あらすじ
平穏な時間。それ以外に欲しいものなんて何もない――。山崎由実はすべてを捨てて家を飛び出し、知らない町の古びた薬屋に辿り着いた。店主の平山タバサは、由実を薬局の手伝いと家事全般の担い手として住み込みで雇ってくれた。見ず知らずのわたしを、なぜ……。謎めいたタバサの本心はわからぬままだが、由実は次第に新しい生活に慣れてゆく。誰しもがもつ孤独をたおやかに包み込む長編小説。
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Posted by ブクログ
何か『かもめ食堂』のような自分探し人情ほっこり話となぜか思って、すぐぼんやりとさぼる由実にいらつき、タバサと寝たところからえ?結局恋愛系なの?と評価が★2の勢いになったが、だんだんオカルトじみてきてラストで結構良い意味で置いて行かれました。
ネット検索してみたけれどラストの解釈をされているものが見当たらなかったので、シミズ的解釈↓
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【前提】
・由実は過去2人子供を産んでおり、1人は死亡、もう1人を残して逃げた
・逃げた先は行方不明者がよる町と呼ばれるところの薬屋
・この町は外に出なくても生活できる
・マサヤという老女だけど年齢不詳な幻のような女性はかつて薬屋に勤めていた
・薬屋の主人は代々身元不詳の女性と結婚して生まれた長男が薬屋を継ぐ
・タバサの薬を飲むと予定が立てられる(飲んだ当人も周囲の人も不安がなくなる)
【以上を踏まえてラストを解釈】
・この町は運命共同体で『タバサ』他各々の立ち位置担当のものは常にいる
→担当者自体は代替わりする
→あくまで担当が同じなだけで同じ人ではない
・また代々やってくる身元不詳の女に類するものも常にいる
→役目が終わると代替わりする(由実がマサヤの立ち位置になる)
→そう考えるとマサヤがタバサの母とも言えるがそれはルリなので
マサヤは先代タバサの後妻(ルリ死亡により代替わり)
(※現タバサの先妻かもですが幼タバサと遊んだことを踏まえて)
→池を埋めたのは由実が子を産む前にルリのように死ぬと
また代替わり要員をまたないといけないため
・タバサの薬でスムーズに代替わりする
・日吉サイクル担当は息子がいるのでOK
・3人の老女(脇田・原田・山田)担当は、
マサヤを追い出そうとした母親の娘2人(母親本人は町の外に引っ越す)と
助産院で生まれた子供(母親は出産後逃亡)に代替わりすると推測
→町の住民はそれを知っている(ので葬式をしない)
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てな感じでどうかしら。
作者の方はそこまで考えてないと思いますが、自分的にまあまあ納得できる解釈となります。