【感想・ネタバレ】クリスマスに少女は還るのレビュー

あらすじ

クリスマスも近いある日、二人の少女が町から姿を消した。州副知事の娘と、その親友でホラーマニアの問題児だ。誘拐か? 刑事ルージュにとって、これは悪夢の再開だった。十五年前のこの季節に誘拐され殺されたもう一人の少女――双子の妹。だが、あのときの犯人はいまも刑務所の中だ。まさか……。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れて言う。「わたしはあなたの過去を知っている」。一方、何者かに監禁された少女たちは、奇妙な地下室に潜み、力を合わせて脱出のチャンスをうかがっていた……。一読するや衝撃と感動が走り、再読しては巧緻をきわめたプロットに唸る。では、新鋭が放つ超絶の問題作をどうぞ!/解説=萩原香※紙書籍版とはカバー画像が異なります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなに時間をかけて読んだ本は今までにないくらい、丁寧に読んでしまった。
ミステリーの枠を超えファンタジーかとも思えるし、登場人物の多様性から群像劇とも思えるような。
クリスマスを迎えるたびにこの本を思い出しそう。

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2016年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事前情報なにもなしに読んだのだけど、ずっとホラーじゃないかってドキドキしていました。
なんでそんなにホラーを疑ったかというと、多分、タイトルの「還る」って表記なんじゃないかな。
いかにも「よみがえり」見たいじゃないですか。(個人の感想です)
普通に「帰る」にしてくれれば、怖くなかったのに。

でも200ページまで読んでも、誘拐された少女たちの話が見えてこない。
あくまでも親や警察など、大人の話で。
なので前半しばらくびくびくしながらも退屈でした。

少女たちの状況が見えてくるにつれて、目が離せなくなりました。
たった10歳の少女たちが、自分の知っていること、できることを総動員して、二人で生きて帰ろうとする。

ところが、警察は一連の誘拐事件のパターンでは、一人はすぐに殺される、もう一人はクリスマスの朝に殺されるので、生きているはずの一人だけは早く救い出そうというスタンス。
え?
死体も上がっていないのに、いつものパターンでひとりは死んでいるはずって、決めつけちゃうの?

タイムアウト。
もう一人も殺されたであろうことにショックを受けて飲んだくれる警察署長。
マジか。
ちゃんと探してくれよ。

これはフィクションだからなのでしょうか。
それとも、アメリカの捜査ってそんなものなんでしょうか。

それに引き換え少女たちは本当に健気で痛々しくて。
心も体も傷だらけで、それが癒えることは当分ないのだろうけれど、それも含めて自分を受け入れて成長してほしいと思ったよ。

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2024年06月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

分厚くて、読みきれるのか心配になったけど、癖のある登場人物ばかりのわりにスラスラ読めた。職業倫理を守りすぎ!もう少し融通を利かせれば…と思ってしまった。記念品の隠し場所は、犯人の残忍さが現れていて、吐き気がした。自分より弱い者に手を出すなんて、本当に許せない。
結末は、驚いて読み返した。犬への合図が犯人に届かなかったのは、そういうことか!と納得。
サディーもルージュもアリも、そしていつの間にかアーニーも好きになっていく不思議な物語だった。

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2016年08月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

少女が二人誘拐された。
一人は副知事の娘で超がつくほどの美少女。
もうひとりは、中の上くらいの家の女の子。しかし、とにかくユニーク、ホラー映画マニアで悪趣味ないたずらもしょっちゅう、およそ正反対の二人だが無二の親友。
実はこの町では10年以上前から何度も類似の事件が起きている。美少女が誘拐され、クリスマスの朝に凌辱された遺体が発見されるというおぞましい未解決事件。
さらに犯人は捕まっているものの類似事件が過去にあり、その被害者は今回の事件を担当することになるハンサムな警察官の双子の妹。
双子と言っても、二人はありえない一卵性双生児の兄妹で離れがたく結びついていた。
彼が優秀な子供たちが集められている学校の寮に入り、離れてしまい妹を救えなかったその時から彼は心に穴を抱えて生きている。
さらに、顔の半分に傷跡がありながらも魅力的な謎の女性博士が現れ、過去の事件も今回の事件も同じ犯人、つまり拘留されている神父は無罪だと主張する。
さらには二人ずつ誘拐されているうちの、一人が犯人の真の目的であり、もうひとりは囮や手段であるため、本命を手に入れた犯人はすぐさま一人を殺す、この場合は美少女はまだ生きているが、もう一人の親友は殺されていると断定する。
しかし、少女たちは二人で犯人の隠れ家から逃げ出そうと手を取り合い模索していた。

