【感想・ネタバレ】ひとめあなたに…のレビュー

あらすじ

昨日、女子大生の圭子は最愛の恋人・朗から、突然の別れを告げられた。自分は癌にかかっていて余命いくばくもない、というのだ。茫然自失する彼女の耳に、同時にこんなニュースもとどく。“1週間後、地球に隕石が激突する。人類に逃げ延びる道はない”。――圭子は決意した。もういちどだけ、別れていった朗に会いに行こう。そして練馬の家から、彼の住む鎌倉をめざし、彼女は徒歩で旅をはじめたのだった。道中で圭子が出会う4人の物語を織りこんで紡がれる名作破滅SF。――来週、地球が滅びるとしたら、あなたはどうやって過ごしますか?/解説=東浩紀

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Posted by ブクログ

ネタバレ

むかーし昔,大好きだった本のひとつ。
当時は何回も読んでたなー。
結婚する時手放してしまって、先日なんと東京駅で見つけて思わず買ってしまった。
もう一回読みたいと思っていたんだー!

終末をテーマにした本はたくさんあるけど、これが一番好き。
今回の解説にもあるけど、こんな世界がどうにかなる話なのに、政府がとか○○対策がーとか各国の首脳がーとか,出てこない。そりゃそーなんだよ。だって、自衛隊も,各国首脳も,警察も,公務員も,みんな死んじゃうし,逃げる場所もない!
もしかしたら,宇宙に逃げる人はいるのも?だけど、主人公は20歳の普通の女の子。宇宙に逃げる術はない。

隕石が地球に落下して1週間後に地球は破滅します。と言われる数時間前、大好きな彼氏、朗が右腕の骨肉腫で右腕切断しなくてはいけない。しなかったら、死んでしまう。どちらにしても、もう圭子とは別れると言われた。
でも、世界がこうなった。
あと1週間の間に、大介と一緒に過ごす(大介に告られてそう頼まれた)こともできるけど、いや、私は朗に会いたい。
かくして、東京の練馬から、鎌倉まで終末世界を旅することになる。

もちろん、世界は壊れて、秩序も何もない。人を殺そうと暴走しまくる車やバイク。あちこちで人が死んでる。電車やバスなんか動いてない。歩くしかない。

そして出会う人たち。
由利子の旦那明宏は不倫していて、最期の1週間を浮気相手と過ごす!と出て行こうとした。だから,殺した。そして、明宏が一番帰りたがっていた、体内に戻してやろうと考える。母の体内が一番安心でしょ?
私の中に取り込んであげる。
明宏を解体して,骨をコンソメと一緒に煮て出汁をとり、腕の肉を切ってフライパンで焼いてから煮込む。明宏さんのすきなビーフシチューを作ろう。

この人が一番狂気で、後の人たちも狂気だけど初手でやられたわー。
でも、私の読書歴の中で、いちばんの愛は、この由利子さんだと思う。これを中学生で読んだ私の情緒とその後の「愛」のモチベよ!!(笑)ズレるはずよ。

次に会ったのは、真理。
年子の妹の誕生により、親からの愛情を受け取れなくなってしまった。いい子であり続けることが,アイデンティティみたいな。
それは「いい子」の先にいい未来があるんじゃなくて、「いい子」が目的なので、「いい大学」に入ったら彼女のなかの目標は終わる。その先をどう生きればいいかわからない。
だから、世界が滅んでくれてうれしい。私は幸せに死ぬの。っていう。
だからあと1週間しかなくても勉強している。
目的が「勉強」であり、彼女にとって「勉強」は手段ではないから。
暴走車に轢かれて死んでしまうんだけど、彼女を幸せなまま死なせたくなかった・・って事にはほんと同感だった。

ここでバイクを手にする。かなり大きなアイテム!!

智子はよくわからん子。ずっと夢だと思っている。現実も夢もよくわかってない。
「隕石が落ちる現実」の方が,夢だと思ってひたすら寝ている

ようやく鎌倉エリアに。
主人公圭子とすれ違うのは、主たる女性恭子でなく、その夫。
恭子は妊娠していた。ようやく安定期に入ったが、あと1週間で世界が滅ぶ。
旦那の良とは、前の彼と別れて落ち込んでいた時に口説かれて、ツナギのつもりが居心地良くてとうとう結婚することに。
前の彼、里村さんはかっこよく,スマートだった。
良とは全然違う。でも、良といると飾らないでいられた。
良と眠っていたベットをそっと出て、里村のところに行こうと思ったのは、里村がシェルターの開発会社で働いているから。2人しか入れないシェルターに一緒に入ろうと言われた。自分だけなら行かなかった。でも、この子が!良の子が!たとえほんのわずかな希望でもあるなら,生きてほしい。
家を出る前に見つかって、諭されるが,破水してしまう。このままでは早産になる!

