【感想・ネタバレ】ほしのこえ あいのことば/ほしをこえるのレビュー

あらすじ

2046年──。同級生の長峰美加子と寺尾昇は淡い恋愛感情を持ちながらお互い口に出せずにいた。だが、その夏ミカコが国連軍の選抜メンバーに選ばれ、翌年の冬には宇宙へと旅立ってしまう。高校に進学したノボルとミカコは携帯メールで連絡をとりあうが、リシテア号が太陽系を離れるにつれて、メール送受信の往復にかかる時間は開いていくことに……。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

2046年。宇宙港のある街に住む中学3年生のミカコとノボルはありきたりな恋をしていた。ミカコが国際連合宇宙軍の選抜メンバーに選ばれるまでは。


学生生活、恋をし、名字と名前の境に戸惑い、距離を縮めていくふたり。
もどかしくも惹かれ合う日々にお終いの日が訪れる。
火星を襲った異星人の探査のため出航する国際連合宇宙軍のコスモナウト・リシテア号の搭乗員に民間人としてミカコは選抜されてしまう。

お互いの不安をかき消すかのように携帯のメールをやり取りするふたり。
宇宙空間の美しさ、高校の些細な出来事、惑星の雄大さ、友人の恋愛話。
地球からの距離が離れるに連れ生じる時差は2週間を超え、1年、そして8年となっていく。

ミカコの打ったメールが届くのに8年。
ノボルの返信が届くのに8年。
絶望的な遠距離恋愛の物語。

ねぇ、ノボルくん。
あなたがこのメールを読む8年と224日と18時間後のそのときにも、
わたしはノボルくんのことすごくすごく好きだよ・・・・・・。

突飛な設定にも関わらず、胸を重く締め付けるのはふたりが過ごした、短くもありきたりな日常があったから。
階段の踊り場、自転車置き場、雨のバス停、きれいな素足。
数え切れてしまう出来事や思い出が、真っ暗で果ての無い宇宙をいっぱいにしていく。

高橋しん著の「最終兵器彼女」に代表されるいわゆる“セカイ系”だが、携帯の電波が届く距離が世界の全てだと信じる世代には、何よりも痛々しく、何よりもリアルな真実味をもって突き刺さる。


加納新太 その他の著書

・雲のむこう、約束の場所
・タウンメモリー
・シャイニング・ティアーズ 双竜の騎士

などなど

0
2011年03月30日

「SF・ファンタジー」ランキング