あらすじ
佐藤健×高橋一生×大友啓史監督で2018年10月映画公開決定!
本屋大賞にもノミネートされた新感覚マネーエンタテインメント小説がついに文庫化
「お金と幸せの答えを教えてあげよう」。宝くじで三億円を当てた図書館司書の一男は、大富豪となった親友・九十九のもとを訪ねる。だがその直後、九十九が三億円と共に失踪。ソクラテス、ドストエフスキー、福沢諭吉、ビル・ゲイツ。数々の偉人たちの言葉をくぐり抜け、一男のお金をめぐる三十日間の冒険が始まる。
川村元気さんはこの相容れない、お金と幸せをこの本で混ぜ合わせ、答えを導き出していく。それはさながら錬金術だ。(中略)
知っていたはずの事の違う側面を知り、知らなかった事を深く掘り下げ知っていくその体験を通して、自分だけの答えに辿り着く方法が「億男」には散りばめられている。――解説・高橋一生
著者プロフィール
川村元気(かわむら・げんき) 1979年横浜生まれ。上智大学文学部新聞学科卒。「電車男」「告白」「悪人」「モテキ」「おおかみこどもの雨と雪」「君の名は。」「怒り」などの映画を製作。11年、優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。12年『世界から猫が消えたなら』で作家デビュー。140万部の大ベストセラーとなり、映画化もされる。他著に『四月になれば彼女は』、対話集『仕事。』『理系に学ぶ。』など。
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Posted by ブクログ
「お金とは何か」「幸せとは何か」という、
誰もが一度は考えるテーマを真正面から描いた物語でした。
主人公の一男(いちお)は、借金に追われながらも真面目に生きる男性。
そんな彼が、宝くじで3億円を手にしたところから物語は始まる。
ところが、そのお金を信頼していた友人・九十九に持ち逃げされてしまう。
そこから一男は、「お金とは何か」を知るための旅に出る——という展開。
お金そのものよりも「お金を通して見える人間の姿」を描いた作品。
読後には、“本当の豊かさ”って何だろう?と、立ち止まって考えたくなります。
Posted by ブクログ
お金は個性も思想も何もかもを飲み込み平均化してしまう。本作品の登場人物は全員お金に関する悩みを抱えていた。主人公はお金に対する答えを求めたが結局見つけることはできなかった。個人の意見として「足るを知る」ことが1つの答えだと考えている。しかし主人公のように大金を得てしまった場合はどうすればいいんだろうか。思想を飲み込まれれば「足るを知る」こともできない。
世に蔓延る名言として「お金が全てじゃない」というものがあるがそんなことはないのかもしれない。何でも、愛でさえもお金で買えてしまう。だからこそ恐ろしいのだ。全てを得られるからこそ物事の優先順位がつけられない。大金持ちにとっては高級な物も低級な物も差が生じなくなる。愛もゴミも同等となってしまうのだ。お金があれば出来る事が沢山あるのと同様にお金が無ければ出来る事が沢山あるのだと感じた。
Posted by ブクログ
友人であっても、3億盗まれ行方知れずになったら、まず警察に相談やろ、そこは。
そんな旦那だから嫁に逃げられるの分からんかな。何を自分一人で解決しようとしてんじゃ、おぬしは。
まず常識的な行動をしてください。
Posted by ブクログ
借金の肩代わりで昼も夜も我武者羅に働く主人公が、ひょんなことから宝くじを手に入れ、当選発表で確認してみると3億円当選していた。高額当選者の体験談を調べてみると、その後の人生で転落している者が多く、当選前より少し贅沢になりながら細々と同じ生活をしている人間もいくらかみられる。
いざ、自分はこの大金をどう使うべきか、お金とはなんなのか、今は起業して大成功しているという大学生時代の友人に会いに行って助言を求める。
そしてされるがままどんちゃん騒ぎで金を使い、気づくとその友人に全額持ち逃げされていた。
友人を探しながら色んな人と出会って金とは何か、話を聞いていく話。
岡田斗司夫さんの動画を見て面白そうだったので手に取ってみた。
友人・九十九はさっそく、1億円以上の宝くじ当選者は年間五百万人もいる、君みたいな人はたくさんいる、どうして自分だけに特別なことが起きたかのように思えるんだ?p62などと言う。
素直に当選は羨ましいし、そんなにたくさんの当選者がいるのだから〜とは言われても、じゃあ私にも当ててくれと強く思う笑
結局、お金はお金という物であって、手段であり、幸せの本質はまた別のところにある。金があることでそのための選択肢が少し広がるだけで、金があってもなくても、本質的なところは変わらない。
しかし、金の額が大金ともなると、一男のように全額現物化して持ち歩いたり家に置いておくのは想像するだけでも相当不安だろうし、そんな額を持っていると知られると家族といえども目の色が変わったりするわけで、恐ろしい。
「下品と言うなかれ。人間は信用にしかお金を払わない。信用のためには、誰もが知っている分かりやすさが必要なんだ。クレジットカードの意味を知っているかい?すぐに辞書を引いたほうがいい。クレジットは信用だよ。あれはお金のカードじゃない。信用のカードなんだ。お金の実体は信用なんだよ」p67
金があってもなくても変わらない、今の幸せを大切にしろという本