あらすじ
なぜ各社がこぞってスマートスピーカーの販売に乗り出したのか?――人工知能の研究開発者が語る、第3次人工知能ブームの終焉の可能性とディダクション(演繹法)による第4次人工知能ブームの幕開け。人工知能の次の5年、10年、20年を正しく理解できる決定版!
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Posted by ブクログ
今まで何冊か人工知能の本を読んできたけれど、その総決算と言ってもいいかもしれない。現状、そして、将来の人工知能について冷製で分かりやすい説明と分析。手元において何度も読み直したい本。
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数学科出身で、人工知能に関するスタートアップ企業の創業者である田中氏が、聞き役の松本氏がリードする人工知能に関する大枠の質問に答える形で進んでいく。人工知能の現在地が、比較的フェアな視点で語られている。
対談形式の本はこれまでの自分の経験上いまいちな仕上がりになっていることが多いのだが、ある程度語るべきことが二人で共有されており明確なので、テンポのよい読みやすい本になっている。
本書の章立ては以下の通り。
第一章 みんな人工知能を勘違いしている
第二章 人工知能はこの先の社会をどう変えていくか?
第三章 社会に浸透する人工知能に
人工知能と言われているものは、現時点のものは「ディープラーニングそのもの」であると言う。将来にわたってそうかどうかはわからないが、そんな状況のものを定義しても意味がないとでも言う。そしてディープラーニングは何かと言うと端的には「分類」することだと言う。特にディープラーニングは画像解析によくその分類能力を発揮しているが、これをして「機械による目の獲得」であるという。松尾豊さんがアンドリュー・パーカーの『眼の誕生』に書かれたカンブリア紀の生物種進化の爆発を生物による目の獲得であったとする説を引いて、同じことを言っているが、同書はここでも紹介される。パーカーの眼の獲得は自分もお気に入りの比喩で、理屈としてもディープラーニングによる機械の目の獲得から今後様々な分野で爆発的進化が起きることを予感させる。
巷のシンギュラリティ論に対して、著者はアンチシンギュラリティで、扇情的にAIが取り上げられることについてはものごとを歪めるものとして、不満に思っている。少なくとも彼らが言うようなシンギュラリティはすぐにはこないと。AIは技術であって、哲学やその類のものではないという意見だ。人間に対するAIの強みはどこになるのかというと明確で、リソースをほぼ無限に拡張できる点と、記憶が完璧な点だ。これにより、これまでできなかったことができるようになり、ある種のもの(チェスや将棋やクイズ)については人間よりもうまくできるようになっている。ただ、それが人間を超えたということにはならない。著者も『AI vs 教科書が読めない子どもたち』や『はたらきたくないイタチと言葉がわかるロボット 人工知能から考える言葉』などで言われているように機械による意味理解は大変難しいという。その通りだと思うし、この認識については、広く共通認識となってほしいと個人的にも思っている。
また、ディープラーニングにも得意不得意があり、それも含めて徐々に浸透することが見込まれるので、しっかりと足元を見て推進していこうよ、というのが著者のメッセージなのかと思う。
一方で、実際的な課題としては、技術人材、組織の理解、学習データ、の不足が挙げられる。ハードウェアの制約がGPUやクラウドの登場によって解消された今、これらのヒューマン的要素が成長の制約条件として顕在化してきている。特に日本では圧倒的に人材不足だという。日本は少なくとも数学教育では過去の遺産をもって優位に立てていなければならなかったはずだが、そこが劣位になってきているのは危機的なのかもしれない。特に著者は大学における統計学科の創設の推進を訴える。確かに統計学は実学的な部分も含めて専門的に集中して勉強するべき領域でもあると思う。複雑系の学問と組み合わせれば学問的にも面白いことができると感じるので、実学一辺倒というものでもない。就職や就職後の実際に役立つスキルとしてもアピールできるだろうから、大学側の学生獲得のビジネスとして考えるとこれから私大を中心に統計学科というものが出てくるのではないかなと思う。また、著者はPythonなどのプログラミング言語を覚えることも重要だという。プログラミングを通して実際にディープラーニングに触れることにより、より実態に即してAIの適用・不適用を検討できるはずだ。
