あらすじ
EUとは何か、ドイツの役割と共に解説。
2度の世界大戦という苦い経験から、戦争のない平和な世界をつくるという大きな理想を掲げて誕生したEU。国境をなくし、通貨を共通にして、人、モノ、お金の移動を自由にしていった。
しかし、移民や難民の流入を招いてEUの結束は揺らいでいる。イギリスがEUからの離脱を決め、各国で自国第一を掲げる政党勢力が伸長した。
理想と現実の狭間で悩むEUはどこに行くのか?
実は統合にはドイツが強大になるのを抑え込む意味もあった。しかし、今やドイツはEUのリーダー格になっている。戦後のヨーロッパでのドイツの役割と共にEUを読みとく、池上オリジナル解説。
本書は、池上さんが選ぶ独自のテーマで、世界の国と地域を解説する「池上彰の世界の見方」シリーズの5冊め。都立戸山高校での特別授業をもとに構成。
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感情タグBEST3
Posted by ブクログ
いままで知らなかったヨーロッパの経緯や各国の狙い・考えがわかる本。非常にわかりやすい。
なぜドイツの首相はサミットでみんなとポーズが違うのか?とかの小話もあってとても面白かった。
Posted by ブクログ
相変わらず本当に分かりやすい!
ドイツはヒトラーやナチスが行ってきた残虐な行為に真正面から向き合い、反省を重ね、EUの盟主になるまで復活を遂げたドイツの歴史により興味が湧いた。そのような事実は知っていたものの、ヒトラーを民主的なやり方で国民が自らの手で選んだことが、その反省の背景にあるという点は非常に納得できた。そんなドイツも難民問題を抱え国内では不満も渦巻いており、今後の動向が非常に気になる。
イギリスのEU離脱は、EUにおけるドイツの力をさらに強力なものにしてしまう。EUが元々ドイツを見張るための組織だったことを踏まえるとよくない兆候かもしれない。
Posted by ブクログ
2019/12/10
イギリスに続くドイツ版。イギリスから見たEUとの関わりとドイツとではどう変わるのかと比較しながら読んでいたけど、案の定まったく違いました。
そもそもEUはヨーロッパが二度と世界大戦のような大惨事を起こさないためにヨーロッパを1つにしようという目的で組織されたものであり、第一次世界大戦、第二次世界大戦をそれぞれ引き起こしているのはドイツであるということ。けれども、ドイツは二度の世界大戦で犯した過ちを徹底的に反省して、その態度を世界に示して信頼を勝ち得てきているような気がします。
正直今のドイツに戦争してた暴れん坊的なイメージはないし、むしろ堅実で真面目みたいな印象があります。
それだけ国内でも徹底した教育を行ってきたということなのでしょうか。日本も敗戦国としてドイツの教育方法など見習うべきものがあるのではないかとも思います。
またEU加盟に伴う難民に関するスタンスの違いやその背景にあるもの、戦前の因縁を今はどう引きずっているのか、あるいは処理しているのか。
EUの中でもイギリスが脱退を国民投票で決め、ヨーロッパ各国に広がる自国第一主義の考え方は今後の国の行方を考える上で無視できないものであると思われます。
日本もその姿からどんなことを学ばなきゃいけないか…だと思いました。
Posted by ブクログ
最初に題名を見た時に変だと思った。
なぜ、「ドイツとEUなのか?」
ドイツは、EUの一部ではないのか?
