あらすじ
何が起こるかだれにも予測できない謎の地帯、ゾーン――その謎を探るべく、ただちに国際地球外文化研究所が設立され、その管理と研究が始められた。だがゾーンに不法侵入し、異星文明が残していったさまざまな物品を命がけで持ちだす者たち、ストーカーが現われた……。
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アンドレイ・タルコフスキー監督の映画『ストーカー』や、ウクライナのGSC Game Worldが開発したFPSゲーム『S.T.A.L.K.E.R.』シリーズ(こちらは厳密には原作とは違うかも)で知られるアルカジイ&ボリス・ストルガツキー兄弟によるSF作品。
宇宙から来訪した何者かにより変貌したゾーンと呼ばれる地域。変貌したゾーンを人類は隔離するが、ゾーンに不法侵入し、残された遺物を高値で売りさばくストーカーという存在がいて……
という物語。
まずこの設定が今読んでも全然古臭さを感じなくて、とても惹かれた。
最近だと『裏世界ピクニック』(『ストーカー』の原題が『路傍のピクニック』だからこれはモロにそこから持ってきてますという目配せでもあるか)『全滅領域(アナイアレイション)』なんかは正にこのゾーンだなぁ、なんて思った。
タルコフスキーの映画も勿論傑作で大好きな作品の一つではあるのだが、原作のほうがよりSF的な面白さとジャンル的なメリハリがあって個人的には好み。正直、映画の印象が強いから哲学的でわけがわからないモノが出てくるかも……と構えていたから、結構ビックリした。めちゃくちゃ読みやすいし面白い。
そして本作は来訪者という存在が示す通り、異星人来訪モノ、ファーストコンタクトモノなのなので人類が感知出来ない異常さ、怖さのようなものもある。
ゾーン内で異常な出来事に見舞われて命を落としてしまうメンバーや、ゾーンの影響で口を利けなくなり話せなくなる娘など、異常を前に何かができるわけでもなく、立ち尽くすしかなくなる。そういった様は理不尽で恐ろしくなった。
久々にタルコフスキーの映画版も観たくなった。
それとストルガツキー兄弟が書いたボツシナリオの『願望機』を復刊してくれないかな。
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ロシアの作家で兄アルカジイと弟ボリスのストルガツキー兄弟によるSFで、タルコフスキー監督による映画『S.T.A.L.K.E.R』の原作。
ストーカーという言葉は、ニュースで耳にする他人につきまとう迷惑な異常者のことではありません。地球外生命体が訪れて立ち去った、ゾーンという立ち入り禁止エリアに入り込み、そのとき来訪者が残して行った痕跡(お宝)を盗み出すことを生業とする、いわばトレジャーハンターのような人たちのことです。タイトルで敬遠していましたが、いい意味で想像を裏切られました。
あらすじ:
地球上に突然現れた「ゾーン」。そこは、宇宙からの訪問者が何らかの理由で立ち寄った場所で、重力異常や見えないトラップが点在する危険な領域になっていた。しかし、ゾーンの中には、異星人が残した不可思議な物体があり、それらは高値で取り引きされることから、ストーカーと呼ばれる向こう見ずによるゾーン内への違法侵入が絶えなかった。そんなストーカーの1人”赤毛(レッド)”ことレドリック・シュハルトは、政府の監視やゾーンの危険をかいくぐりながら、違法探索を続けていきます。そんなある日、一緒にゾーンに侵入した〈禿鷹〉バーブリッジから、どんなことでも叶えてくれる〈黄金の玉〉の話しを聞かされて……。
と、地球外生命体との接触ではなく、残された遺物にまつわる話しになっており、いわゆるファーストコンタクトものではないです。むしろホラーと言った方があっているかもしれない。しかし、序章と4章で構成された本書は、後半になるほど読み応えが増して面白かったです。特に3章でワレンチン博士による、異星人の目的とかゾーンの謎についての考察や、4章での〈黄金の玉〉を取りに行く話しがスリルがあって良かったです。謎に関しては、哲学的ですが楽しめました。
それにしても、作中で”タバコ”の出現ワード数が60回もある(他に葉巻が7回、パイプが2回)。禁煙を始めて間もない人は、この本を読むと挫折する危険があるので注意が必要ですね。自分は卒煙してるので、吸いたいとは思いませんが、火をつけるタイミングなんかは実に上手く書けており、妙に共感できて面白かったです。
