あらすじ
20世紀が秘匿した最後の巨匠とされるポルトガルの作家の書。異なる人格となって書かれた作品群のひとつ「不穏の書」と諸人格による「断章」をおさめる。旧版を大幅に増補改訂。 解説=池澤夏樹
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これは一生ものの一冊になりそうです。読んでいると、生活上の様々な出来事や悩みが至極つまらないことに思える。開き直ることができる。自分が自分でいられる。それでいて、時にしんみりすることもある。まるでお酒のように、飲み方によって色々な酔い方ができる作品です。
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「わたしと私は違う」
ペソア自身とは違う様々な人物・・・アルベルト・カエイロ、リカルド・レイス、アルヴァロ・デ・カンポス、等、様々な異名を作り上げた詩人、ペソアの散文集の様な作品です。
ペソアの独特な思想、哲学感が反映された散文で、ニヒリズムでも、ペソアらしさが添えてあって、それだけじゃない何かが感じられます。
取り憑かれるタイプの魅力ですが、散文なので感性が合わないと途中で飽きちゃう人も。
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真に書く人は本を造らない。
「造る」は「書く」に追いつけないからだ。
散らかした紙片の中に佇み途方に暮れる人こと詩人なのである。
みたいなことを考えた。
つまりはペソア病にかかっていたわけだ。
60箇所くらい付箋が残されたこの本を、何度も読み返すことになるだろう。
未来の郷愁。
Posted by ブクログ
前半部分の散文詩はさておき、後半は、生きること、誰かを愛すること、感受性豊かな人は幸せにはならないということ、行動するためには他人の喜びや悲しみを想像してはいけないから。お金持ちになるということは、そういった排他的な考えを持つものだけの特権なのかもしれない。なかなか面白い本
Posted by ブクログ
何だ! 彼は、どこから来たんだ!
ペソアを知らなかった。
このことを口惜しく思ったと同時に会えて心底喜んだのです。形の無いアンティークを見つけたように。
この読後感はカフカに近似しています。
それもそのはずで、本書も『城』や『審判』と同様に未完。音量の縮減。フェイドアウト的。いやどこかの結末を目指してさえいない散文で彩られていますから、そもそも終えようとしていないのかもしれない。私たちは本というシステムでもって彼を読みます。本には最後のページがあります。書籍的には一冊を読み終えましたが、実際は彼の世界を一度撫でたに過ぎないのです。
彼は「夢を見ている」と言っていますが、それはしなやかでたくましい想像力のなせる業。
でもきっと、彼は想像なんてしていない、なんて言い出しそう。