あらすじ
クリスマスシーズンで賑わうレイキャヴィクのホテルの地下室で、一人の男が殺された。ホテルの元ドアマンだったという地味で孤独な男は、サンタクロースの扮装でめった刺しにされていた。捜査官エーレンデュルは捜査を進めるうちに、被害者の驚愕の過去を知る。一人の男の栄光、悲劇、転落……そして死。自らも癒やすことのできない傷をかかえたエーレンデュルが到達した悲しい真実。全世界でシリーズ累計1000万部突破。翻訳ミステリー大賞・読者賞をダブル受賞。家族の在り方を描き続ける著者の、『湿地』『緑衣の女』に続くシリーズ第3弾。
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Posted by ブクログ
長く積読していた作家さんの三作目。
こちらも二作目同様、深く沁みる家族の物語でした。21世紀の今なら~なのに登場人物の人たちの中では自分が人生の主人公なのに、
抱えてゆくジレンマが多すぎてまたこのような悲劇的なミステリーに。
(北欧ミステリー、あの作品この作品、どうしてこう情けないカッコ悪!だけどカッコいい中年の独り者刑事が多いのでしょう?)
この表紙の画像がミスリード?
そして二転三転する推測。
たっぷり楽しませて頂けました。
Posted by ブクログ
読み始めるまでに気合いがいる。
クリスマスの話なのに、誰も楽しそうではない。
それでも一度読み始めると、最後まで一気に読んでしまうのは、ストーリーの上手さと、このシリーズは家族再生がテーマであろうから、きっとはじまりより終わりの方が状況が良くなっているだろうと信じているから。
レイキャビクで2番目に大きいホテルの地下室で、サンタクロースに扮した元ドアマンの刺殺死体が発見される。
何十年もそのホテルで働いているのに、彼の私生活を知る者は誰もいない。
捜査をしていくうちに明らかになる被害者の過去。
心が痛くなる。
親は子どもを希望にしてはいけない。
自分の夢を子どもに託してはいけない。
子どもの少年時代を奪い取ってはいけない。
楽しい子ども時代を過ごすことの出来なかった少年は親を恨み、親は期待に応えられなかった息子を無視する。
何十年も。
どうしてそのままの子どもを受け入れることができないのだろう。
そして少年の姉もまた、誰からも顧みられないという辛さを抱えていた。
エーレンデュルは娘から、自分たち家族を捨てた理由を何度も問い詰められる。
エーレンデュルもまた、壊れた家庭で育ってきたのだ。
けれど最後、エーレンデュルとエヴァ=リンド(娘)は、一緒にクリスマスを過ごすことにする。
互いを思いながら、不器用におずおずと近づいていく彼らは、次作でまた少し親密になっていればいいと思う。
あと、あまり姿を現さない息子もそろそろ出てこないかなあ。
Posted by ブクログ
エーレンデュル捜査官シリーズの第三弾。
ホテルの小部屋に住み込んでいたドアマンが殺された。
ひっそりと暮らしていた男は、
子供のころ天使のような声、
ボーイ・ソプラノの持ち主だったことがわかる。
2枚だけ作成されたレコードが残っていたが、
そのレコードが動機なのか?
どうも物足りなさを感じているのは、
なんだかもっと強烈な北欧ミステリーを読んだことがあるせいかもしれない、
という気がしてきた。
凄惨な殺人現場とか、苛烈な暴力性や、
刑事を含む関係者の破滅的な生活や人生とか。
それらを読みたい訳ではないのだが。
でも、誰にも打ち解けず孤独に暮らしていたかに見えた被害者に、
急に友人らしき人物が登場したり、
というよりかは彼の人物像がどうもよくわからないところや、
ホテルの抱える闇がはっきり描かれなかったり、
同僚が抱えていた児童虐待事件も真相が尻切れトンボになったり、
他にも食い足りなさを感じるところはあるのかも。
そして、情報を提供してくれる元上司との関係もいまいちよくわからない。
一応、エーレンデュルと娘はまだ親密さを取り戻しつつあるし、
過去の弟の遭難事故のことを、
捜査で知り合った研究所助手の女性に離すこともできたし、
話が進んでいる感はあるけど、
もうちょっと面白くなってほしい。
今回面白かったのは、
レコードを集める趣味の世界では、
日本人がネットに情報を載せ、世界中に出向いて買い占めている、
レコード蒐集家の間では有名な話だ、
というくだりかな。
Posted by ブクログ
ホテルのドアマンの殺人事件と並行して、児童虐待の疑いの父子の件と、エーレンデュルの家族の話が展開していく。
親子関係の、というか親が子供に与える影響の大きさに慄然とした。
エリンボルクのがかかえてる事件の方の真実も気になる。