しかし、読んでいくうえでEUにおけるドイツの役割や重要性が見えてきた。
Posted by ブクログ
世界史の中でもヨーロッパ史は各国の思惑が交差しておもしろい。特に第一次世界大戦前の帝国主義時代なんて、まるで泥沼で昼ドラよりもおもしろい。
しかしさすがにいつまでもケンカしているわけにもいかず、いかにケンカしないでやっていけるようにするかを模索しだしたのがEC(EUの前身)ということですが、これが実はドイツ抑え込み作戦だったとは。そして皮肉にも今のEUはドイツ主導になりつつあると。だからタイトルは「ドイツとEU」なんですかね。実際本文も、EUを知ると同時にドイツをがっつり知るような内容でした。第一次世界大戦で負けたドイツ→ひどいインフレで不満高まる→ヒトラー登場・・・あたりからしっかりおさらいできます。
ありがたいのは巻末のEU加盟国データ。つい名前を忘れそうな国があったり、また逆に意外な国が加盟してなかったりと、いろんな気づきがあります。
Posted by ブクログ
池上彰の世界の見方シリーズ。高校生への授業をまとめたものなので大変分かりやすい。第二次世界大戦からEU発足までの歴史からどのようにEUが誕生したのか、その中心的存在ドイツの歴史とともに、ギリシャ危機や統一通貨ユーロの課題、難民問題、イギリスのEU離脱問題まで幅広く解説している。ヒトラーがドイツ人じゃなかったこと、ベルリンの壁はどんな壁でなぜ崩壊したのかなど、知らないことだらけだった。自分の無知を反省。最近EU諸国で台頭してきている自国第一主義の流れが、今後どう影響するのか注視したい。
Posted by ブクログ
戦後のドイツと日本の比較が興味深かった。
大戦では日本もドイツも周辺国に大きな被害をもたらしたのは同じで、戦後に日本は隣国と今でもギクシャクしている反面、ドイツはそれなりに隣国からの信頼を得て友好な関係を築いている、その違いは何か。
ドイツは他の欧州諸国とソ連という共通の脅威があったり、根っこを共有する宗教で繋がっていたり、直に国境を接していて利害関係により敏感にならざるを得なかったり、戦前に完成度の高かった民主主義で国民自ら独裁者を選んだ自覚があることなどが日本との違いなのかなと思った。
また、ドイツやEUの成り立ちを知って、民主主義がベターであっても決してベストではないこともよくわかった。
一人一人が学んでよく考えて自分を律していないとならないなと思った。
Posted by ブクログ
ドイツのくらい過去とそこからの反省を示し続けてEUを代表する国に変わっていった過程を政治的な目線で見れました。学生たちの賢さに驚くと共に、普段読む本と違う目線で振り返れました。
特に東西ドイツ統合と現在抱える社会問題の背景については他の本よりわかりやすかったです。
Posted by ブクログ
共に第二次世界大戦の敗戦国だが、戦後の態度の違いがいまの周辺国との関係を表していることに納得。ドイツの首相が国際会議で手を振らないこと、その理由を初めて知った。
Posted by ブクログ
池上彰の世界の見方、これで何冊目か?いつもの様に分かりやすい書き振りで頭の整理に役立ちました。欧州合衆国を標榜するEUの苦闘の歴史が概観でき、また、民主主義がヒットラーを生んだという指摘等考えさせられました。少しでも、今の世界を理解する為に更に歴史を学びたいと思わせる一冊でした。
Posted by ブクログ
面白かった!
分かりやすい。ドイツだけでなくその他のヨーロッパの国や日本はこう、という比較もしてくれるので更に分かりやすい。ヨーロッパが好きなので『イギリスとEU』『ドイツとEU』を読みましたが、このシリーズの中東やアメリカも読みたいな。
Posted by ブクログ
最近出版された「インド」が面白かったので、ほかの地域にも興味が出てきて購入。
内容としてはどちらかというとEUの記述が多いものの、ドイツ・EUそれぞれの現代史や課題をざっくりとつかむことができる良書である。
特に、ドイツの南北での違いや国民投票の危うさ、通貨単位「ユーロ」の由来などは意識せずに過ごしてきたこともあり、未知の知識に触れるという意味でも非常に好奇心を満たす本であった。
Posted by ブクログ
ヨーロッパの良い面しかみてこなかったが、それぞれの国で大変な問題を抱えてるんだなと思う。
物事には背景があってそれを知ってないと理解できないという事を痛感した。
Posted by ブクログ
【内容】
EUとは何か、ドイツの役割と共に解説
2度の世界大戦という苦い経験から、戦争のない平和な世界をつくるという大きな理想を掲げて誕生したEU。国境をなくし、通貨を共通にして、人、モノ、お金の移動を自由にしていった。
しかし、移民や難民の流入を招いてEUの結束は揺らいでいる。イギリスがEUからの離脱を決め、各国で自国第一を掲げる政党勢力が伸長した。
理想と現実の狭間で悩むEUはどこに行くのか?
