あらすじ
「じいちゃんなんて、早う死んだらよか」。
ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のために面接に臨む日々。
人生を再構築していく中で、健斗は祖父との共生を通して次第に変化していく――。
瑞々しさと可笑しみ漂う筆致で、青年の稚気と老人の狡猾さを描ききった、羽田圭介の代表作。
新しい家族小説の誕生を告げた第153回芥川賞受賞作が待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
「じいちゃんなんて、早う死んだらよか」。
ぼやく祖父の願いをかなえようと、孫の健斗はある計画を思いつく。自らの肉体を筋トレで鍛え上げ、転職のために面接に臨む日々。
人生を再構築していく中で、健斗は祖父との共生を通して次第に変化していく――。
新しい家族小説の誕生を告げた第153回芥川賞受賞作
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題名を見て、この本が介護系の内容と思わなかった。
孫の健斗を通して、介護リアルを描いていて、とてもおもしろかったし、自分も筋トレするぞって思った。
身体がしっかりしてないと、老後のQOLを上げることはできない。「死にたい」という言葉を発することのない自分でいたい。
Posted by ブクログ
介護が必要となった祖父を孫である健斗が苦痛なく死なせるように努力する物語。
今19歳の若者である私は、健斗の考え方に共感する部分がよくあった。まだ若い健斗は資格の勉強や筋トレなどを通して成長していくが、歳をとり体も悪くなり弱音をよく吐く祖父に対してイライラしたり、また、このような長生きさせても待っているのは死しかない老人たちを支えるために年金を払うことに嫌気がさしたりなど、今の多くの若者が考えていそうなことに共感できた。主人公の健斗は、このような悩みから解放されるために、普段から死にたいと嘆く祖父の願いを叶える、という大義名分のもとに祖父をだんだん衰えさせていってるんだなと思った。
ただ、一見非人道的に思える計画を実行に移す中で、文章の中で描かれる健斗の善人の部分が見られたのがよかった。祖父がよく吐くありがとう、すみませんのような意味の無い形式的な言葉のように死にたいと言っていたと考えたり、健斗の行動が原因で祖父が死にかけたり溺れかけたりした時に祖父が健斗を責めなかった時に罪悪感のようなものを感じていたりと、健斗の中で葛藤が見られた。これによって、健斗の人間らしい部分が垣間見えたのがよかった。
また、最後の健斗が就職先の茨城県に向かっている電車の中で、周りの人々をみて劣等感を感じるシーンが心に残った。これは、体が弱って周りからの介護が必要だった祖父を助けているうちに、健斗の心の中に、「やってあげている」、「してあげている」といったような傲慢な心が生まれていたのではないかと思った。
Posted by ブクログ
これまた1年半くらい前に読んだ本。
「むらさきのスカートの女」に続く芥川賞受賞作品。
これまた意外と面白くて「死にたかー死にたかー、死なせてくれー死なせてくれー」って言う祖父と孫のやり取り。
いつもそんなことを言って気を引く割に、デイケアだったかどこかの介護してくれる女の子のお尻かなんかはしっかり触るっていう。
で、孫もいい加減にしろやーと。
でもそんな事を言いながら孫、なんだかんだ優しい。
最後は、なんだかえっていうぐらい、祖父がしっかりしてたというか、心がちゃんと祖父になってると思った気がする。
「意外と良かった。孫が清々しい。」というのが、読後残していたメモだった。
でも自分が介護をしていて触られたら絶対にいやだ。
歳をとったらしょうがない、はないと思う。
Posted by ブクログ
実はじいちゃん、全然心配するほど弱ってなかったんじゃないか?健斗が弱いと思い込んでた説ある。
さようならの時も、送り出してた。
本当にボケてくると叫び出すし徘徊する。孫が誰だかわかってるし、全然認知症ではない、、。
お見舞いした時、周りの病室と比べなかったのか、見て見ぬふりしたのか。