あらすじ
JAL、ヤマト運輸、セブン&アイ――V字回復・高収益企業の共通点は、社員1人ひとりの自律的思考にあった――。「ハイパフォーマンスを生む現場」の共通点を探る。
「世界的にも全員経営が求められ、注目されるようになってきた背景にあるのは環境の大きな変動、そして、知識こそが唯一の意義ある経営資源となる知識社会の到来です。市場の変化が加速し、複雑化し、不確実性や不透明性が増すなかで、今、企業は戦い方の大きな転換を迫られています。
すなわち、戦力の大きさで競争相手を圧倒する消耗戦から、一人ひとりが「知的機動力」を発揮する機動戦への転換です。それはまさに、全員経営のあり方そのものです。」(まえがきより)
混乱や困難に直面すると、全員の力で乗り越えようとするDNAが日本人には埋め込まれている――リーマンショック、東日本大震災を経て、そのDNAを呼び覚まし、全員経営や衆知経営のあり方を取り戻して、弱体化した組織能力を高めていくときが今きている。日本各地で取材を重ねた著者らが、全員経営に向けた組織のあり方、マネジメントの仕方、仕事への取り組み方について、具体的な事例を通して重要ポイントを指摘。
個人の経験主義から全員が仕組みで動く風土に変革し復活した無印良品、社員の管理を極力排除し内面的動機付けで高収益を上げ続ける未来工業…「全員経営」で成功を遂げた企業の組織形態や人材育成法を、ドキュメンタリー形式の「物語編」と、経営講義形式の「解釈編」で詳細に解き明かす。
企業改革を担う経営幹部層はもちろん、ミドルマネージャー層とその予備軍にぜひ読んでもらいたい1冊。
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Posted by ブクログ
「全員経営」といえば、松下幸之助の
「衆知を集めた全員経営」や稲盛和夫
の「アメーバ経営」が有名だが、本書
は、欧米の分析的な経営手法の過剰な
適応が日本企業の活力を奪ったとし、
日本企業のDNAである「全員経営」を
激しい環境変化に適応する手法として
見直すべきと主張。
最近の日本でのイノベーション事例や
成功事例を紹介し、そこに見られる
パターンを帰納的に抽出、「全員経営」
を実践する企業の特徴を論じている。
紹介事例は、稲盛さんの「全員経営」
による「JAL再生」、ヤマト運輸の
女性セールスドライバーが悪戦苦闘
の末に生み出した「まごころ宅急便」
小惑星探査機「はやぶさ」のプロ
ジェクト、東日本大震災において
津波の直撃を受けながら、小中学生
の生存率99.8%という驚異的な数字
を記録した「釜石の奇跡」等、興味
深い事例が数多く記載されている。
物語と理論を通じて、全員経営を
実践する上でのポイントがわかり易く
整理されており、非常に参考となる
一冊。
Posted by ブクログ
マニュアル経営にも良いところもあるし、裁量を持たせた全員経営にも良いところがある。
モノがあふれていて、同じような商品がたくさん出回っている世の中では、商品の差別化に加え、この人から買いたいといった観点も必要だと思う。
その中で、上司のお伺いを立ててからとか言っていたら「サービスを提供する瞬間」は逃してしまうので、それぞれが考えて最適行動をする必要がある。
最適な行動をするには、どうすれば良いのか。
本書では、「何が良いことなのかという共通善(コモングッド)を持つ」ことが必要と説く。
なるほど、おっしゃる通り。
例えば、世のため人のためになること。モラルがあること。「経済なき道徳は戯言であり、道徳なき経済は犯罪である」とおっしゃった二宮尊徳さん、さすがです。
また、そういった人材になるために、日々心がけ、身に着けるべき能力は、次の通り。
・直感的な状況把握
・的確な情勢判断
・迅速な意思決定
・俊敏な行動
・テンポ「質量かけ速さ」
・威力「質量かけ加速」
・精神的な要素
まず、何でもやれること。3つの得意分野を持っていること。2倍の質、2倍の量で4倍速で成長すること。
人間は少数になると責任範囲が広がり、精鋭になるんだから、考えさせ、そして行動に移させる。
NATO(no action talk only)ではだめ。口先だけで行動が伴わないなんて、インテリやくざじゃん。
そして、会社経営に関しても勉強になる。
人材は実践を通してしか育成できない。修羅場を体験し、徒弟制で自律分散リーダーを育成することが会社には必要。
会社は社員を幸せにするためにある。この考えは共感できる。やっぱり、資本を出資してくれた株主に対して働くというよりもこっちだよな。
そして、会社は永続することで社会に貢献するという指摘も納得。
また、とある旅館の方針である、客室係の声はお客様の声だから最優先で対応すること。ありません。できません。はNGとする。
お客様第一主義とはこういうことを言うんだろうな。
最後に、システム開発をする自分へ、はやぶさへの取り組みのように、作っているものに対して感情移入することが大切。
システム開発は人の子を育てることに似ているように感じる。愛情を持って、自分の最大限の知識スキルを導入してお客様のシステムを作っていく。
みんなこういった考えならいいのに。家族を持つとやっぱ難しいだろうし、人それぞれ優先順位あるもんなあ。