実は統合にはドイツが強大になるのを抑え込む意味もあった。しかし、今やドイツはEUのリーダー格になっている。戦後のヨーロッパでのドイツの役割と共にEUを読みとく、池上オリジナル解説。
本書は、池上さんが選ぶ独自のテーマで、世界の国と地域を解説する「池上彰の世界の見方」シリーズの5冊め。都立戸山高校での特別授業をもとに構成。
【感想】
ドイツ人とこれから仕事で関わるであろう中で、
彼らの背景を知ることに役立ったと思う。
EUはドイツを牽制することを含む、
「二度と悲惨な戦争を起こさないように」
という理想のもとに組織されたけれども、
経済的に強いドイツが中心になっている現実...
イギリスの離脱、
移民問題を端に発した自国民第一主義の流れなど、
何が正解なのかと見出すのは難しいなぁと。
ドイツが発展したのは、プロテスタントのカルバン派の思想がその根底にあったのではないか、
というマックス・ウェーバーの主張は的を得ている。
どこでどのような思想の元で生まれるかは自分で決められないから、辛い所だなぁと思う。
Posted by ブクログ
教育や宗教など環境が国を造る上でいかに重要かということがよく分かった。
世界の見方シリーズはほとんど読んだけど今回の「ドイツとEU」編が一番衝撃的。
結構EUは知ったつもりでいたので余計。
Posted by ブクログ
ヨーロッパの統合の歴史。EUの課題点。第二次世界大戦後、ドイツの強大化を抑える役割をはたしたEUであるが、現在の中小国のEU加盟での経済の格差による混乱。そしてイギリスの脱退でドイツを中心にしたEUになる可能性が強い。これからのEUの進む道は。
Posted by ブクログ
EUの成り立ちと、ドイツがナチス時代から現代に掛けてどれだけの努力で世界の信頼を得たのかが分かりやすく書かれています。毎度思いますが僕のような初心者には本当にありがたいです。深くまで書かれていても興味が湧かないと全然頭に入らないですからね。これはすっと入ってきて、ちょっとわかったような気になります。
EUはヨーロッパの国々が集まって、アメリカやロシアに対抗する意味以外に、ドイツがまた暴走しないように監視するという意味もあったんですね。第二次世界大戦の重みというのはこれからも長く残っていくし、これからの世界の為に忘れてはならない事です。
ドイツが誠心誠意国際社会へ謝罪して、国民へも戦後教育を徹底してナチスドイツが起こした戦争を忘れずに綿々と伝えていく姿勢は本当に見事です。移民を無制限に受け入れるというメルケル首相の方針を、西ドイツで戦後教育を受けた人々は当然の事として受け止め、東ドイツで生まれ育った人々はナチスが悪かったのであって、国民は悪くなかったと教育を受けているので、受け入れ難く感じているという事も興味深いです。人の考え方というのは教育と啓蒙によって成立していくんですね。
僕は重要な事は国民投票すればいいじゃないかと安易に思っていましたが、ナチスはドイツ国民が国民投票で絶大な支持を受けた事によって誕生したと知ってびっくりしました。熱狂した国民が冷静さを欠いて選ぶことが、必ずしも国民の総意と言えるのかというと確かに疑問です。
EUでユーロという共通貨幣を使用している事によって、各国独自での金融政策が難しくなっている理屈がよく分かりました。好景気のドイツは金利が安すぎると締め付けが効かなくなる恐れが有り、不景気のギリシャでは金利が高すぎると経済が回らず回復しない。このバランスを取ろうとするとどっちつかずになるということ。なるほどね、想像もしなかったけれども一種類の金融政策で複数の国をコントロールするのは難しそうです。
それにしても子供の頃はがっちり固まった世界だと思い込んできましたが、その頃せいぜい戦後50年位だったわけで、これ以降もめまぐるしく世界は変わっていくんですね。漠然とは分かっていましたが具体的に色々な国の思惑を知ると、いかに世界平和が綱渡りかがわかります。
今世界は激動の道を歩んでいます。何も変える力は無くても知らずに巻き込まれるのは御免なので、地道に情勢を見守りたいと思います。