あらすじ
あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで──。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。
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Posted by ブクログ
この子と同じ切実さで全身がぐったりした。なんとなく思い当たるような惨めさをひとつ残らず目の前に突きつけてくる力強さに痺れた。読み終わった後も言葉の渦が頭から消えない。
家庭環境の複雑さに縛られていることはパーソナリティに大きく関わる事柄のはずなのに、こうした情報が整然と提示されることはなく、むしろ向伊との交渉という物語の必要によってようやく明かされる。そういう事情と向伊との交渉がどうやら一続きであるようだと読み手の立場からは受け取れてしまうけど、彼女自身は全く関心を払っていなそうなことにビックリした。他にも何が語られないかを見ると面白くて、向伊とのセックスも妄想の内容は生々しく描写されるのに実際の行為については割愛されることとか。ひたすらに自意識のたたかいの話だった。大好き
Posted by ブクログ
⚫︎感想
まず、知らない人から電話がかかってくるパターン、好きだった笑 一気に読むつもりはなく読み始めたけど、一気読みした。
自分が自意識過剰だと気づかない19歳。もう昔の自分でもないし、その他大勢の女どもでもない。全てを分かっている。馬鹿にされていることも分かった上で、手のひらの上で転がされているのを演じている。いつかひっくり返してやる。…という全能感に近いような思いを秘めている反面、自分の欲望をコントロールできてはいない、そんな若く危うくて、自分のことが嫌いで好き、尊いけど本当は矮小で一般的な主人公や他の登場人物を通して、読者は多かれ少なかれ、どこかに自分の姿を思うのではないかと思った。こんな気持ち悪い登場人物ばっかりの世界、ある?と思ったけど、読み終わった頃には、振り返ってみれば20代前半、拒絶したくなるような、恥ずかしい、未熟な自分が確かにいたよなと思わされ、「ぬるい毒」がまわった。
⚫︎あらすじ(本概要より転載)
あの夜、同級生と思しき見知らぬ男の電話を受けた時から、私の戦いは始まった。魅力の塊のような彼は、説得力漲る嘘をつき、愉しげに人の感情を弄ぶ。自意識をずたずたにされながらも、私はやがて彼と関係を持つ。恋愛に夢中なただの女だと誤解させ続けるために。最後の最後に、私が彼を欺くその日まで――。一人の女の子の、十九歳から五年にわたる奇妙な闘争の物語。渾身の異色作。
Posted by ブクログ
向伊にどんなひどい目に合わされるかと怖くて、でも続きが気になって読み進めた。
とことん侮蔑されたら意外と平気だった。
恐れているものに目を背けず対峙すると案外スルッと抜けだせるのかも。
Posted by ブクログ
なんだかヌメヌメとしたものが心の中に張り付いてくる1冊。
これは恋なのかはたまた恋じゃないのか
分かってた上で近づく主人公
でも実は私たちの周りでどこでも起こっていそうな。
いい意味での気持ち悪さがある話だった
Posted by ブクログ
決して読みやすい小説ではないなという印象。
主人公の心中以外は結構抽象的に書かれるものが多くて、それこそ語り手と同じように自意識に苛まれてる人でないと分かりにくいんじゃないかなと思った。
コテンパンに(されてはいるんだけど直接的に)されるでもなく、鬼になって復讐を遂げるでもなく、それを忘れながら死を意識していた23歳を超えていく結末。たしかにぬるいなと思ったし、それが人生だよねーと思う。大なり小なり人に嫌な思いをさせられて、嫌な思いをさせて、それが意図的なこともあるし無意識なこともある。
個人的にはもっと壮大なやり返しをして向伊にぎゃふんと言ってもらいたかったけれど、こういう曖昧さも悪くないなあとは思った。
ただちょっと、心が疲れてる時には向かないかも。序盤に繰り出される向伊の友人ふたりには結構傷つけられてしまった。「なんか、浅そうですね、熊田さんって」。モラルと相手を労る気持ちがない人、こちらからしたらあなたも"下"だと思うのに、その時の雰囲気や空気感で"上"に立たれているような構図。そういう人から言われるこういう一言って、本当にえぐられる。