この話の魅力の八割はホラーマニアのサディーの活躍に尽きる。
彼女はいい子キャラではない。冒頭は言葉をあまりしゃべられない少年をひどくからかったり、結果的にけがをさせたりしている。
けれど、その少年も彼女の魅力に引っ張られているということが中盤でわかる。
グウェンを溺愛し、彼女に悪影響を与えると引き離したグウェンの娘の友達としては賛成しかねるが、彼女のことが好きだった。
主人公ルージュや少女たちの通う学園の校長はルージュに容疑をかけられたときに、もし自分が少女を恋人に選ぶ嗜好があるならサディーを選ぶという。
サディーの母親が断言するように、皆が彼女を好きになるという魅力的なキャラなのだ。
さらに、その親友グウェンも自分ならサディーを見捨てて逃げてしまうかもと自責の念に囚われたりしながら、必死で脱出方法を考えるやはり勇敢な子供なのだ。
子供だけではない、登場人物はそれぞれ個性的だ。
過去の被害者であるルージュは事件を追いながらも、娘を奪われた怒りですべてを破壊してしまった父の過ちを調べ、母や己の再生へ向かって歩き出す。
他も最初はやな奴と思った人間が実はけっこうロマンティストだったり、強いと思っていた人が過去の傷に苦しめられていたりとミステリーとしてより群像劇として楽しめる。
無実の罪を着せられ、牢獄で性的な虐待を受けた神父の人物造形もすばらしい、普通は彼の心境のうつりかわりなどスルーしてしまうだろう。
ただ、あまりに登場人物が多すぎて混乱してしまうのも確かだ。
犯人もだいたい途中で見当がつく。しかし、犯人の書き込みがほかの人間に比べて希薄だ。

最後にタイトル、特に邦題はすばらしい。

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2015年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

*クリスマスを控えた町から、二人の少女が姿を消した。十五年前に双子の妹が殺された刑事ルージュの悪夢が蘇る。そんなとき、顔に傷痕のある女が彼の前に現れ―。一方、監禁された少女たちは力を合わせ脱出のチャンスをうかがっていた…。巧緻を極めたプロット。衝撃と感動の結末。超絶の問題作*

まさかこういう話だったとは!原題「 囮の子」もいいけど、この邦題には唸らずにはいられない。
「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」。その言葉通り、ホラー映画フリークの超問題児でやんちゃ過ぎる、勇敢で健気なサディーに心底魅惑された。これは、「少女たち」の救済と贖罪の物語。そして、クリスマスに少女は還る。

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2015年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サディーのお母さんの「みなさんはあの子を愛さずにはいられなくなるわ」の言葉は、読者にとってもその通りだ。冒頭の登場シーンのサディーの印象はちっとも良くないのに、読み終えてみれば一番魅力的なキャラクターは間違いなくサディー。前半を乗り切れば彼女が活躍する中盤からは本当に面白い。
主人公格の一人美貌の青年警察官ルージュ・ケンダルにそっくりで一心同体の双子の妹スーザンの存在はルージュが少女誘拐の捜査にのめり込む重要なファクター。彼ら双子にまつわる表現にはなにやら背徳的な雰囲気(果たして一般的米国人は妹にAIMMなどと書くものなのか!?)を感じたが別になんでもなかった。考えすぎか。
ルージュが警察官として活躍するシリーズがあったら読みたいと思ったが残念ながらないみたい。

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2015年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第二章(60ページ)まで読んで、もうやめようと思った。
日本語訳が酷すぎるし、(そのせいで)話がよくわからず面白くない。
文庫本で600ページ以上ある小説なので、時間の無駄は最小限にとどめたい。
ってことでとりあえず、解説を読んで終わりにしようと決める。
その解説に書いてあったことは、本書の読者評価が高いということと、監禁されたホラー映画好きな女の子が友達と窮地を脱出するために活躍する、という内容。悪くない。
そして、再読開始。
その後日本語訳もだんだんこなれてきて(第二章まで別人が訳してた?)、ホラー映画の騙しテクニックを駆使して少女たちが犯人を煙に巻く展開を心待ちにして読み進める。

昔の少女誘拐事件で一卵性双生児の妹を亡くした少年は、いつしか地元の警察官となっていた。
そして、今回もよく似た誘拐事件が発生、警察官としての主人公の活躍と並行して、監禁された少女たちの戦いを、かなりリアルに描写してゆく。しかしそこに、奇跡は起こらない。あくまでも、現実の厳しい状況と悲しい結果のみ。とはいえ、一人だけ助かる事実がまた辛い。

少女たちの犯人を欺く八面六臂の活躍からの生還というストーリーを期待していたから、その悲しい結末に驚く。本作は現実離れした面白ストーリーよりも、リアリティ重視の人間模様を優先したミステリーとなっている。
2000年度「このミス」海外ミステリー部門第6位。

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2025年11月30日

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