あらすじ
フェイスブックを最初期から支えた大物投資家。
テスラ、ユーチューブ、リンクトインなどの名だたる起業家を輩出したペイパルの伝説的共同創業者。
ドナルド・トランプを意のままに操り、「影の米大統領」(ポリティコ誌)とささやかれる政策アドバイザー。
スタンフォード大学を震撼させた自由至上主義哲学者。
そして、シリコンバレーの頂点を極めながら、誰よりもシリコンバレーに絶望している男――。
ジョブズ、ザッカーバーグを超える無敵の男、その全戦略と破壊的思考にせまる初の本!
・なぜ彼は革命的決済サービス「ペイパル」を成功させることができたのか?
・なぜ「ユーチューブ」「テスラ」「リンクトイン」などの名だたる創業者を輩出できたのか?
・なぜ「フェイスブック」の可能性をいち早く見抜けたのか?
・CIAやFBIを顧客にもつ謎のデータ企業「パランティア」を創業した理由とは?
・トランプを支持し、テクノロジー政策顧問を引き受けた真の狙いとは?
・なぜ世界に「自由」と「テクノロジー」が必要なのか?
・なぜシリコンバレーの頂点を極めながら、シリコンバレーにイラ立ちつづけるのか?
「ピーター・ティールほど常識にとらわれない思考ができる人間はめったにいない」
――イーロン・マスク(テスラモーターズ、スペースX共同創業者。ニューヨーカー誌より)
「彼のそばにいると、『自分ももっと賢くならなきゃ』と誰もが思う」
――マーク・アンドリーセン(ネットスケープ共同創業者、投資家。フォーブス誌より)
「ピーター・ティールは逆張り屋です。で、逆張り屋は大抵まちがっています」
――ジェフ・ベゾス(アマゾン共同創業者。トランプ支持を表明したティールを批判して)
「僕たちの取締役ピーター・ティールは、トランプ政権の顧問でもあります。そのことでご批判をいただいていますが、フェイスブックが多様性をモットーとする企業であろうとするなら、多様な政治観をも許容すべきなのです。それが僕の信念です」
――マーク・ザッカーバーグ(フェイスブック共同創業者)
はじめに――iPhoneはイノベーションではない
第1章 はじまりの地、スタンフォード大学
第2章 「競争する負け犬」になるな――挫折からのペイパル創業
第3章 常識はずれの起業・経営戦略――ペイパル、パランティアはなぜ成功したのか
第4章 持論を発信する――『ゼロ・トゥ・ワン』と『多様性の神話』スキャンダル
第5章 成功のカギは「逆張り思考」――スタートアップの10ルール
第6章 ティールの投資術――なぜ彼の投資は成功するのか
第7章 テクノロジーを権力から解放せよ――ティールのリバタリアン思想
第8章 影のアメリカ大統領?――トランプ政権を操る
第9章 ティールの未来戦略――教育、宇宙、長寿に賭ける
おわりに――テクノロジーがひらく自由な未来へ
ピーター・ティールがシリコンバレーを離れる日――訳者あとがき
原注
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Posted by ブクログ
少し訳に違和感と同じ内容が何度か繰り返されるところがあるが、内容としてはとても興味深いものだった。
極端なテクノロジー信仰、競争でなく独占が望ましい、逆張り、人脈の重要性。
キーワードとしてあげればキリがないが、上記だけでなく合わせて明確な「長期志向」を持ち合わせていることが、特異な存在と感じさせる。
独占であり、かつ、持続的な成長、そしてそれをベースとしたアメリカのアップデート。
競争の最終段階は完全競争でなく独占だと感じるが、その過程をすっ飛ばせるほどの圧倒的なテクノロジーとアイディア、そして人脈があることを求めているのがティールなのだろう。
また、失敗から得るものはほぼない、というのもシリコンバレーからしても例外的だと思われる。人間を損なう、という表現にはどこか「論客」的な雰囲気を感じざるをえない。
今後はティールの動向が、パランティアも合わせて、将来のバフェットのような存在になるのだろう。しかも、より投資以外の中身にも組み付く形で。
Posted by ブクログ
ペイパルの創業者で現在はファンドを立ち上げてスタートアップ投資家として活躍。
彼の思想が良くわかる内容になっている。
特に印象的であるのは、スタートアップで成功するためには、ニッチで良いから競争環境ではなく独占市場を作りだすこと。そのためにはスタートアップする際の方向性を見極めと技術的な独自性、さらに他者の追随を許さないスピードが重要であると主張している。
また現在の投資方針もスケールが大きく、すぐに利益を求めるのではなく長期的視点で投資を続けているところ。まさに先見の明が必要である。
「Shoe Dog」でも述べられていたが、スタートアップを成功させるには並大抵の努力では不可能であり、その事業にどれだけ想いを込めて取り組めるか(他のことを犠牲にできるか)が最も重要であり、最後には運(事業が市場(時代)にマッチするか)が必要であると感じた。