【感想・ネタバレ】桑港特急のレビュー

あらすじ

清水湊から父島、そしてアメリカへ!
アメリカに憧れ、アメリカを旅した時代小説作家・山本一力のウェスタン小説登場

江戸末期の文政年間、小笠原の父島に漂着した娘とアメリカ人の元捕鯨船乗りの間に生まれた兄弟、丈二と子音。
彼らはアメリカの捕鯨船フンラクリン号の副長だった若き日本人ジョン・マンと出会ったことで、大航海への夢を募らせていく。

当時、海の向こうのアメリカ西部はゴールドラッシュに沸き、一攫千金を夢見る人々が殺到。
シャンハイの大富豪チャンタオも事業拡大を狙ってサンフランシスコへ向かう。

途中立ち寄った父島で、丈二と子音の兄弟を船に乗せ、たどり着いた新天地で作業着店を開業。
そこにやって来たのが、妻を殺したサントス一味への復讐を誓うリバティー・ジョーだった。

日米中を股に掛けた、男たちの死闘必至の大作戦が始まった――。
週刊文春に一年以上をかけて連載された、山本一力版の大西部劇。超弩級の作品がついに文庫化!

解説・縄田一男

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Posted by ブクログ

ネタバレ

山本一力の小説の魅力は人情とか人のつながりとか、生き様とかライフスタイルとか、そういう描写や表現を楽しむことである。この本でも、小笠原諸島での生活、ゴールドラッシュに沸くサンフランシスコでの人の生き様、中国上海での描写あたりは非常に生き生きとしていて、読んでいてもうきうきしてくる。

残念なのは、その生き生き感が後半になるに従って、空回りしてくること。銀行強盗の大活劇シーンのはずが、ハラハラドキドキ感が妙に薄く感じられるのだ。

例えば、カンフーVSナイフ使いのシーンも格闘シーンの迫力が全く感じられないし、西部劇の核心たる銃による戦闘シーンに至っては、実にあっさり終わってしまうし…。

活劇シーン以外が見事なだけに、クライマックスが残念すぎる。やはり日本人にウェスタン小説は重荷なのかも知れない。

本作は山本一力の異色作ではあるけれども、代表作になるものではないと感じた。

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2020年01月16日

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