あらすじ
高校生の広海は、祖父である大和尚の仕事を手伝っている。 ある日、同級生のサチがお寺にやってきた。 ふたりは次第に親しくなるが、彼女は母親との関係に苦しんでいて――東北の町を舞台に、人生につまずいてしまった人たちが再び歩き始める姿を描く、凛としたやさしい物語。
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Posted by ブクログ
人間が、いつの間にか、意図せずに抱えてしまっている不安や負担や重荷。
どうすればいいのかわからなくなって、一人でそれらを抱え込んで。
そうすることでまた重くなって。
そういうとき誰にでも、
救いの手を差しのべてくれたり
喝をいれてくれる人がいるということ。
忘れちゃうけど忘れたくないなあ
Posted by ブクログ
誰もが秘密を抱えている。やるせなさを感じている。
でも、それでも格好悪くてもいいから生きていこうと思える、そんな作品。
(かといって完全な前向きな話ではないところもしっくりくる)
一つ一つが全くの単独の話ではないのもまた面白い。
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舞台や登場人物は共通で4人の主人公の生活、生きることが描かれた物語。ファンタジー小説だけどあまりそうと感じないもっと日常に近い4つの話だった。
人の優しさを感じてじんわり出来て前向きになれる本。
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西條八十の童謡『かなりや』をタイトルにした四編からなる連作。四編全てが人間が生きて行く上で背負う重圧や悩み、そういう悩める人を救おうとする人々の連鎖が温かく描かれた大傑作である。最初は四編が独立した物語かと思うのだが、全てを読むと一つの物語として成立していることが解る。
実は単行本で読んでいるのだが、文庫化されたので再び手に取った。分かっているのに読みながら、じわじわと涙がにじんだ。
主人公はお寺の長男・広海。彼はどの話でも脇役のような立ち位置なのだが、非常に重要な役割を果たしている。小さな船に乗って現れる広海…
途中に童謡『かなりや』の…象牙の船に 銀の櫂…という歌詞が紹介されているが、なるほどと思った。そういえば、単行本の装丁は全体がエメラルドグリーンで、表紙には淡く浮かんだ白い船が描かれていた。文庫本の表紙には広海とサチが青空の下に佇む姿がステキなタッチで描かれている。
四編のタイトルが『アポトーシス』『インピーダンス』『マグデブルグの半球』『シュレーディンガーの猫』と物理科学の用語になっており、物語の中の面白い仕掛けになっている。
心が疲れてる人に是非お勧めしたい作品です。
Posted by ブクログ
家族がテーマの本を選ぼうとしたときに手にとった。
この本のテーマは「化学」「理科」「助け合い」「つながり」「生きづらさ」「自し」(→それが良いのかどうか含める)でなんか違うなぁと思う。
絶対に自分で命を絶ってはいけないけれどそれを頑なに禁止したり、頑張れよって声かけしたりするのも違う。
どの話も面白かったけど西條八十の「かなりや」は無理やり感があって話に合わない感じがした。
Posted by ブクログ
2回目か3回目。物理は苦手なのでそこの部分で、星ひとつ減点。悩みのない人はいない。幸せってなんだろう。自分らしく生きるとは?お金を稼ぐとは?などなど考えてしまう。何かの役割を全うするために生きるのだろうか。完璧に全うなどできなくても。
Posted by ブクログ
現代の病…虐待・パワハラ・ストレス症候群・職業病。自ら一線を越えた者たちを連れ戻すお寺の住職と孫たち。大和尚さんはさりげなく、広海と実生ちゃんはストレートに、、。込められる対比は数えきれない…表と裏・科学と仏門・海と川・生と死など、、連れ戻された人たちは境目に気づき、やがて新たに歩みだす。時間差の連鎖を絡めた各短編は、物静かに見守る奥深さと少々のファンタジー色♪。
Posted by ブクログ
苦しい思いをして、つらい思いをして、それでも人は生きていく。苦しさの中に見える、人と人との関わりの優しさ、温かさに心をじんわりと暖められるお話でした。