あらすじ
ときどき、こんな人がいるのです。山に入ったまま、帰って来られなくなってしまった人が──。仕事も家族も失い、絶望のうちに山を彷徨う男が見た恐ろしい幻影。少女の頃に恋した少年を山で失った女の、凄絶な復讐。山で見たおぞましい光景が狂わせた、幼なじみ三人の運命。死者の姿が見える男女の、不思議な出会い。闇と光、生と死、恐怖と陶酔が混じり合う、四つの幻想的な物語。
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Posted by ブクログ
「山へ還りなさい」
山での死にまつわるホラー?
山にはやっぱり、何かが棲んでる。
じんわりとくる恐怖に包まれる。
昼間なのに、夜の世界。
Posted by ブクログ
話がつながって最後にネタ明かしがあるのかと思いきや、結局よくわからず少し残念。ただただ山が人を狂わせた、というだけなのか。
1.蜥蜴の尻尾切りで長年勤めた銀行を首になり、家族をも失った男が深い恨みと絶望を抱えながら山に迷い込むと、不思議な舞を踊る女たちの集団に出会う。気が付くと男は、その中の一人の女に看病されているのだが、女の様子も、至る所から蛇が這い出てくる屋敷の様子もなんだか変。男は牛の頭を食らい、女を食らい・・・。
2.小学校の時に恋心を抱いていた少年が自分のせいで山に取り込まれて帰ってこれなくなってしまった。時が経ち、小学生の娘を持つ彼女は、未だに山から出られない少年からの電話を受ける。現在の生活の大切さを冷静に見つめる一方で、しごく当たり前に復讐を成し遂げる。
3.仲の良い3人の少年グループ。ゲーム感覚で山で行方不明になった老人を探しに出かけた三人は、縊死した老人、黄色い蝶の幻影に生涯悩まされ続けることとなる。しかし、一番恐ろしいのは・・・。
4.死んだ人が見える少女。幼い頃から、そのことは人に言わないように、そして、普通にしているようにときつく言い含められている。部屋の隅に座る縊死した叔父。彼に鏡を見せると・・・。
そして彼女は街で自分と同じ能力を持った軽薄そうな男に出会う。二人は死んだことに気づかない者を山に返してまわるのだが・・・。
終話 この物語の”作者”のつぶやき。
終話を読んだとき、ああ、皆川博子っぽいなーと思って久しぶりに読みたくなった。
それにしても、人は死んだら山に帰るのだろうか?山というもの自体にあまり馴染みがない私としては、なぜみんながみんなそんな恐ろしい場所へ帰らねばならないのだろう、という違和感。