【感想・ネタバレ】ナイルパーチの女子会のレビュー

あらすじ

「心がえぐられすぎてつらい」
第二十八回山本周五郎賞&第三回高校生直木賞を受賞!
友情とは何かを描いた問題作。

商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。
だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。
執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。
一方、翔子も実家に問題を抱え――。

「本作『ナイルパーチの女子会』は、柚木麻子さんがデビュー以来追い求めてきた主題の一つの到達点であり、その後の柚木さんが展開する文学への結節点でもある。」(重松清「解説」より)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

終盤、2人がそれぞれ現実を受け止めて自分自身と向き合い、答えを出して生活を続けていくところで、生きていくってこうだよな…と。スカッとするようなハッピーエンドがなく、折り合いをつけて前を向いていくところがリアルだなと思いました。翔子に異常な執着をする栄利子のパートは理解できない所が多くて、正直「早くこの人を逮捕してくれ!」と救済を求めたいほどだったけど、相手の気持ちが分からないと「この人は間違ってる」と捉えて自分の考えに従わせようとする傾向のある栄利子の心情も、私が栄利子を逮捕してほしいと感じたことの延長にあるのかなと考えました。
印象に残ったシーンは、職場に復帰した栄利子に給湯室で杉下が迫ったところを、真織がみつけてボコボコにした後に放ったセリフです。義理人情に厚い真織は友達が多いのも納得で、登場人物の中でも個人的には特に好きでした。

0
2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心と体が追い詰められているにも関わらず、また会社に行きひとつひとつ作業をこなして行く、えりこ偉いよ。最後の母との距離感いい。どんなになっても、あなたは綺麗よ。

0
2026年04月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心えぐられる作品でした。全てにおいて完ぺきなのに女友達が1人もいない栄利子。翔子への執着に、暴走に、私は「1人でもいいじゃない」とはとても言えません。ナイルパーチが生態系を壊したように、栄利子の存在によって翔子の人生も(自業自得ながら)壊されてしまった。とにかく読み進めるのが辛いはずなのに、次へ次へと読む手が止まらずに一気に最後まで読んでしまいました。表紙の軽やかな女性たちの笑顔とは裏腹に内容には狂気ともの悲しさしかありません。著者の女性へのリアルな解像度に惚れ惚れする、すごい作品でした。

0
2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・『BUTTER』で話題の直木賞作家、柚木麻子さんの旧作を読んでみる
・産まれ/環境に恵まれた商社勤めのプライド激高(?)主人公栄利子、自信の無い主婦ブロガー翔子が出会い、お互いの同僚知人友人も巻き込みながら、お互いの人生を逆回転させて行く様な話
*こういう人いる(た)ー!&自分にもこういう面が無かったとは言えない
・脚色された部分はあるにせよ、育った環境や経験が人格形成にどれだけ影響を及ぼすか、、の解像度が高くてゾクゾクした
・立場によって受け取り方が大きく違う小説なのではないか、と今回は特に思った。女性/男性/既婚/未婚/親/子供/他、どんな見え方がするのか機会があれば話してみたい
・朝井リョウさんと親交が深いと聞くが、彼の作品とはまた違った読後感でありながら、読む前と後で世の中の見え方が変わってしまうという点で近いものを感じた
・主人公栄利子は、友人がいない、自分のおかしさを指摘してくれる他人がいない、というキャラクターであったが、本当はそうではなく、出会いの一つ一つからそれを受け止め咀嚼する姿勢がなかっただけではないか。それは育った環境の影響も大きいだろうが、自身を顧みる機会は、僅かなヒントから自分で作っていかなければならない
・そして、登場人物の杉下の脇の甘さ(笑)には、頭を抱えるしかない

0
2026年02月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

正直途中でギクリと思うことがたくさんあった。
この本を読もうと思ったきっかけは自分の人間関係について思うことがあったからだ。
栄利子と翔子は真逆のように描かれていたが、どちらにも共感できた。1番苦しかったのは、栄利子の母が友達と家族は違うのよ、と言ったところだった。深いつながりを求めて、必死に完璧な関係に仕上げようとする。相手を思ってといいつつ自分のエゴを相手に押し付けてしまう栄利子が本当に辛かった....
相手の気持ちが分からないと正そうとするところも辛いシーンだった

あと翔子が栄利子にされて嫌だったことをそっくりそのまま相手にしていたところ。私もよくこの現象が起きる。

人間の不完全、矛盾なところがリアルに描かれていて胸が締め付けられた。

0
2026年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性二人の描写の細かさがすごいし、切実さも昔読んだときより伝わってくる感じがあった。どっちの思考もわかる部分とわからない部分があって、むずい、つらい。
書いてある事自体は目が滑らずに読めたし、昔読んだときよりも胸に迫るものを感じたのでよかった。
でも読後感はいいとはいえないから星3かなあというかんじ