AIは今後も社会へ浸透していくはずだが、その領域として音声認識による受付、自動運転、顔認識による認証・監視カメラ、医療診断などが考えられる。そうしたことが想定される先に、将来雇用を奪ってしまうことが一部では懸念されている。著者はここでも一般的な極端な予測とは距離を置くべきだとして、まずそういうことは一気には来ないこと、またそれは仕事を奪うのではなく、労働からの開放と捉えるべきだと示唆する。この考えは、ベーシックインカムの思想にもつながり、実際に試験的に導入されているフィンランドやカリフォルニアの事例を挙げる。実際、シンギュラリティが来なくとも、AIによって社会は大きく変わっていくはずだ。
本書はiPhoneの自動音声認識でドラフトされたという。人工知能によって省力化しようという趣旨でもあるので、それを地で行く形になっているということか。
著者の田中さんは一度所属するAIに関する研究会で講演してもらったことがある。かなりくだけたフランクな感じで面白かった。ありがとうございます。聴く前に読んでいればよかったですね。
Posted by ブクログ
恒例の2018年GWの大掃除で部屋の隅から、読みかけの本を発掘しました。3章立ての本で、2章の最終項から読み始めたのですが、凄い内容ばかりで驚きました。凄い、というのは、人工知能(=ディープラーニング)の限界を示した上で、将来の人間はどのような生活になるのかを解説していた点です。
19世紀かそれ以前に、機械がでてきた時に、それまで無かったものであったので、不安に思ったり、一部の人は破壊まで行った時代がありましたが、今の私たち(労働をしている人々)と、人工知能も同じような関係にあるのかもしれません。
人工知能と張り合うのではなく(チェスの王者が人工知能に負けた、人間のほうがまだ偉い等)人工知能と上手に連携して、かつて新しい技術を受け入れてきた私たちの先輩のように、いかにうまく付き合っていくのかを模索する時期に来ているのだと思いました。
以下は気になったポイントです。
・将棋も囲碁も負けました、この先、いろんな場面で徐々に人間が人工知能に負けていくでしょう、やがてどこかの誰かが「なんか仕事ないね」と口にした瞬間がシンギュラリティと呼ばれるものである、その時には人は働かなくていい状態になる(p45)
・人間の場合、1つの画像の中に写った様々なモノをそれぞれ別個だと認識できる、「部屋の中にいる犬と遊んでいる赤ちゃんの写真」という纏め表現ができる、これが、セパレーション(分類)と、グルーピングという能力(p50)
・2018年現在のディープラーニングが表現できているのは「名詞」、クルマの映像を見て、「動詞で理解するのはまだ先」(p35、77)
・データで表現できない「何か」を、過去の経験値から分類して言葉で表現する(人間がやっていること)は、凄く難しい(p65)
・言葉で説明するのは意外と難しい、と思われたなら、それはディープラーニングで表現するのは難しい領域である(p66)
・ディープラーニングが壁を乗り越えるには、演繹法(=理由づけの方法)、理由までセットにして提示してくれる技術、おそらく10年以後になるだろう、これができれば第4次人工知能ブームとなるだろう(p79、81)
・ピーターの法則、組織は進化すると最終的にすべて無能な人材が占める、有能な人間は出世すると肩書もついて階層も上がっていく仕組みになる。でも次のポストでも有能とは限らない、従って、人材を適材適所に完璧に配置できている人事なんて無い(p113)
・気の利かせた作業には、理由づけが必要である、なので何かの作業にのみ特化することはできても、人工知能が全般をするのは難しい、その前段階として、電話対応のみは任せられる、品質管理と発注だけなら、スケジュール管理だけなら、という部分的な人工知能となる、それを統合して全般を担当できる(p119、122)
・事務作業全般が、人間の能力の上で成り立つイレギュラーな作業だらけである、だからそう簡単には人工知能で代替されない、少しずつ(p123)
・自動運転車は、1)安全性が本当に担保できるか、2)事故を起こしたらどうするか、3)流行るか、である。つまり、保険適用可能か、法律クリアか、トレンド起こせるか(p131)
・この先10年は、命にかかわる分野よりもはるかに安全で、誤認識が起きても人間が後からフォローできる分野での人工知能の開発、世間への浸透が進むであろう(p151)
・ブロックチェーンと人工知能との相性はかなり良い、ブロックチェーンが人工知能のデータベースとなるだろう。取引履歴をまとめた台帳をチェーンのように束ねて、一か所にまとめて管理するのではなく、分散して管理する、改ざんがほぼ不可能(p181)
・今のロボットは、「ルールベース:前提と結果のルールを網羅する仕組みをシステム化」である。人間は判断力の欠如によって結婚、忍耐力の欠如によって離婚、記憶力の欠如によって再婚する(p186)
・人工知能が雑談ができていると感じるのは、話を逸らす技術がうまいから、ちょっとわからないと話を上手く逸らす、あいまいな返事をする、という話し方が得意(p190)
