あらすじ
継母の家族の下で虐げられていた青年エラルドは、森をお忍びで訪れた美しい第二王子シャロンと出逢い、たちまち二人は恋に落ちる。ところが城で催された仮面舞踏会でシャロンを盲愛する兄太子の逆鱗に触れ…!?
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Posted by ブクログ
壮絶な禁断の兄弟愛
身分差、屈辱と屈折、歪んだ愛情、純愛、悲恋が織りまざり、おおー!そうなるのか!と最後まで気の抜けない面白さでした。
純粋無垢な弟、シャロンを巡る二人の純愛。兄の悲恋を昇華する弟の愛。深いお話でした。
『罪を抱く二人』の二人が誰を指すのか・・・
ヴァリウスの想いが、触れることの出来なかった想いが痛々しいです。
笠井あゆみ 先生のイラスト、美麗です!
こうなるかぁ〜…
本来の憧れのシンデレラストーリーとは真逆のかなり背徳的な感じでした
王太子ヴァリウスの横暴さの裏にある苦悩がすごく切なくなってしまった…
メインはたぶんヴァリウスとルラルドなんだろうな
ハッピーエンドだけど、苦さが残る話でした
Posted by ブクログ
犬飼のの先生の作品を初めて読んだのでいつもの作風は分かりませんが、この方も松岡なつき先生の作品を読んだ時に感じるような物語の世界観や時代背景、登場人物の心情を繊細に丁寧に表現される作家さんなのだと思いました。幸福の解釈は人それぞれですが、ただ優しいだけではない薄氷の上を歩いているような感覚を覚えたラスト、私は嫌いではないなと思いました。笠井あゆみ先生の挿絵のイメージも作品にぴったりで、特に表紙と扉絵のシャロンの美しさは見惚れます。
今回も面白い!
展開の読めないストーリーで
最後まで楽しませて頂きました。表紙からしてシンデレラはシャロンだと思って読んでたら違ってて…
それにしても
そうきたかぁー‼︎と何度も驚かされるから、読んでて飽きないです。
私は良かったです
攻めがシンデレラ!私は面白かったです!
本当のシンデレラのストーリーとはかけ離れているけど、最後までどぉなるか、展開が読めない感じで引き込まれました
シャロンのイラストが美しくて引き込まれました!
Posted by ブクログ
▼あらすじ
継母の家族の下で不遇な生活をしていた青年エラルドは、ある時、森をお忍びで散策していた美しい第二王子シャロンと出逢い、天使のような愛らしさにたちまち恋に落ちる。
一方、シャロンは弟を偏愛する兄王に束縛されていて、真の友人を求めていた。運命的に出会った二人は森の離宮で逢瀬を重ね、いつしか秘密の恋に溺れていく。
そんな折、城で舞踏会が催される。シャロンに会いたい一心でエラルドは城へ向かうが、彼との仲を知った王の逆鱗に触れ…!? 大人気濃厚官能童話!!
***
ストーリーの完全度:非常に高い
トーン:シリアス・せつない
エロ度:やや高い
萌え度:高い
総合評価:★4.5
犬飼のの先生の童話シリーズ、前回読んだ『赤ずきん王子』は個人的にちょっと引っ掛かる部分があっていまいちハマりきれなかったのですが、今回は心をがっつり掴まれてしまいました。めちゃくちゃ面白かったです。
最初、表紙にいる巻き髪の彼がシンデレラだと思って読んでいたのですが、背後にいる王子様みたいなのがシンデレラだと気付いて吃驚してしまいました。ビジュアルが意外過ぎる(笑)
ぶっちゃけ、のの先生のオリジナル性が強過ぎてシンデレラの原型はあんまり残ってないです。これなら別にシンデレラじゃなくても良かったのでは?と思わなくもないのですが、ガラスの靴の代わりにガラスの男根が出て来たシーンはちょっと笑ってしまいました。自分がアシェンプテル王国の民だったらドン引きしてると思う(笑)
エロシーンについては『赤ずきん王子』ほどエロエロじゃないので途中でうんざりする事もなく、そういった点でもかなり自分好みな作品でした。
何より雰囲気が良かったです。耽美でドラマチックで、エロシーンでこんなにドキドキしたのは久しぶりかも。身分差CPが好きなら確実に刺さるじゃないかな、と思います。
また、心理描写もしっかりしており、両視点でお話が進んで行くのでエラルドとシャロン、どちらにも感情移入できて一度読み始めると止まらないくらい作品の世界に没頭する事が出来ました。
特にオチは秀逸でしたね。のの先生の作品は大抵ラスト付近でいつも驚かされるのですが、今回も例に漏れず予想だにしていなかった事実が明らかになり、最後の方は本当に一気読みでした。
シャロンの実兄であり、二人の恋敵として登場する第一王子ヴァリウス。彼が最後の最後で美味しいところを全部持って行ってしまいました。
本編で描かれる彼は決して“善い人”ではありません。寧ろ悪人寄りで、罪も無い人を処刑したりシャロンの愛犬を射殺したりと冷酷な人物として描かれています。
けれど、彼は彼なりにシャロンの事を愛していて、ただどうしようもなく不器用な人だったのだと…途中で道を誤らなければ、ヴァリウスにエラルドのような素直さが一欠片でもあれば、未来は変わっていたのかもと思うとせつなくて胸が締め付けられました。
本編後に、エラルドと対決する前のヴァリウス視点の短編が収録されているのですが、『もしも再び会えたなら』というタイトルがより一層せつなさに拍車をかけていて、やるせない気持ちになってしまいました。
エラルドとシャロンが結ばれたのは良かったけど、犠牲が出てしまっている以上、手放しには喜べないラストで、読後感が良いとは言えないのが残念です…。
この作品を読み終わるまでは同性愛が罪なのかと思っていたのですが、まさかそこに近親相姦や殺人まで加わってしまうとは…。なんて重いタイトルなんだ…(-_-;)
死ネタが地雷の自分としては少々気分が暗くなるオチでしたが、同時に面白いと思ったのも事実ですし、シャロンの愛を勝ち取ったエラルドがヴァリウスを切り捨てる事なく“三人で”という言葉を使ってくれたのも唯一の救いかな。
エラルドが言うように、ヴァリウスが本当にエラルドの中に住んでいたらいいなと思います。