0
2026年05月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この話をホラーだと思える人はきっと濁ったものがない光の中で生きてきた人なんだろうな、と卑屈になって決めつけてしまう程度には私も悩んで生きてきた。
エリコが同性に期待してしまう気持ち凄くわかる。私はこんなに大事にしてるのにどうして相手は私を同じように大切にしてくれないんだろうと何度思ったことか。エリコのサイケな性格をホラーではなく共感の目で見てしまうところが私は怖い。流石にここまで周りが見えてないとは思わないがわからないのが人間関係。
ショウコの表向きはサバサバしていて、異性との方が付き合うの楽というのも共感出来てしまうのが我ながら残念。
世間では自サバと馬鹿にされているが、人に好かれる性格じゃないとわかっているからサバサバしてるように見せたいだけなのだ。
女同士の友情が軸になっているように見えるが、親子の関係、夫婦の関係、仕事柄の関係と色んな関係の問題が浮き彫りになっていく。
この中で上手くいってる関係はエリコと海外で仕事一緒にした女性くらいではないか?
仕事上の短時間しか関わらない関係ならそつなくこなせるというのもリアルだ。
マオリの存在は少しファンタジーだった。同性に囲まれていてキラキラした女子というのが自分からかけ離れているから現実味がないのか?
でも流石にエリコに色んな男と寝ろというのはないよな。エリコに問題があるとはわかっていてもイジメみたいで好きになれない。
終わり方的には何も解決はしていないし、2人の性格が劇的に前向きになったわけでもない。エリコもショウコも今後どう人と交流していくのだろう。共感できる部分が多かったからこそ色んなトゲが私に突き刺さったけど、そんな私の希望のためにも誰かと温かい交流をしてほしいと思う反面、私を置いて幸せになるの?と思う気持ちも芽生えるからやはり人間関係は難しい。

0
2026年04月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オーディブルで。一人は一流総合商社に勤め、海外出張もこなす三十歳バリキャリ実家住み女子エリコ。もう一人は、アパレル系で働くも体を壊し、主婦になるも家事が嫌いで、夫の金で生活しながら書いたブログが編集者の目にも留まった主婦ブロガーショウコ。エリコはショウコのブログの熱心な読者で、勝手に友人妄想を抱いて接近、カフェで交流ができたことに、舞い上がって、のち執着する。一方ショウコは、エリコの持つ、東京出身者のきらきらした生活に憧れを抱くものの、家を突き止められ、大量のメール攻撃に恐ろしくなる。ショウコも友達がいない。

同性の友達ができないことがコンプレックスだったエリコの、ターゲットを追い求めるあまりの、デキる会社員からの転落が、ものすごい。どうやら昔から彼女は、「自分がどう見られるか」だけを意識し、周りの人が自分の思い通りにならないと、逆恨みし、攻撃して、生きてきた人間らしい。彼女のせいで廃人になった女も不穏な空気をまとって、ちょくちょく登場する。ショウコはエリコから離れようと、きらきら主婦ブロガーを目指すも、日常生活のすべてを、ブログのために送るようになり、精神異常をきたす。エリコから弱みを握られ、友達として操られることになる。どうにか、離れることができたが、のち、気づけばエリコ化している。

エリコの空回りは、まったく他人事ではなかった。友達を欲する人間の心理を、よくもまあここまで言語化できることと思う。柚木さん、才気走り過ぎていて恐ろしい。いろいろメモりたい思考があった。友達の型にはめれば、最初はぎこちなくてもだんだんそうなっていくとか、この女、大真面目なんだろうが、面白過ぎる。二人の関係の象徴として描かれているナイルパーチは、生態系を食い荒らす外来魚とのこと。それぞれ、おかしくなった己の姿を見つめ、大事なものを見つける。けれども。

「一瞬でもその場を楽しくする花火みたいな社交性が、楽天的な調子の良さが、次には繋がらないかもしれない小さな約束が、根本的な解決にはならなくても、実は通りすがりのいろんな人を救っているんじゃないかな。その一瞬だけでも十分なんじゃないかな。」

これは、エリコに人生を壊された幼馴染、ケイコの言葉。上辺だけ仲良くする女子の本能を嫌悪し、自分だけの特別な存在を欲し、破れたエリコに、どう響いたのか。生活の全部を妻や後妻に丸投げの、何もしない、ザ・昭和の男、ショウコの父親もホラーだった。

0
2026年02月21日

「小説」ランキング