あらすじ
FBI特別捜査官のヴィクターは、若い女性の事情聴取に取りかかった。彼女は〈庭師〉と呼ばれる男に拉致された10名以上の女性とともに警察に保護された。滝や小川があり、蝶が飛びかう楽園のような〈ガーデン〉――完全防音で随所に監視カメラが設置され、外界から隔離された秘密の温室に、彼女たちはコレクションとして軟禁されていたのだ。女性の口からじわじわと明かされていく事件の全貌に、恐ろしい犯罪に慣れているはずの捜査官たちが戦慄する。おぞましくも美しいこの地獄でいったい何が起きたのか。一気読み必至、究極のサスペンス!
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Posted by ブクログ
ローズ・マコーリー『その他もろもろ ーある予言譚ー』と並ぶくらいの傑作、今年ベストだった。
凄惨でありながら美しすぎる〈ガーデン〉の幻想描写から、現実への怒涛の着地を描く最終章が、力強く未来に目を向けさせる強烈な癒しになっていた。
〈ガーデン〉の3人の男性の望む「愛」は嗜好品的で一方的で、対照的なのがマヤがラストで見つけるソフィアとの血のかよった関係性だった。
それらが鮮やかなコントラストで描かれていたのがとても素晴らしかった。
マヤの家族観の変化をじっくり冒頭から追うために、また読み返したい。
Posted by ブクログ
はしばみ色の瞳
じわじわ怖い不気味可愛い儚い
径〈みち〉
デズモンドの愛がEggs'n Thingsのホイップクリームみたいで笑える。アメリカのブラウニーみたいな愛じゃなきゃイヤ。
Posted by ブクログ
「おぞましくてグロテスクで美しい…」
訳者の方の評どおりでした。
研修中の移動やホテルでの時間潰しにと思ったのですが、時間つぶしどころかのめり込んてしまって困ったくらいでした。
残酷なことが書かれてるんだけど、直接的な描写はないので気持ち悪さはあまりなかった。
Posted by ブクログ
2018.8.20.「庭師」に監禁されていた少女たち。解放された女性たちが頼りにしていたマヤという女性。監禁された少女たちが背負わされた震撼させる恐ろしい仕打ち。マヤのくちから真実を引き出そうとするとFB I捜査官との攻防。怖いながら前を進まざるをえないという気持ちで読んだ。最後のちょっとしたオチが不自然に思えたので星一つマイナス。
Posted by ブクログ
★3の下。
いや~、鬼畜!
サイコパス親父が少女を拉致る。
拉致った少女の背中にお気に入りの蝶のタトゥーを彫る。
でもって壁に囲まれた秘密の広大な温室施設「ガーデン」で飼い殺し。
好きなときに好きなように弄ぶ。
累計で何十人も。
何十年か続いている。
初期に拉致られて、殺されずに加害者に協力するようになった女看護士もいる。
基本16歳くらいのキレイな少女をを狙う。
いつまでも「ガーデン」に馴染めないと殺す。
妊娠や病気になっても殺す。病院には行かせられない。
21歳になったら殺す。サイコパス的な賞味期限。
1人殺すと補充のために新しい子を拉致しに行く。
常時20人くらいをキープする。
殺した子は防腐処理をしてガラスケースに入れて樹脂で固めて展示する。
サイコパス親父の長男も喜んで協力する。
サイコパス親父は歪んだ美意識でやるが、長男は嗜虐癖で楽しんで女の子を傷つけ、ときには殺す。
そんな鬼畜なとこに拉致されてマヤと名付けられた少女の物語。
グロそうな話しだと思ったが意外にそうでもない。
いや充分にグロいんだが焦点はそこではない。
これサスペンスというよりサバイブだわ。
サバイブといえば船が難破して無人島にってのがパターンだけど、これはサイコパス親父の温室からのという設定。
残酷な犯罪に巻き込まれた少女たちのサバイブストーリー。
最後はちょっとできすぎかなと思うとこがあったり、描写や言い回しが思わせぶりなとこがあって分かりづらいとこもあった。
Posted by ブクログ
FBI捜査官のヴィクターが取調室で対峙しているのは、マヤと自称する10代後半とおぼしい少女。ある事件の被害者である彼女は、実は共犯者なのではないかという疑いをかけられていた。やがてマヤが語りだしたのは、〈庭師〉と呼ばれる男が創りだした理想の庭に集められ、彼の手で背中に刺青を彫られ、名前を剥奪され尊厳を踏みにじられ、〈蝶〉にされた少女たちの物語だった。おぞましい〈男の夢〉と、拉致された少女同士の絆を描いたサスペンス。
耽美主義のシリアルキラーものとして読むと、〈ガーデン〉のアイデアやダミアン・ハーストじみた死体の保存法には既視感がよぎったが、マヤ=イナーラという独自の価値観を持つ語り手の設定は新鮮だった。彼女を中心に、気が強い粘土アーティストのブリス、マヤの前に少女たちのメンターを務めていたリオネットら、被害者少女たちの絶望とささやかな希望を描くシスターフッド小説としての面はすごくいい。ジーラの最後の一日が奇妙な幸福感に包まれる一連のくだりなど、涙ぐみもした。
〈庭師〉と二人の息子を通じて、女性を所有物扱いする男の典型例を見せているのも上手い。特に、父親を告発しない代わりに少女たちを攻撃もしないデズモンドを、諦めと共に受け入れていく〈蝶〉たちのやるせなさとか、どんな現実も自身の理想どおりに見ようとする〈庭師〉の認知の歪みなど、日常生活でも遭遇する種類のリアルなイヤさがある。〈庭師〉の紳士的な物腰は『侍女の物語』の司令官を思いださせる。自分が散々レイプした少女を息子に"相続"させることができて興奮する〈庭師〉のキモさにうっかり笑ってしまったが、当然笑う場面ではない。
だが、FBIの描写には違和感をおぼえた。容疑者に含まれているとはいえ、この境遇の女の子の話を聞くのに男二人でやるかなぁ。エディソンの直情的なキャラクターは読者がイナーラの供述に感じる苛立ちの受け皿として配置されているとはわかっても、最後まで好きになれなかった。ヴィクターもキャリアが30年もあるわりに尋問が上手いように思えない。彼らをもマッキントッシュ父子と同じくテンプレ的に描写することで、イナーラの口から個性豊かに語られる〈ガーデン〉や〈イヴニング・スター〉の女性たちと対比させる狙いなのかもしれないが。
深く傷つき、一度は社会との接続を絶たれた女性同士の新しい家族のあり方を書いたラストも良いことは良いのだが、なんとなく最後まで作者を信頼しきれない気持ちが残る。男性が読んでも気を悪くしないように、というところに特別心を配って書かれたシスターフッド小説という感じがするからだろうか。なんだか釈然としない。
Posted by ブクログ
このミス2019年第9位。
軟禁された少女たちの軟禁した庭師との生活が、一人の軟禁女性から淡々と語られる。
ちょっとエログロな作品であり、自分的にはあまり受け入れがたかった。
最後のソフィアのエピソードはいるのか?
ただ単にハッピーエンド?でよかったのでは。