・意味を理解できる強い人工知能(人間が何も教えていないのに、何等かの答えが出せた)が誕生して、その後にシンギュラリティに到達する(p199、201)
・20世紀に求められたのは組織で生きる能力であった、仕事をするための能力、資格こそ努力の証であったが、このような能力は人工知能が駆逐する。21世紀には「人生を生きる能力」が必要となる(p210)
・人工知能が仕事を奪うのではなく、人工知能によって労働から解放されるという発想である、人工知能という「奴隷」に全部やってもらえばいい、死ぬまで働くって奴隷と何が違うのか(p214)
・労働の対価としてお金をもらという仕組み自体を壊すしかない、つまり経済を回すためには、残り4000万人(人工知能が代わりに働くことになった対象の3分の2)に、お金を配るしかない、これが、ベーシックインカム、現在、フィンランドで実証実験中、2018-19年には結果が出る(p215、219、224)
・人工知能の時代を迎えると、組織から個人、労働より共感、より一人ひとりの人間が注目を集める、その指標が「信用」「共感」となる(p228)
・シェアリングサービスができるのは、相手に対する信頼が可視化できるから、周囲からの評価が得点化されている、アリペイの芝麻信用というユーザーの信用度を数字で算出するサービスが爆発的に普及している、そのアプリは、「身分の公開」「つながり」「返済能力」「クレジットヒストリー」「行動履歴」の5要素がそれぞれ数値化されている(p232)
・人工知能時代の、信用を作るのが得意な人と、不得意な人に分かれて、信用格差が生まれてしまう。信用格差が生まれる基盤が、リアルからインターネット上に移行するので、FacebokやTwitterを使っていない人達がいつのまにか社会から「信用できない」というレッテルを貼られる可能性がある(p234)
・地方に行くと、時間軸が明らかに都会と異なる街並みを見かける、それは町を進化させる投資をしてこなかった差分を表している(p237)
・プログラミングを始めるのであれば、Python、人工知能を勉強するには良い(p250)
・ネット上で実名で生きられるようにするには、Youtube、VALU、Timebankをするのも良い(p241、253)
2018年5月5日作成
Posted by ブクログ
「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」新井紀子
「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」松尾豊
と読んできてAI関連の3冊目。
人工知能をガチで作っている人の将来展望を知っておきたくて読んでみた。
2020年代、2030年代、2045年以降に区切っているが、2018年現在の課題解消に必要な時間が述べられている。
人工知能に置き換わっていく仕事と、人間でなければできないことの判断基準のヒントが得られる。
頭の片隅に留めておこうと思ったことを以下に少しだけ。
・ブロックチェーンが人工知能のデータベースになる。(??コストが高すぎるのでは??)
・仕事は人工知能がやってくれるのだから、労働時間が減少しベーシックインカムが必須となる。(現状では絵に描いた餅)
・人工知能に置き換わっていく仕事は地方にも波及するか疑問、情報格差が生じる。
・現状の社会や組織を人工知能に置き換えるという発想「現在の延長線」はダメ。人工知能の進化に組織や社会を合わせるべき。
・インターネット上を「匿名でなく」実名で生きられる人が人工知能時代を満喫できる。
Posted by ブクログ
研究者として人工知能研究を行う田中潤氏と統計や分析に精通する松本健太郎氏が話題の人工知能について初心者でも分かりやすく理解できるように解説した一冊。
本書を読んで人工知能にまつわる誤解が解けるとともに様々なことを知ることができました。
そして、人工知能の現在までの発展の過程や人間の脳と人工知能の違いやシンギュラリティの真実を学べました。
データを取得することがこれからのAIの発展において大切であり、
また、2018年から2045年までの人工知能の可能性やそれに基づいての地方創生や働き方改革にも言及されていて、研究や開発が他国より立ち遅れている日本の今後について書かれているところは刺激的で勉強になりました。
そんな本書の中でも意味や概念を理解させるために今後ディダクションという理由付けを行っていくことが大事だということは印象に残りました。
また、本書に書かれているGoogleやAppleが参入しているスマートスピーカーの真の狙いには驚きました。
ただ、フォントのみで区別されていて時折どちらの発言かがわからない部分は内容が素晴らしいだけに非常に残念でした。
本書を読んで人工知能の可能性を知るとともにこれから生きていく上で人工知能とどのように上手く付き合っていけばいいかというヒントを得ることが出来ました。
