あらすじ
多くの作家をも魅了した著者の最高到達点!
直木賞受賞後の会見で、著者は「勝手な想像ですが」と前置きした上で、
「『鳩の撃退法』の存在がなければ、今回の直木賞受賞は考えられない。あれで機運が熟したのではないか」
と語った。
事実、本作は、山田風太郎賞選考委員はもちろんのこと、推薦文や書評、口コミやSNS等を通じて、驚くほど多くの作家たちから激賞された。
【ストーリー】
「このままじゃおれたちはやばい、ラストに相当やばい場面が待っているかもしれない。だけど厳密にやばいのはあんただよ。わからないか。夜汽車に乗って旅立つ時だよ」
身を潜めてせっせと小説の下書きをつづけていた津田伸一は、社長からいきなり退職金を手渡され、いよいよ決断を迫られる。
ついに“あのひと”が現れたのか?
鞄の大金は裏社会から流れてきたものなのか?
忽然と姿を消した家族、郵便局員の失踪、疑惑つきの大金、そして鳩の行方‥‥。多くのひとの運命を狂わせたあの日の邂逅が、たった一日の物語となって雪の夜に浮かびあがる。
読み進めると、謎が深まる。読み返せば、伏線がわかってくる。
上巻だけでは、この小説のおもしろさは半分も伝わりません。
急展開も待ち受ける下巻の最後の1行まで、ぜひ「鳩」の行方を見届けてください。読み返すほど、おもしろいはずです。
※この作品は過去に単行本版として配信されていた『鳩の撃退法』 の文庫版となります。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
題材
・旬を過ぎた小説家
テーマ
・お金に振り回される人間たち
最も伝えたかったこと(新しい点)
・小説家の日常と、その小説家が書いている小説世界が混在する点
新しい点
・新しい「ミステリ」の提示
キャッチコピーは何か
・この男が書いた小説(ウソ)は、現実(ホント)になる
その他(心に残ったことなど)
・ユーモアなんだけど、味わい深い文章、ずっと読んでいたい
・エンタメを超越したエンタメ
Posted by ブクログ
最初から最後までず〜〜〜〜〜っと振り回された。
えっ主人公はこっちなの?あっちなの?とか、あれあの時のお金はこうで、とか、津田の勝手な勘違いにこっちまでつられて余計な遠回りをしたりだとか、床屋のまえだをはじめとする登場人物たちのペースに緩急つけられたりだとか。
正直、途中まで、なんなら上巻を飲み終わっても面白いとは思えなかった。いや、面白いとは思っていたのかもしれないけれど、それを上回る「振り回されている不快感」に近いものがあったのだ。
下巻を読み終わって、正確には読み終わる数ページ前でやっと、「ああ、面白い本だ」とやっと認めることができた。
Posted by ブクログ
メタ視点から言及しまくる構造が非常に面白かった
ただ長かったからスカッと終わってくれてもよかったかなとはちょっと思った
取りこぼしているだけかもしれないが謎が多く残った
・偽札の作成理由は?本来はどう使おうとしていた?
・雪の日の晩のスピンでのやり取りは真実?創作?
・晴山青年と一緒に発見された死体は誰?
・本通り裏の連中ってなんだったんだ?
釣りに農作物に健全な組織だった?
子供を保護している団体との関係は?
津田の嘘が入っていても文句が言えないから考察しきるのは厳しいかも
Posted by ブクログ
帯に糸井重里が「こんなの書けたら、嬉しいだろうなぁ」と。まさにその通りで、まずは並の人では書けないだろう。いつかは真相がわかると思って読み進めるが、真実は闇の中。どこまでが執筆アイデアで、どこからが真実なのか?終盤にむけ収斂していくかと感じたが、結局迷路のごとく迷いに迷う。驚きの名作(迷作)だった。
Posted by ブクログ
うーん…これに1000ページ要るかな?
この1000ページを面白いと思えるか、無駄と思えるかで、この小説の評価は変わってくるんだろうなぁ。
俺は、もうちょっと短く、なんなら半分でもエエと思う派で、例えば主人公がとっかえひっかえする女性の描写とか、酒を呑む描写とか、マクドやガストやミスドやらのシーンはあんなに執拗に書く必要はないと思う。
その分、鳩の謎(目的がはっきりしない)や、通り裏の組織について(抽象的すぎ)なんかはもう少し具体的に書いてほしかった。
謎の畳み方もすっきりしたものではなく、ピーターパンの扱いもぞんざい。古本屋の遺産だって謎が解けてからのクドさは余韻というにはしつこすぎると感じた。
このしつこい描写、独特の後味こそが佐藤正午に魅力なんだろうとは思うが…。