あらすじ
【吉川英治文学賞受賞作】1905年ロックフェラー医学研究所の首席助手に任命された野口英世は、蛇毒、スピロヘータの研究に没頭。そして白人女性メリーとの結婚。世界的な名声をえた英世は、1915年日本に凱旋帰国。だが研究にゆきづまった晩年、アフリカの黄熱病研究のため現地におもむき、自らの研究の犠牲となり、53歳の生涯をアクラの地に果てるまでの後半生。偉人野口英世の真実の姿を描いた感動の長編伝記小説。
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Posted by ブクログ
野口英世の善悪両面に迫った評伝。
お子さま向けマンガ伝記でか軽く流される「金遣いが荒い」エピソードや、渡米後の様子が詳しく描かれる。
英世の研究振りについて。
(引用)
・(英世は)実験をして疲れたら、靴を履いたままベッドに横になる。横になった途端もう眠っている。そして2,3時間で目が覚めると、そのまま顔も洗わず研究室の机に向かう。下着など何日も替えない。あまり長く着ていて臭いので、「替えたらいかがですか」というと、不機嫌そうに文句をいいながら替える。それも一度替えだすと、上から下まで、さらにワイシャツからズボンまで全部替える。すべて研究優先の生活であったが…
・心配するな、俺は本当は少しも眠くなんかないんだ。何日徹夜しても平気だ。でも明日の仕事のためには、いま寝たほうが得だ、そう思ったときだけ寝ている。これでもちゃんと考えているんだ。
・少しでも他人から抜け出そうと思ったら、他の人の倍以上の努力をしなければダメだ。二歩も三歩も出ようとしたら、その何倍も努力をしなければならない。いまこうして君と話している間も、世界のどこかで誰かが顕微鏡を覗いて狙っている。ほら、きこえるだろう。彼らの追ってくる足音が。
・人間は体のことを考えるようになったら終わりだ。自分をいたわるようになったら、もうエネルギーはなくなったということだ。