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アンドレイ・タルコフスキーの「ストーカー」の原作となった作品です。元の題名は「路傍のピクニック」でタルコフスキーの映画が,SFを元に哲学しているのに比べ,こちらはもっとSF的な色合いが強い作品になっています。どちらも面白いので,「ストーカー」ファンにもオススメです。
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そこで終わるな!この暗さがいいファーストコンタクト物
表紙 6点映画のフイルム
展開 6点1972年著作
文章 6点
内容 750点
合計 768点
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2007年に発売されたウクライナ製PCゲーム「S.T.A.L.K.E.R. Shadow of Chernobyl」の大型MOD「Lost Alpha」のプレイをきっかけに本作の存在を知り、読んでみました。
ゲームと本作ではストーリー自体がそもそも異なりますが、本作を元にした要素がそこかしこに見られ、ニヤリとさせられます。
ゲームと切り離し、一つの小説として見ても、月並みな感想ではありますがとても面白い。
派手なアクションはありませんが、「ゾーン」という極限状態の中で、人は何を考えるのか、どんな行動を起こすのかが、「ストーカー」レドリック・シュハルトを始めとした登場人物の口や行動から描写され、読む者を引き込ませます。
機会があれば、映画版『ストーカー』と、同映画のもう一つのシナリオとも言うべき、ストルガツキー著『願望機』も目にしてみたいと思います。
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異星文明の痕跡が残る“ゾーン”から、様々な代物を持ち帰る“ストーカー”。
彼らが人間の知識や常識を超越している危険な空間へ、命を掛けて潜入する理由はただ一つ、カネのみ。
レドリック・シュハルトを中心として、個性ある人物がゾーンと関係し、人生を良くし悪くする。
しかし、原題の「路傍のピクニック」が表している通り、宇宙人がピクニックして捨てていったゴミに、人間が虫のように接触しているに過ぎないのでは…と、スケールが大きいのか小さいのか途中からわからなくなる不思議な感覚を途中で感じました。
様々な評価があるに違いない一冊ですが、私は気に入りました。
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世界観や人物描写の雰囲気が非常に気にいった。ロシア人の飲み方は非常に気持ちが良い。エンディングは悲しさと爽やかさが入り混じるような複雑なものだった。
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おもしろかった。
少し難解だったが、魅力的な世界観と主人公たちの独特な言い回しが癖になり、ページを捲る手が意外と進む。
主人公のハードボイルドで諧謔的な感じは「月は無慈悲な夜の女王」のマニーを想起させた。
また、「ゾーン」などの無慈悲なものを突きつけられている感じは「ソラリス」を思い出した。
よく、「ワレワレハウチュウジン」のように異星人と意思疎通をし、交流が始まるみたいなのがあるが、もし実際に交流する際、我々と彼らはお互いに何も理解できないんじゃないかと思う。
途中のワレンチンとヌーナン?の会話がより世界観に対する解像度をあげていて印象的だった。
ラストの鬼気迫る様子には思わず目が離せなかった。
また読みたい。
「メイドインアビス」とかに影響与えてそう
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『ストーカー』『ゾーン』『来訪者』など。それが何なのか。具体的にどういう経緯でどういった物なのか説明らしい説明はないけれど、読み進めるにつれて映像として、荒廃した世界に片足突っ込んでトレジャーハントしてる感じが頭の中に浮かんできた。
主人公のレッドが『俺はやりたいことやりてぇんだ!誰かの言いなりになってやる労働はクソだ!』みたいなセリフが後半にでてくるのですが、それがこの無防備な世界とマッチしていてすきです。
あとがきには、『未知との遭遇で人はどのやうに対処するのか?を問うている』と書いてあって、主人公のレッドは楽しんでいる側なんだなと思った。そして、そうした訳の分からないものに突っ込んでいくリスクを取らないとリターンは無いこともこの本を読んで感じました。面白かった。
