう時、素直に人ってすごいなあと思う。
さて、ギルガメッシュという、今時のアニメやゲームなんかではかなり有名どころの英雄のお話はいかなるものかと思って読み始めた訳だけど、思っていたのとはちょっと違ったかな。
なんというかギルガメッシュ自身はそれほど英雄という感じではない。
むしろ前半はエンキドゥの方が主人公的だし、野原で野生の獣と暮らし、女性と交わることで人として目覚め、ギルガメッシュとの力比べによって無二の友となり、悪神フンババを積極的に退治するその様、そして神の怒りを買い死に至る悲劇性を含めて彼のほうが英雄らしい。
後半もまた、ギルガメッシュが不老不死を取り逃がしてしまうラストも相まって、ギルガメッシュイコール英雄という感じではない。
なので少し思っていたイメージとは違ったのだ。
まあしかし、英雄に苦難はつきものだし、悲劇の英雄譚もあるわけだけど。
それにしても、この物語がおよそ6000年も前には語られていたことは素直に驚く。
もちろん、イーリアスやエッダやマーラーヤナのようなのちの英雄物語に比べれば、物語は簡素で直線的ではある。
それでもその後のいろいろな神話の源流がここにある。
遥かな時を経てそれを読めるのは、うん、嬉しいことだ。
Posted by ブクログ
いつか読みたいと思っていたギルガメッシュ叙事詩をやっと読んだ
ギルガメッシュとその親友エルキドゥの冒険と友情の物語なのかな
イシュタルの冥界下りと日本の天照大御神の話が興味深かった
Posted by ブクログ
サブカルで有名になったギルガメシュ叙事詩。数千年前に書かれた物語が現在日本語で読めるということが凄い。その過程にはかつての帝国主義も大きく関係しているようだが、その光の部分といえるだろう。
内容も友情、不死(人生)など普遍的なもので面白いだけでなく示唆に富んでいる。欠落が多いのはまさに言葉にできない損失。中東で遺跡が破壊されているのは本当に悲惨なことだと改めて思わされた。もちろん様々な要因が絡み合っており、一概に破壊者を非難することはできない。
少しわき道にそれたが、今後欠落部の石板が発見されることを願う。発見された石板が保管されている場所の一つ、大英博物館には絶対行ってみたい。数千年前に書かれた神話を目の当たりにする、これこそロマンと呼ぶべきものだろう。