人工知能の発展とともにこれから起こるであろうパラダイムシフトのなかで本書で学んだ知識をしっかりと活かしていきたいと感じた一冊でした。
Posted by ブクログ
2018年時点の人工知能は、従来からの人工知能との組み合わせを含むディープラーニングだとして、とても分りやすくその機能を説明する。
人工知能の未来に向けて展望は、何ができるようになうか、そして何ができないのかを端的に解説する。
終章では、人工知能によって起る変化を組織から個人への回帰として、個人の価値の重要性を説き、自己表現や信用、共感そして数学が大きな課題になるであろうと示唆する。
夢物語や脅迫も無い手堅くかつ分りやすくとても良い入門書で好感が持てました。
Posted by ブクログ
難しいテーマのAIや機械学習について、非常にわかりやすく書けていると思います。
対談形式で書かれており、たまに口が悪いなと思う部分もありますが、かえって伝わりやすくなっている印象です。
AIに仕事を奪われてしまうなどと言われるが、一体どういうことなのか、本当にそうなるのかと思っている方によいのではないでしょうか。
IT業界で働いている関係上、もう少し技術的な話題も期待したのですが、そういった部分は殆どありませんでした。
技術書ではないですしね。
巷には、AIについて実際には良くわかっていないがSFチックに語っている本もあるようですが、それに比べ非常に良心的な本だと思います。内容についても、同意できる部分が多かったです。
Posted by ブクログ
本書は、人工知能の開発に携わる一人の著者に対して、データサイエンティストとしてデータ分析などをTVや雑誌で解説しているもう一人の著者が、現状の人工知能ブームの実態に対して、対話する形で進められる一冊。
人工知能が何でも人間のやることを代替えできる万能の技術のような論調が多い中、人工知能の可能性と限界について開発者の立場からその実態を冷静に論じている。
結局、人工知能(ディープラーニング)も従来の統計学手法の延長線上にある技術で、やっていることは物事を「分類」すること。
現在のディープラーニングは、分類するための特徴量を人間が指定する必要が無いことと、特徴量が高次元の場合にも対応できるようになったことが従来の技術と一線を画するようになったところ。
ただし、人工知能は「意味」を理解することはできない。この「意味付け・理由付け」をする技術が次のブレイクスルーを生む、と本書では言っているけれど、それは後30〜40年先ではとのこと。
また、人工知能に仕事を奪われるのではなく、仕事をする必要がなくなる、という観点も合点がいった。
仕事を人工知能がやってくれるようになっても、経済を回すためにはお金が消費する必要があるので、お金を使ってもらう存在が必要。いろいろ課題はあると思うが、将来的には労働時間は劇的に短くなる方向だと感じる。
技術的な解説はほとんどないが、人工知能の現状と今後の可能性を把握する上では、類書と比較して実態に即した内容となっている。
Posted by ブクログ
2018年の本なので、7年ほど前の本
chatGPTが世の中に出てくる前の事ですが…人工知能とは何か、ディープラーニングとは何か、人工知能はどのように進化していくのか?
といったあたりを勉強することができました。
著者がやたら日本の政治は駄目だと言っていますが、確かにそうですねと思う部分もありました。7年まで米国や中国に2週半遅れていたら、今はどうなの?
って怖くなりました。
Posted by ブクログ
ディープラーニングは、学習のさせ方が楽、高次元の学習が可能、過学習をしない、柔軟性に優れているという4つのメリットがある。
マイクロソフトは、skypeに日本語を含む10か国語をリアルタイムで通訳できる機能をつけた。
Cogent Labsは、文字認識を行うTegakiのサービスを提供している。
個人を株式会社に見立てて、その価値をビットコインで支払うVALUというサービスが反響を呼んだ(2020年3月終了)
専門家の時間を売買できるTimeBankと呼ばれるサービスも登場している。
労働の対価としての貨幣を中心とした経済が世界を席巻したのは19世紀ごろ。そのタイミングと同時に組織や企業が誕生し、第二次世界大戦後に体系立てて確立された。
サラリーマンのように、会社から雇われて一生を終える人が多かった時代は20世紀だけ。人工知能が社会に浸透して行くと、経営者や個人事業主がたくさん増える世の中になる。 21世紀は人生を生きる能力が必要。
Posted by ブクログ
AIとはなんぞや、どういう仕組みなんだというものではなく、実際AIに今何ができて将来どうなっていくのかっていう話で、それはそれで面白かったのだが。
最終盤、AIと共存する社会でベーシクインカムが大事とか、ゴマ信用がどうとか言い出したあたりで、全力でドン引き。
Posted by ブクログ
■Q1. 人工知能とDeep Learningの関係は?
