あらすじ
異世界の数学オタク・ナオキの活躍で辛くも戦争を乗り切ったものの、戦後賠償で財政が火の車なソアラ王女率いる弱小国家ファヴェール。財政再建のためナオキとソアラが出した結論は、隣接するモスコヴィア帝国に遠征していた自軍の規模縮小と撤退だった。しかし遠征軍総司令のソアラの従兄妹、ライアスは気さくなイケメンながらも彼なりの帝王学を持つ難物。コミュ障のソアラとナオキは、果たして彼を説得できるのか!?
そして新たにナオキが雇うことになった女性助手(美人)が、ソアラから目のハイライトを奪っていく!
「首だけのナオキさんなら浮気しませんね!」
危険な発言も飛び出す波乱の第2巻!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
戦争状態にある隣国・モスコヴィヤ帝国における戦線をいかに上手く撤退させられるかが描かれた、外征編の第二巻である。
報告通りであれば優勢、という大変不穏当なところから物語は始まっている。
実際にはソアラ女王の縁戚である遠征軍総司令・ライアスとの折衝の難儀さや、絶対に勝てない列強国の騎兵軍団、はびこるスパイ活動と占領地の蠢動など、相変わらず厄介事が総掛かりで飛び込んでくる物語である。
それらの解決法として、前提の勝利条件自体をひっくり返す発想の転換は前巻同様の代物で、勝利を確信する相手に叩き付ける様は同様の爽快感を持ち得ている。
新たに登場し、ナオキの助手を務めたテレンティアも良いキャラをしている。ほどほどに物語をひっかきまわしてくれた。
全体的にバランスの取れた構成で、前巻に引き続いてこのシリーズらしさを見せてもくれている。星五つで評価したい。
1巻と比べると……
1巻分は物語としてよく推敲されてた印象だったのに、急にこの2巻になって話を書き足した感が強くなった。
この巻の舞台となる地方で指揮をとっている二人が新しく出て来るが、その二人がその立場と重要性の割にあまりにもおバカ……まぁ1巻の貴族達も大概だったけどあの存在はまだ物語的にも納得が出来た、ただこの二人はその国家存亡の時ですらその地を離れず指揮を取るほど重要な場所を治めてたはずなのに、外交のバランス感覚も無ければ戦のセンスも無い、あの有り様で治めてきたとか言われても……実は主人公達を見限って敵対し独立するつもりでやってた、とか言われた方がまだ理解出来る。
物語の説得力の為に、せめてその経歴に納得出来るだけの能力は持たせて欲しかった。
数学の話もその展開も面白いんだけどなぁ……