あらすじ
相撲と本格ミステリ、奇跡の邂逅!
ひょんなことから相撲部屋に入門したアメリカの青年マークは、将来有望な力士としてデビュー。
しかし、彼を待っていたのは角界に吹き荒れる殺戮の嵐だった!
立ち合いの瞬間、爆死する力士、頭のない前頭、
密室状態の土俵で殺された行司、連日殺されていく対戦予定の力士……。
2017年、衝撃的なあらすじがネット上で話題沸騰!
本格ミステリと相撲、その伝統と格式が奇跡的に融合した伝説の奇書が電子書籍で登場。
解説・奥泉光
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
相撲縛りでマダミスやってみました、ってここまで書けるのは凄い。全話相撲ならではのトリックだったり、縛りがある。
割と猟奇的な殺人がありつつも、子供が読んでも問題ない(推理系の児童書)くらいの雰囲気。
海外から大学と間違えてうっかり相撲部屋に案内されてしまった留学生マークが、アンジャッシュのコントのようなすれ違いで力士見習として活躍する、と思いきや名推理で犯人を見つけ出すという、相撲版名探偵コナンみたいな小説。マークのポテンシャルが凄すぎる。推理の時、拙い日本語でそれを伝えるのが面白い。
物凄い謎解きやトリックがある訳では無いし、推理も少なく結構直ぐに犯人が割り出されてしまうのが勿体ない気もするが、逆に読みやすい。ただかなり殺人事件が多いので物騒ながら『トリック』のようなコメディチックな感じが良い。癖のある御前山とツッコミの聡子。そして、出てくる度ほぼ推理ばかりのマーク。
ラストはなかなか特殊なトリックだったが、やはり最後まで鋭いマークの推理。的はずれな見解の中に割と良い指摘をする御前山。ツッコミの聡子。シリーズ化しても良いくらい、読みやすくて面白い。続きがあれば、マークの今後、千代楽部屋の今後が気になる。
Posted by ブクログ
相撲を題材にした本格ミステリ。と、言ってもジャンルとしてはバカミスであり、肩肘の凝らないユーモア感覚に満ち溢れた作品で、突拍子もない展開を成立させるだけの無駄のない文章力に驚いてしまう。読後感としてはややあっさりしてはいるものの、まさにがぶり寄りのごとき勢いで押し切った感じがあり、このテンポの良さこそ本作の最大の魅力だろう。加えて、非常に読みやすいため、人を選ばずにオススメできる作品であり、キャッチーでもあるため、Twitterでバズったのも理解できる。
立ち会いとともに爆死する力士を皮切りに、密室となった女人禁制の土俵上など、相撲であるという設定を活かした異形異様の事件のオンパレード。力士の殺し方にも躊躇は一切なく、一年で40%の力士がいなくなったという説明には笑い転げてしまった。災難で済ませられるレベルじゃない。はては黒相撲や黒力士などの歴史改変ネタをぶっこんできたわけだが、これは昨今の江戸しぐさに¥などに代表される「もっともらしいウソ」への皮肉なのだろうか?
陰惨な事件が多いのに展開に歯止めが効かず、作者の手加減も一切ない。また全体的な雰囲気が妙に明るいのもツボで、いい意味で狂っている作品。単なるネタには終わらず、本格魂の息吹を随所に感じ、事件としては一番面白かったのは「頭のない前頭」でタイトルの洒落っ気もさることながら、仕掛けたトリックも面白い。インパクトが大きいのはやはり「対戦力士連続殺害事件」で、夏場所で一人ずつ取り組みの相手が殺されていくという、考えついても普通はやらない事件を描いている。背景もなく、箇条書きで淡々と殺された力士の説明をするのは本格の無慈悲さが伝わると同時に、それによる世間の反応などを思うとそれだけでおかしみがこみ上げてくる。
次作は黒相撲、黒力士などの所謂「黒歴史」が明らかになったところで一旦終わったわけだが、次作の中相撲殺人事件や小相撲殺人事件も楽しみである。余談だが、本作の探偵ポジションである金髪と黒髪のまだら髷の外国人力士マークの存在感は素晴らしく、彼がいるだけで異物感があるのが凄いと思った。キャラとして面白いのは御前山で、キャラクターとして動かしやすそうな上、ああいうネタキャラがいたおかげで作風が陰惨にならず明るくなったんだろうと思う。次作も読みます。
Posted by ブクログ
あらすじがSNSで話題になっていた本。
とにかく力士が死にすぎ!対戦予定の力士が連続で死んでいくけど防げない。警察は何やってるの 笑
マークが主人公でメインかと思ったが、後半は聡子と御前山のコンビが活躍(?)
マークが名探偵すぎる。そして、マークが来たことにより角界で大量殺人が……コ〇ンくんか?
御前山、最初は何言ってんだこいつレベルのキャラだったが、読み進めていくうちに憎めないキャラに。
人が死んでも驚きの少ない人たち。聡子、度胸ありすぎ。
死人の生首を使って検証するなんて!(ここは笑うポイントか?)
黒相撲館で千代楽親方が寝込んでしまった時に、やっと少しの人間らしさを感じた。
最終的には、あぁこことここが繋がってるのね、とスッキリ。
ヨシノブは今後どうなるんだろう……。