Posted by ブクログ
4章立て
1,2,4がレッド視点/ゾーンや周辺での活動
3がヌーナン視点/ゾーンや来訪に関する対話中心
一気に読むことができた。
ゾーンと来訪についてのピクニックの比喩が興味深い。
これを基に創作したくなるのがよくわかる。
〈蚊の禿〉/重力凝縮場など通称の使い方がよい。
ワレンチンが言うようにストーカーたちだけでなく学者も通称を使うんだよ。
つんでるゲーム版スタルカーやろうかな。
Posted by ブクログ
アルカジイ/ボリス・ストルガツキーのストーカーを読みました。
30年前にタルコフスキー監督の映画で観たSFの物語です。
やっと原作を読むことが出来ました。
地球外の高度な知的生命体が地球上に残していった痕跡はゾーンと呼ばれていて、人知の及ばない装置や物体が存在しています。
人間の命を奪うような危険が満ちている世界なのでした。
命をかけてゾーンに潜入し、戦利品を盗んでくるストーカーと呼ばれる人たちが描かれています。
ストーカーであるシュハルトがゾーンに侵入して戦利品を持ち帰る経緯を描写することで人間の理解を超えた存在と人間との接触が描かれています。
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タルコフスキーが監督をした同名の映画を久しぶり観て素晴らしかったので、原作を読んでみた。
映画はゾーンという不思議な空間と、その空間に侵入するストーカーという設定以外は全くと言っていいほど違う物語になっていてビックリ。しかし、原作もさすがに面白かった。
ゾーンという不思議な空間に存在する不思議な物質を持ち出してお金に代えるのがストーカー。この設定がとにかく魅力的。さらに、このゾーンという謎の空間は誰がなんのために作り出したものなのかは全く謎のままで、主人公たちもそのことにはあまり興味がなくただひたすら生きている。どうやら異星人がフラっと地球に立ち寄ってゾーンを作ってサッサとどっかに行っちゃった。みたいなんだけど、もしかしたらゾーンが世界を変えてしまうかもしれない。人類を変えてしまうかもしれないという示唆もしている。
異常な環境でいかに生きるか?というテーマは同じくタルコフスキーが監督した「惑星ソラリス」に近いものも感じた。
ところで、この本なんで絶版なの?再発希望します。
Posted by ブクログ
タルコフスキーの映画の原作。映画とはほとんど違う(同じなのは願いがかなう、ゾーン、ストーカーぐらい)ため、映画も小説も両方見ておくと、単体では見つからなかった発見があっておもしろい。想像も膨らみます。
内容には、人間の本能的な欲求や異質なものが都市に現れた時の社会問題など現代の社会にも通じる点が多いように思う。そういう目で見ると単なるSFではなくとても示唆的な表現が多い、と思うのは深読み?
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後半になるにつれ惹き込まれ、面白くなっていった。
ゾーンという、未知の存在が残した超科学的な遺物がある危険な地域に関するペルマン博士の考え方がとても分かりやすく、スッと飲み込めた。
ちょっとピクニックをした程度の上位存在にとっては些細な行動によって下位存在は可哀想なくらい振り回され、パニックに陥ってしまうという、人間に対する皮肉も感じられてすっきりする考察だった。
主人公の人間らしさ、泥臭さも良かった。
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異星人の残していった謎のエリア。そこには超科学のガジェットが残されていますが危険もいっぱい。ストーカー達は命を懸けてお宝を求めに行きます。でも、登場するガジェットや怪現象の説明はほとんどなし。宝探しの冒険談というよりは、ストーカー稼業に関わる人々の人間模様の話という印象でした。
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ソビエト時代のロシアのSF作家の兄弟、
アルカジイ&ボリス・ストルガツキーの共作。
タルコフスキーによって映画化された『ストーカー』。
原題はПикник на обочине(路傍のピクニック)。
地球を訪れ、地球人と接触しないまま去った
異星人の《来訪》から13年。
国際地球外文化研究所によって
厳重に警戒・管理される《来訪ゾーン》に不法侵入し、
異星人が残した物品を持ち出しては売り捌く
