【感想・ネタバレ】遠き落日 下のレビュー

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Posted by ブクログ

野口英世は細菌学において業績が認められ、アメリカの研究所で確固たる地位を築き、ヨーロッパ、日本も含めて世界中から賞を受けた。最期に手掛けた黄熱病は細菌ではなく当時ではまだ観察出来ないウィルスだったことからその原因を解き明かすことは出来なかった。自身が黄熱病に掛かりアフリカの地で還らぬ人となる。

間ダイナモ(発電機)と渾名されるほど精力的
輝かしい実績だけではなく、野口英世自身だけではなく、周りの人物も含めて、生々しく描かれていた。

猪苗代湖の辺りにあるという野口英世記念館に行きたいと思った。

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2018年11月03日

Posted by ブクログ

コンプレックスの強い人間は、自らが属する小さな空間で評価されるのみならず、次々と別の次元に上がらなければ、落ち着かないのかも知れない。この物語は、先天的コンプレックスを持つ事と、負けず嫌いである事、勿論、能力もあるが、それらを有した人間でなければ出来上がらなかった。そして最後まで評価にこだわった人間が、祖国日本では明確に記録されず、しかしナショナリスティックとして病死した様を、落日と表したのだろうか。

自分自身の臆病な生き方がこれで良いのか、考えさせられる一冊。コンプレックスが引金なのか、飽くなき上昇志向、それを失わせない環境と性格がなければ、その人の人生はありふれたモノなのかも知れない。勿論、ただ好きで究めていく世界もあるだろうが。

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2017年04月03日

Posted by ブクログ

野口英世のイメージがガラリと変わった。
そもそも、知ったフリをしていただけと分かったのだが。

ここまで研究に明け暮れ、地位や名声を追い求め、生きて生き抜いて、一生を終えるとは。そのパワフルさに圧倒された。この世は野口英世が生きるに値する世界だったのではないか。

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2021年07月11日

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後年の野口は黄熱病の発見を急ぐあまり、手痛いミスをしてしまった。当時の科学技術では見ることができないウイルスによるものが黄熱病の原因であったが、それをスピロヘーマと間違えてしまったのだ。その失敗が後を引き後悔が残ることとなったが、もし現在に彼が生きていたならばどのような業績を残していたのか非常に興味深い。

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2014年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

野口英世の善悪両面に迫った評伝。
お子さま向けマンガ伝記でか軽く流される「金遣いが荒い」エピソードや、渡米後の様子が詳しく描かれる。

英世の研究振りについて。

(引用)

・(英世は)実験をして疲れたら、靴を履いたままベッドに横になる。横になった途端もう眠っている。そして2,3時間で目が覚めると、そのまま顔も洗わず研究室の机に向かう。下着など何日も替えない。あまり長く着ていて臭いので、「替えたらいかがですか」というと、不機嫌そうに文句をいいながら替える。それも一度替えだすと、上から下まで、さらにワイシャツからズボンまで全部替える。すべて研究優先の生活であったが…

・心配するな、俺は本当は少しも眠くなんかないんだ。何日徹夜しても平気だ。でも明日の仕事のためには、いま寝たほうが得だ、そう思ったときだけ寝ている。これでもちゃんと考えているんだ。

・少しでも他人から抜け出そうと思ったら、他の人の倍以上の努力をしなければダメだ。二歩も三歩も出ようとしたら、その何倍も努力をしなければならない。いまこうして君と話している間も、世界のどこかで誰かが顕微鏡を覗いて狙っている。ほら、きこえるだろう。彼らの追ってくる足音が。



・人間は体のことを考えるようになったら終わりだ。自分をいたわるようになったら、もうエネルギーはなくなったということだ。

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2013年04月13日

Posted by ブクログ

美談の中に生きる偉人としてではなく、ちゃんと一人の人間としての野口英世を知った気がします。

コンプレックスと数多くの欠点を抱えながらも、前のめりに激しく生きた野口英世は尊敬に価すると思います。

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2012年01月07日

Posted by ブクログ

得体の知れない感動のようなものが最後にはふつふつ込み上げてきた。ここまで一人の他人(誰からしてみても他人なのだ)を解剖して、書き上げることができるのだという驚愕。
野口英世が特殊な人間だったことですら、もう後半、忘れてしまっていたような気がする。
とくに往年は、野口にとっても苦悩と不安の波だったからかもしれないが、とても人間的に写るのだ。
そこで浮き彫りになるのは、どんなに野口が努力してきたかという事実。
天才、とか、偉人、とか、なんでもない人間、野口。
やはり人間は人間だと思った。
それでも成し遂げたことがあったからこそ、こうして語り継がれる理由がある。世の中の偉人伝の人たちも、そういうことなんだと思った。
中盤、著者は野口のことを否定的なのだろうか?と思えるような描写が続いたように思えて、斜め読みしていたけれども、やはり、心底、ひとりの人間として野口にほれ込んでしまった男のひとりなのだと痛感。
そういうのって、すごい。
ほんとうに、すごい。
そして私も野口が愛おしい。ものすごく愛おしい。
不器用で、変くつで、でも純粋で無邪気な野口博士。
あなたの人間性が、こうして渡辺淳一に一冊の本を書かせた。
そうして、あなたは、完全に記述され、歴史に残った。
そんな人なかなかいないと思う。
すべてはあなたがどれだけ一生懸命生きてきたかの、不思議な因果関係だとおもいました。

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2009年12月12日

Posted by ブクログ

貧しい家庭、やけどを負って不自由な左手と言ったコンプレックスをバネにして研究に勤しみ、世界のトップに立った医学者と言えば聞こえは良い。でも実際は金にだらしなかったり、整理整頓能力が全く無かったり、更にはとんでもなく見栄っ張りだったりと非常に人間臭い面がある。その破天荒ぶりがまた読者に親近感を持たせるのかもしれない。そんな彼の裏の顔を見てもなお、偉人なのだなぁと思えてしまう。

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2009年10月04日

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