あらすじ
脱・ウェルチの経営改革を徹底取材!
世界最大の重電メーカー、ゼネラル・エレクトリック(GE)は金融事業の撤退に伴い、1兆9000億円にも上る特別損失を計上した。
これは、「20世紀最高のCEO」とまで呼ばれたジャック・ウェルチが作り上げたコングロマリットとしてのGE、株式時価総額で常に世界1位を争ってきたGEの挫折の象徴だ。
現CEOのジェフ・イメルトは、ウェルチ経営から大きく戦略を転換する。
社員30万人の巨大企業でありながら、グーグルなどシリコンバレーのスタートアップを徹底的にまね、 「デジタル製造業」に姿を変えようとしている。
<事業>
金融中心から、「デジタル製造業」へ
<製品>
産業機器の販売中心から、産業機器の生産性を上げるサービスに拡大
<開発>
縦割りの開発体制から、ソフトウエアはデジタル部門でまとめる体制へ
失敗を許さない文化から、リーンスタートアップ方式で素早く失敗する文化へ
製造現場にセンサーを張り巡らせたブリリアントファクトリーへ
<人事制度>
「ナインブロック」で社員を評価する方式から、能力開発の「パフォーマンスデベロップメント」へ
<成長戦略>
M&Aとリストラによる成長から、自社開発サービスでの成長へ
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Posted by ブクログ
この本は素晴らしい!再読必須。
まさかあのGEがシリコンバレーの会社を習って「アジャイル」「リーンスタートアップ」「デザイン思考」「オープンソース利用」等やってるとは。
下記メモ(ネタバレごめんなさい)
・自社の責任と権限で「アプリ」開発
通常は顧客企業が要件定義し、インテグレーターがそれに従って実装する。
GEは自分たちで要件定義し、実装し、顧客企業に対してサービスとして提供する。
・デザイン思考では「ユーザーの観察」がすべての起点。顧客の考えを深く観察して本当の問題を発見する。人々の行動の背景にある感情にも着目する。顧客の立場に共感しながら解き明かしていく。
例えば電話を使った事のない人に「電話を使ってみたいですか?」と質問しても無駄。普段はどうやって隣村の人々と連絡していますか?等質問を工夫する必要性有。
・デザイン思考を使って顧客と対話。解決策をストーリーボード(=ユーザーが製品やサービスを利用する一連の体験を絵物語風に記述するもの)にまとめる。ストーリー(絵物語)に仕立てあげることで問題点が本当に正しいのか、解決策が実現可能なのかグループで検証できるようになる。
ストーリーボードはある種のプロトタイプだ。
物語によって顧客に解決策を疑似体験してもらっているからだ。時にはドラマ仕立てのビデオを作ってみてもらうが、そのビデオもprototypeの1つ。
・デザイン思考をgoogleが進化させたものが「デザインスプリント」
・リーンスタートアップは自社の取り組みが「間違う」「失敗する」ことを前提としている。最初に出すものは絶対に間違っているからそれを大急ぎで改善し続ける。成功するためにはより早く失敗するしかない
Posted by ブクログ
GEがいかにして劇的な復活を遂げたのか。
その背景に「リーンスタートアップ」「機械学習」「クラウド」「マイクロサービス」といったIT界隈のキーワードが飛び交う点に驚かされた。
GEのような巨大企業が「ピボット」するのは並大抵な労力ではないだろうが、それをやり遂げる原動力は信念だろう。
そしてその信念を浸透させていく、つまり文化を変えていくことが組織を変化させるのには必要なのだ、ということを改めて認識した。
ITトレンドのキーワードをつまみぐいする、という意味でもおすすめの一冊。