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Posted by ブクログ
文士の皆さん、どうしてこんなにも食にまつわるエピソードが豊富なのだろう。それが一番の謎。近代日本文学の有名どころをほぼ網羅しており、かつその一人ひとりがネタに事欠かないなんて。大抵の業界ではちょっとこうはいかないのでは。
全編を通して、作家の食を作品に上手く絡めて描いている。読んだことのある作家が出てくると、なるほどあの作品の背後にはこんな食べ物があったのねー、と膝を打つこともしばしば。まさしく"You are what you eat."である。文豪たちもものを食って生きる一人の人間だったんだなぁとしみじみ。おなかがすく。
ちなみにこの本、文壇の交友録としても読める。今更ながら、作家同士のつながりの濃さにびっくりした。同時代人はほとんど皆知り合い、といったご様子。
中でも、中也の絡み酒は笑った。以下、太宰治との会話。中也「なんだ、おめえは。青鯖が空に浮かんだような顔をしやがって。全体、おめえは何の花が好きなんだい」太宰「モ、モ、ノ、ハナ」中也「チェッ、だからおめえは」……理不尽にも程があるだろう。