あらすじ
『神は銃弾』で「このミステリーがすごい!」第1位。
『音もなく少女は』で「このミステリーがすごい!」第2位。
名匠ボストン・テランが帰ってきた。
犬を愛するすべての人に贈る感涙の傑作。
傷ついた人々のそばに、いつもその犬がいた。
GIV――ギヴ。それがその犬の名だ。その孤独な犬の首輪に刻まれていた三文字だ。傷だらけで、たったひとり、山道を歩んでいた犬の名だ。彼はどこから来たのか。どこで、なぜ、こんなにも傷だらけになったのか。彼は何を見てきたのか。どこを歩んできたのか。
犯罪が、天災が、戦争が、裏切りがあった。世界が理不尽に投げてよこす悲嘆があり、それと戦い、敗れる者たちを見守ってきた一匹の犬がいた。
この世界の不条理と悲しみに立ち向かった人たちに静かに寄り添っていた気高い犬。
『神は銃弾』でみせた荘厳な世界観、『音もなく少女は』でみせた崇高な人間の強さ、そしてボストン・テランにしか生み出せない乾いた詩情をたたえる文体。傷ついたひとたちの悲劇と救済を描く感動の最新作。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
完璧なまでに善良で無垢なるものギヴ。どんな困難にも諦めず立ち向かい希望を失わない。
そんなアメリカンスピリッツの象徴としてのギヴが飼われていたモーテルに宿泊に来た兄弟の兄の悪意により盗まれるところから始まり、カトリーナによる喪失、9.11およびその後のイラク出兵によるゆがみを抱えた人々を癒しながら物語は進んで行く。
どこまでも真っ直ぐで、ハッピーエンドに向かっていく直球の物語であるにもかかわらず、語られる言葉の神々しさ、善良な熱意により、変な嫌味は全くなく、アメリカなる物語として楽しめた。
ただ、ミステリ生はほぼ無く、クライマックス直前でのなるほどね止まりのためその筋の話と思って読むと退屈かもしれない。