外に助けを呼びに来た良と圭子がすれ違う。

とうとう、圭子は朗と再会する。

「ひとめあなたに、会いたかった」


大人になるにつれ、新井素子さんの文体が受け入れにくくなってきたんだけど(中高の頃は浴びるように毎日読んでたのに)、このお話しは、新井素子さんの文体に救われている部分がたくさんあると思う。
旦那さんをシチューにする描写なんて、エグいからね。やわらか文章でも中和されない。
でも、この文章のおかげでエグさよりも、なんか由利子さんの,愛の方がフューチャーされている。こんなに愛してるんだもん,しょうがないよねーなんて思っちゃうー!!

これを初見で読んだ中学の頃、みんなで「あと1週間でわ地球が破滅するならなにをする?」話で盛り上がったなー。

今の私は何をするだろう?
この中に出てくる、最後まで人に親切にして死にたいと言ったおじいさんとおばあさんのように死んでいきたいと思うけど、
さて、
実際となると、どうでしょーね?

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2025年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 子どもの頃、母が持っていたこの本を読んだ時から衝撃が忘れられない。バラバラ殺人のニュースを見たり、カニバリズムの話を聞いたりするたびに思い出す。

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2024年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なかなか面白かった。
地球滅亡の話だが、この本はSF的な大きな行動はなく、皆が死ぬとき一人一人の人間はどんな行動を取るんだろうというもの。
死を目の前にして人が狂う様を色々な観点から描かれていて変わった本だなあと感じた。
文体も特徴的で、しかし読みやすかった。

すべての人の話を見てきて、圭子がその人たちを見て感じたことや、彼氏の朗への愛と、朗との会話が最終章で描かれるが、美しく深い愛を感じた。

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2023年08月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 宇宙魚顛末記、という話の滅びてしまう方の地球のお話。
 恋人が不治の病で、気まずくなってしまったものの、地球が滅亡してしまう為、みんなが平等に死んでしまう事態になった為、遠いし道中も危険だけれども会いにいき、その道中で通り過ぎる人たちのちょっとインパクトの強いオムニバスストーリー。
 勉強することで親に復習をする少女は、地球がなくなっても勉強し続ける。怖い。
 妻の鏡のような貞淑な女性が浮気相手のところに行こうとする夫をシチューにしていまう。怖い。
 辛すぎる現実の前に、夢の世界に閉じこもる少女の話も切ない。
 未来が閉ざされるときに、今、大切なものが何かを狂気と絡めて強く突き付けられる。主人公が比較的まともで、救いのあるラストで読後感は悪くない。

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2012年12月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

不治の病にかかった恋人に振られた圭子は、
一週間後に隕石が衝突し人類は滅亡することを知り、
練馬から鎌倉の恋人宅まで歩いて向かうことを決意する。

圭子が元恋人と再会するときに着る服とハイヒールだけを持って出発したときは、道中に出会うあれこれのお話かと思った。
が、章が変わると、人形のように主体性のない妻が夫を殺して解体し、夫の肉を使って料理をしはじめるすごい展開。

圭子が交錯した人類滅亡を迎える4人の女の話が、圭子の道中に挿入される形。
圭子は主人公というほどに物語の大きな役割は背負っていない。
彼女はひたすら恋人に会いたい一心で前進する。
途中でバイクに乗って一気に鎌倉へ着いてしまうし大きなアクシデントにはほとんど合わない。
ただただ鎌倉を目指す。

各挿話の主人公達は、パニックになりその衝動が外へ向かう、というありがちな図式ではなく、それぞれに事実を受け入れて進んでいくのが新しい。


コテコテの新井素子作品であるから、文体がキライ、合わない、という気持ちもよくわかるけれど、やはり新井素子は天才だなと思う。
1981年に刊行された作品の改訂版。
二十歳のとき書いたなんてね。
『チグリスとユーフラテス』といい、何て嗅覚の鋭い人なんだろうと感心する。

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2012年05月03日

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