2018年時点では、人工知能とはDeep Learningのことである。Deep Learningは分類ができるものである。人間の知能の根底には分類がある。
2018年時点では、人工知能はある分野に特化して人間に勝っている。人工知能を作るにあたって、必ずしも人間の脳を模倣する必要はない。
■Q2. Deep Learningが現時点で強い領域、現時点の弱点、将来期待される領域は?
[現時点で強い領域、弱点]
2018年時点では、画像認識の精度がすごいが、何でも認識できるわけではない。認識できるのは「名詞」であり、「動詞」が認識できるのはまだ先のこと(動画認識が必要)。また、雰囲気のように実体のないもの(数字や文字では表せない何か)は表現できないことが現時点での弱点である。
[将来展望]
第3次人工知能ブーム=Deep Learning →第4次人工知能ブーム
(2018年現在) (10年以上後、2030年代~2045年頃)
- 今ある学習データの枠は超えられない →手元にないデータに対する解析ができるようになる
- 誤認識の理由を説明できない →理由をセットにして提示してくれる(Deduction)
★ブレークスルー:Deduction, 意味の理解、理由の説明
※所感:どうやって実現するのかは想像がつかない(だからこそブレークスルーと言っている)
[将来的に期待できる領域]
・この先10年(2020年代)は、誤認識が起きても人間がフォローできる分野での開発と実用化が進む。現在の技術=Deep Learningで実現される。防犯対策における顔認証や、医療業界における画像診断のように、人間の認識率がもともと低い分野の正解率を高める用途では、すでに実用化に入りつつある。一方、自動運転車やロボットタクシーのように誤認識が安全にかかわる分野では、技術が完成しても法整備などがネックとなる。
・2030年代は、現在分かっているDeep Learningの問題点が解決されたうえで、人工知能が活用される。製造業や農業などの製造生産現場向けのロボットが巨大産業化する。
・2045年頃には、これまでは人工知能に作業を任せるだけだったのが、人工知能が仕事そのものを奪うようになる。まず、意味を理解する人工知能=強い人工知能が登場する。意味を理解する(Deductionと同義)とは、ある対象がない状態を想像して、その対象がある状態との差分を表現できることである。これにより、人工知能が対応できる範囲が作業から仕事に昇華する。その後、シンギュラリティが来る。
※所感:人工知能≠Deep Learningかもしれない。何者になるかは今はまだ分からない。
■Q3. 自分がこれから備えるべきことは?
新しいものをゼロから生み出すことができるのは、まだ先のこと(Deduction, 意味の理解が必要)。
しかし、新しいものを生み出すための補助手段としてはどんどん導入されていき、作業がどんどん自動化されていくので、キャッチアップしていく必要がある。
※所感:人工知能を研究開発の遂行に活用したり、人工知能を製品に適用したりすることが考えらえる。
このためには、コツコツと勉強することが大切。明日からでも、例えばPythonとDeep Learningの勉強を始めて、知識のキャッチアップをしていくこと。実際に雰囲気に触れて、何ができて何ができないのかを把握し、ビジネスへの導入を考えていくこと。
■Q4. 子供がこれから備えるべきことは?
・21世紀の仕事は、人工知能を作る仕事と、自分自身を売り込む仕事の二つに収斂する。
・第4次人工知能ブームに備えて、統計学を学ぶ。統計学科で統計を体系立てて四年間きっちりと学ぶ。統計学科はアメリカや韓国では普通にあるが、日本では滋賀大学が2017年に設置した一つのみ。
■その他のメモ
・ビジネスにおける人工知能の導入は、ニーズから掘り下げていったほうが良い。聞きかじった事例から入ると、まず成功しない。(p.138)
・グランドチャレンジを見ると、10~20年先の方向性が見えてくる。(p.171)
・人工知能のDBとしてブロックチェーンが向いている。一か所に集めたくない個人情報を分散・セキュアに管理できるため。日本はブロックチェーン技術の最先端にいる。(p.180)
Posted by ブクログ
・AIに関してのわかりやすい解説書
・「人工知能によって仕事が奪われるのか」という事が主題
・基本的には2018現在の人工知能では完全に人間の代替になることは無理
・不足している情報(なぜ爆撃機は堕ちるのか)を想像する人工知能が出てくるとすごい
・上記のような「強い」人工知能が出てきてからのシンギュラリティ
・日本企業はデータ収集の時点から他の海外企業から周回遅れ(先行投資ができないから)