あらすじ
“心の風邪”で休職中の39歳のエリートサラリーマン・哲司は、亡くなった母が最後に住んでいた美しい港町、美鷲を訪れる。 哲司はそこで偶然知り合った喜美子に、母親の遺品の整理を手伝ってもらうことに。 疲れ果てていた哲司は、彼女の優しさや町の人たちの温かさに触れるにつれ、徐々に心を癒していく。 喜美子は哲司と同い年で、かつて息子と夫を相次いで亡くしていた。 癒えぬ悲しみを抱えたまま、明るく振舞う喜美子だったが、哲司と接することで、次第に自分の思いや諦めていたことに気づいていく。 少しずつ距離を縮め、次第にふたりはひかれ合うが、哲司には東京に残してきた妻子がいた――。 人生の休息の季節と再生へのみちのりを鮮やかに描いた、伊吹有喜デビュー作。
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Posted by ブクログ
伊吹さん。今年に入ってすでに7冊目。今回は自分の年齢と似たアラフォーの主人公・哲司と喜美子のカタルシスWITH恋愛の話し。哲司はエリート銀行マン、妻との関係は冷え切り、心身の不調から休職。静養がてら、母が住んでいた海辺の町・美鷲を訪れる。同い年の喜美子は、明るく世話好き。夫と息子を亡くした心に辛い傷を負っていた。喜美子の健気さと懐に入り込む愛嬌が何とも愛らしい。完全に喜美子が気になる。哲司には喜美子が必要だが妻との諍いから辛い展開に。最後は久しぶりに涙が出た。伊吹さんの本で一番感情移入したベスト本。⑤↑
これがデビュー作なんだね。
Posted by ブクログ
また大好きな本が増えたー。
「大人のけじめの付け方が、子どもの人生に影響する」
確かになー。また、喜美子がした渦の話もよかった。人生に喩えられるね。
哲司と喜美子の関係がなでしこ物語のヨウヨとリュウカくんに通じてる気がして。
それにしても伊吹さんのデビュー作、彼女は最初からこんな繊細で豊かな人間性を持つ登場人物を描けていたんだな。すごい。
Posted by ブクログ
ペコちゃん
福井喜美子。不二家のペコちゃんに似た腕利きの元理容師。夏の間、ミワという店で手伝いをしている。三十九歳。六年前に旦那が亡くなった。
須賀哲司
和歌山県から東京までトラックで鮮魚を運ぶ仕事を始めて五年目。三十九歳。美鷲水産。大学卒業後に入った銀行は相次ぐ合併で、気が付けば吸収された側の窓際にいた。
実塩
哲司の母。三重県の私立の女子校で教頭を務めていた。定年後も請われてその学園の運営に携わっていたが、六年前に完全にリタイアし、岬の家と呼ばれる、美鷲に家を建てた暮らしていた。持病が悪化して倒れ、五ヶ月の闘病の末に病院で亡くなった。
理香
哲司の妻。大学の同級生。外資系の証券会社に勤める。スポーツクラブの若いインストラクターと体の関係を持つ。
友樹
喜美子の息子。七年前、海の事故で十二歳で死んだ。
藤原アキノ
岬の家の手伝いをしていた。実塩が指導していた音楽部の最長老のOGで、最高顧問。
由佳
哲司の娘。
マダム
ミワの店主。喜美子の亡くなった夫の叔母。
舜
マダムの孫。大学の留年が決まる。ガンプラに熱中している。
舞
マダムの妹の孫。干物工場の跡取り娘で、舜と同じ年だが、進学せずに工場で経理の仕事をしている。
孝弘
マダムの甥っ子。喜美子の亭主。名古屋の料亭で板前をしていた。
勝利
スタンドのオーナー。
絵凛
勝利の娘。
Posted by ブクログ
アラフォーの男女の恋愛が、ゆっくり進んでゆくストーリーですが、ところどころ違和感が⋯
喜美子が全体的に39歳とは思えぬ所作や話し方だったのが気になって気になって⋯苦労の多さを鑑みても老けすぎてて60歳くらいの描写に感じられてしまった。10年以上前の作品とはいえ⋯
また、主人公の妻が分かりやすい悪役すぎて、ちょっと男性視点だけのご都合主義に見えました。
まあ最後までスルスル読みやすかったのは良かったかな。
3.4