《ストーカー》の物語。
タイトル stalker は現在一般的な
他人に付きまとう者の意ではなく、
「隈なく見て回る者」「巡回する者」のこと。
沖縄の人、また、沖縄が大好きな他県民には
「≒戦果アギヤー」と言えば通りがいいだろうか。
国際地球外文化研究所ハーモント支所実験助手
レドリック・シュハルト23歳は、
副業として《ストーカー》業で稼いでいるが、
恋人グータが妊娠。
彼女は彼を当てにしておらず、
親にも頼らないで出産し、一人で育てると言い張ったが、
結局、二人は結婚。
だが、愛娘マリヤの外見は普通の子供と違っていた。
ノーベル物理学賞受賞者
ワレンチン・ピルマン博士の考察によれば、
長期間《ゾーン》と関係する人間は
遺伝子的な変化を被っているらしい……。
原題「路傍のピクニック」は、
地球人とコンタクトしたかったのか、どうなのか、
はっきりしないまま引き揚げてしまった
異星人の行為を指している。
彼らは地球を侵略しようとしたのでも、
地球人と友好的に交流したかったわけでもなく、
単に行き掛かった場所でしばしピクニックを楽しみ、
とてつもないゴミを不法投棄して
去っただけだったのではないか――という。
もしかしたら、異星人の目的は、
膨大で異様な――使い方次第では大いに役立ちもする――
ゴミの山を巡って右往左往し、争いを起こし、
重傷を負ったり命を落としたりする地球人の様子を
宇宙空間から観察することだったのかもしれない。
案外、単なる娯楽として。
マクロな視点で見れば、人間の日々の営みなぞ
這い回る虫の生き様と大して変わらないだろうから。
Posted by ブクログ
SF。サスペンス。
背表紙によるとファーストコンタクトものだそうですが、異星文明が訪れ、去った後が舞台という、特殊な設定。
"ゾーン"は、『世界の涯ての夏』の"涯て"や、アニメ『Darker Than Black』の"ゲート"を思わせる。
ストーリー的にはクライム・サスペンス調。
SF設定も、登場人物の未来も、あまりハッキリしないまま終わった感じ。
読者を驚かせるような展開が1つ2つ欲しかったような。
Posted by ブクログ
面白かった。人間の理解に及ばない世界の話、けど捻りがきいてる。
死の恐怖と汗と泥と砂にまみれてしんどい、苦しい世界。
でも結局のところ、意味はないのかもしれない。
超越した存在に翻弄される人類、好き…。
Posted by ブクログ
SF的な設定で人間の心理模様が描かれている。設定は面白いと思えたけど、それが活かされる場面が少ないというか、どんな現象が起こるのか、それにどう設定からの理屈が付けられるのか、といったことを求めていたのに、あまりなかったのが残念。
180108
Posted by ブクログ
「ストーカー」というタイトルだと、好きな相手につきまとって最悪なときには殺人事件に発展してしまうあのストーカーを連想しがちだ。しかし、本書はそのストーカーではない、れっきとしたSF小説だ。
何が起きるのかわからない謎の領域であるゾーン。来訪者があったのち、地球に残された謎である。
そのゾーンの謎を解明するため、ゾーンに不法侵入して遺物を命懸けで持ち出すストーカーたちがいる。
こういう設定で物語は進む。この作品においてのストーカーとはそういう意味だったのか。
SF小説にはよくあるが、設定を読み解くまでは何のことかわからない言葉に戸惑う。この作品では、来訪者であったりストーカーであったりだ。
そういう言葉が何を指しているのかわかれば、後は物語の世界に浸ることが出来る。それがわかるまでの、探り探りしながら読むところがSF小説の読みにくいところだ。
この作品には謎が多い。
来訪者とは一体何なのか、何が起きたのかわからないままだし、ゾーンの正体も不明なままだ。
そのためこの来訪者を普通に異星人の襲来と捉えてもいいし、何がしかの天変地異と捉えてもいいかもしれない。とてつもない規模噴火や洪水だったり、隕石が落ちてきたとか惑星が衝突したとか。
とにかく、人智の及ばない異常な大事件が起きたあとの人間の物語ということだ。
人間は自分たちの力を過信し、どんなことも予測出来、何とか出来ると思いがちだ。それでも人間の力では地震も予測出来ないし、噴火も止められない。それどころか年を追うごとに異常気象は加速している。
人間が知り得ることなど、たかがしれている。
何でもわかった気でいるため、理解の及ばないことが起きたときは目も当てられない。
もっと謙虚でいなければいけないなと反省したりする読書だった。