あらすじ
登山が趣味の会社員・佐和(さわ)は、あこがれの登山愛好家・小田切(おだぎり)に出向先で出会った。思い切って山に誘うが、小田切の心の傷になっている、亡き有名登山家の叔父・叶(かなえ)の話を持ち出したせいで、冷たく断られてしまう。ある日、一人でクライミングに来た佐和は、偶然同じ場所に来ていた小田切が原因の落石でケガをする。彼の罪悪感に半ばつけこむように、登山の約束を交わすが……? 孤独な心に寄り添う、天上の恋。
...続きを読む感情タグBEST3
ほんっとに良かったです。
作者様の山への愛の深さがビシバシと伝わってきます。季節、天気、温度や色合いまでも、目の前に迫ってくるようでした。
佐和と小田切の関係も 無理や不自然がなく、お互いに命を預け合えるような信頼、唯一無二の相手に深まっていく愛情に 硬い結びつきを感じました。
作者様の山の三部作?というのを後から知りましたが、他の2冊も以前読んでめちゃくちゃ良かったのを思い出しました。ケンカしてケガした子供をおぶって降りるエピソードで気が付きました。
大好きな作品です。
雄×雄のカップル
先生の本は受けでも雄っぽいというか、これこそがBLだなぁという気がします。
先生の他の本も読んでいるとこれがデビュー作と納得してしまいますが、二人が少しずつ距離を縮めるところが良かったです。
がっつり山が舞台なので、そういう作品を読んだことがない方は、一度読んでみたらいかがでしょうか。
Posted by ブクログ
まずこの作品がデビュー作という事実に驚きます。
本当に最近の新人さんは文章が熟れているというか、上手いなぁ……と唸りました。
普通、初読み作家さんはどうしても最初に躓くと、読みにくいという印象が先立ってしまって時間が掛かってしまうのですが、この方の文章は非常に癖が無く読みやすかった。
するするする~とトコロテンを押し出すようなスムーズさとリズムに読んでて心地よかったです。
内容は山登りものです。
BLで山登り……初体験(笑)
私個人は登山に全く興味のない引きこもりなんですが、これを読んでると、山の空気や景色などといった、登場人物を通して見る世界がまるで自分にも見えるような瑞々しい描写でした。
そこに攻と受が出会い、パートナーとなるまでの過程が無理なく描かれていて、さながら恋の山登り(自分の文章センスのなさが恥ずかしい)
いや、本当に険しい山をコツコツと二人が登っていく様子が、まるで徐々に【恋人】という山頂に向かって歩んでいるような感じなのです。
途中で休憩を入れたり、滑落しそうになったりもしますが、そういったものを全て乗り越えた先に見えた景色に涙ぐみました。
私も登山したくなった、なんてことはやっぱりないですが、それでもこの二人の見る景色をほんの少しだけ分けて貰い、元気が出ました。
これといった大きな事件が起こるような話ではないですが、たまにはコツコツゆっくりと楽しめるようなものもいいと思います。
でもね、エッチの最中に今1合目だとか8合目だとか言われたら吹いちゃうから。小田切さん、すました顔でムッツリだわ……と確信。
Posted by ブクログ
気に入りました!すごく文章も読みやすくて、新人様とは思えぬ出来栄えでしたね。 二人の距離が反発から徐々に寄り添っていく部分をじっくり書いていて、切なさもあったし、何よりも山と下界とどちらもバランスよく書かれていて、登山の時だけではない時も二人で過ごせるっていうのが見えて、とても良かったです。 佐和ではないですが、私もあの小田切の言葉が愛の言葉とは分からなかったですね。
Posted by ブクログ
登山という馴染みの無い中でお話が進んでいくが、必要なだけの説明でくどくなく、その説明が邪魔になってないところが読みやすかった。
大切な人(恋愛感情でなくても)を亡くした喪失感を抱える攻、それを埋めていく受。
厳しく自分を試されそうな登山、亡くなってしまった人、深刻で暗くなりそうな設定だが、そこまで重く感じないのは作風だろうか?
受に本当の登山技術があるところ、性格の良さを表すエピ等、随所に受の魅力が書かれている。
恋愛部分は少し物足りないとも思ったけれど、満足できる読後感だった。