【感想・ネタバレ】火定のレビュー

あらすじ

パンデミックによって浮かび上がる、人間の光と闇。これほどの絶望に、人は立ち向かえるのか。時は天平、若き官人である蜂田名代は、光明皇后の兄・藤原四子(武智麻呂、房前、宇合、麻呂)によって設立された施薬院の仕事に嫌気が差していた。ある日、同輩に連れられて出かけた新羅到来物の市で、房前の家令・猪名部諸男に出会う。施薬院への悪態をつき、医師への憎しみをあらわにする諸男に対して反感を持つ名代だったが、高熱に倒れた遣新羅使の男の面倒をみると連れ帰った行為に興味も抱く。そんな中、施薬院では、ひどい高熱が数日続いたあと、突如熱が下がるという不思議な病が次々と発生。医師である綱手は首をかしげるが、施薬院から早く逃げ出したい名代は気にも留めない。だが、それこそが都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせた、“疫神”豌豆瘡(天然痘)の前兆だったのだ。病の蔓延を食い止めようとする医師たちと、偽りの神を祀り上げて混乱に乗じる者たち――。疫病の流行、政治・医療不信、偽神による詐欺……絶望的な状況で露わになる人間の「業」を圧倒的筆力で描き切った歴史長編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

綱手や名代が施薬院で必死に頑張ってる時に諸男、アンタは何やっとるんじゃ〜!と思いながら読んでました。

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2021年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

P.404
医者とは、病を癒し、ただ死の淵から引き戻すだけの仕事ではない。病人の死に意味を与え、彼らの苦しみを、無念を、後の世まで語り継ぐために、彼らは存在するのだ。


ふぅん。死んでいったものたちは、犠牲になったものたちは、残されたものたちは、意味を与えてもらってそれで少しでも救われるのか、、、
隆英どのは、こどもたちの死に意味を与えてもらえたのかな。
なんだかなぁ。

コロナがはやり、パンデミックという言葉が浸透する以前に、このテーマを扱った小説ということで注目されたのかな?

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感染症に関する小説を探してたどり着きました。それは、教科書にもでてくるお話。時は天平。奈良のみやこを疫病(天然痘)が襲う。藤原不比等の子供たち、藤原四兄弟までもが次々と亡くなったという、パンデミックが題材です。

天然痘に対し、施薬院の人たちは自分を危険に晒しても治療にあたります。一方で、自分の生い立ちから人を憎み、病気に苦しむ人を怪しげな護符で扇動し、施薬院を襲わせる人もいます。また、過去の冤罪から医師であることを放棄しながらも、やっぱり目の前の人を救ってしまう人もいます。

死に直面する中、人は生きる意味を問われます。さまざまな葛藤を真正面から力強く書きあげた作品です。

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2021年04月18日

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