【感想・ネタバレ】データ・ドリブン・マーケティング―――最低限知っておくべき15の指標のレビュー

あらすじ

ジェフ・ベゾスも愛読!世界最強のマーケティング企業アマゾンも学ぶデータに基づくマーケティングの教科書。本書の提案する15の指標を理解すれば、データに基づくマーケティングの意思決定が効果的に行える。データを活用して業績を伸ばしたい経営者・マーケティング幹部必読。

...続きを読む

データ分析の重要性、フレームワーク、導入方法について深く書かれている作品です。IT技術が発展した昨今、世の中のほぼ全ての出来事がデータとして捉えられる様になり、「ビッグデータ」「IoT」などの言葉が世間に浸透しました。しかしこの流れと裏腹に、人間側のアップデートが追いついていません。
「データはたくさんあるけれど、どうやってどのデータを見ればわからない。」
「データ分析の必要性を上司に訴えたい。」
などの悩みを持つ企業のマーケティング担当・IT部門担当の方、もしくはこれからその業界に参入する方必読です。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 データを使ったマーケティングがどういうことかよくわかる一冊

「マーケティングにおいて、売上高にしか注意を払わないことは、バックミラーだけを見ながら車を運転することに等しい」(p.85)

データ・ドリブン・マーケティング=データ志向のマーケティング

【マーケティング投資の目的】
「需要喚起」=比較的短期で収益を得ることをもくろむマーケティング活動。財務系の指標によって評価が可能 例)セール、クーポン、プロモーションンイベント
マーケティング予算の約52%が割り当てられる

「認知向上とブランディング」=認知向上のためのマーケティングで、スポーツ・スポンサーシップ、イベントや施設の命名権など、セール告知ではなく認知向上のための広告

「CRM」=顧客のロイヤルティやエンゲージメントといった心理的なつながりの醸成を目指す。例)購入後の感謝状送付やコンシュルジュサービスのようなロイヤルティプログラム

「市場形成」=市場における自社の商品やサービスの受容性の向上を目指マーケティング活動で、第三者による推奨などを通じて行われる。例)B2B企業における業界識者対応やSNSやブログを通じたイメージ形成

「ITインフラ及び組織能力の強化」=テクノロジー及びマーケティング・チームへの研修への投資。例)エンタープライズ・データウェアハウス(EDW)、分析ツール及びマーケティング・リソース・マネジメント用ソフトウェアの導入など

・好業績企業=短期の需要喚起型マーケティングが企業平均より少なく、ブランディングやカスタマー・エクイティ向上のための投資にはより大きな予算を配分している

【データ・ドリブン・マーケティングの戦略立案のためのフレームワーク】
1.自社を知る:戦略目標
2.顧客を知る:データベースを構築する、分析する
3.顧客をセグメンテーションする:顧客分析、顧客ターゲティング
4.データ・ドリブン・マーケティング:マーケティング・キャンペーン
5.信頼関係を構築する:個人情報問題
6.成果をトラッキングする:マーケティング指標

【データ・ドリブン・マーケティング導入の障壁と解決策】
1.何から手を付ければよいのかわからない:「データはあるが、どれを何に使えばいいのかわからない」
 →小さく始め、素早く小さな成果を出す
2.因果関係が不明:「複数のマーケティング活動が同時に行われている」「短期的な売り上げに直結しないのに、ROIを示すよう要求されるなど」
 →小規模な対照実験を繰り返し、何が効いて、何が効いていないかを明らかにし、活動に合った指標を使って評価する
3.データ不足:「B2B企業であり、エンドユーザーに関するデータが無い」など
 →顧客データを収集する戦略を立てる。(販売パートナーとのデータ共有、フリークエント・ドリンカー・プログラム、定量調査の結果を顧客データの代用として使用する など)
4.経営資源やツールが不足:「時間と費用がかかる」「データを使うツールやシステムが無い」
 →適切な測定指標を見極め、データ収集の方法や内容を的確に設計する。
5.組織や人の問題:「結果について説明責任を求められたくないから、効果測定を行わない」「必要なスキルを持ち合わせた人がいない」など
 →小さい成功体験を積み重ね、説得する


【データ・ドリブン・マーケティング実践に向けたロードマップ】
段階1.「設計」:(構成要素)=「目的、戦略との整合、対象範囲、カテゴリー、測定指標、仮説」→(アウトプット)「関係者が理解しやすい明快な実行計画」
段階2.「診断」:(構成要素)「バランス、リスク、リターン」→(アウトプット)「適切な意思決定に必要な事実把握や洞察」
段階3.「機会」:(構成要素)「初期の成功事例、緊急事態、調査」→(アウトプット)「調査・分析してわかったことに基づくマーケティング機会の特定とアクション・プラン」
段階4.「ツール」:(構成要素)「測定指標、計算式、予測モデル、テンプレート、ダッシュボード」→(アウトプット)「定期的なレビューを行う、組織能力の構築」
段階5.「プロセス」:(構成要素)「週ごと、月ごと、四半期ごと、年度ごと」→(アウトプット)「定期的なレビュー結果に基づく意思決定」

【最低限知っておくべき15の指標】
1.ブランド認知率
2.試乗(お試し)
3.解約率
4.顧客満足度(CSAT:Customer Satisfaction)
5.オファー応諾率
6.利益
7.正味現在価値(NPV:Net Present Value)
8.内部収益率(IRR:Internal Rate of Return)
9.投資回収期間
10.顧客生涯価値(CLTV:Customer Lifetime Value)
11.クリック単価(CPC:Cost per Click)
12.トランザクションコンバージョン率(TCR:Transaction Conversion Rate)
13.広告費用対効果(ROAS:Return on Ad Dollars Spent)
14.直帰率
15.口コミ増幅係数(WOM:Word of Mouth)

1~5=非財務系指標:ブランディング、顧客ロイヤルティ向上、競合比較購買マーケティング、販促キャンペーンなどに利用
6~10=財務系指標
11~15=ネット・マーケティングに利用。新世代マーケティング指標


【1.ブランド認知率】
=「認知指標」…初回購買時の選択に強く影響する
「ブランド認知率を測る必須の2つの質問」
〇「[商品やサービスのカテゴリー]について、最初に思いつく[企業または商品名]を教えてください」
〇「[商品やサービスのカテゴリー]において、他に聞いたことのある[企業または商品名]を教えてください」
→商品やサービスの非助成想起を測定でき、競合との比較も可能。これらに続いて、助成認知の質問も効果的

【2.試乗(お試し)】=購入前の顧客による商品のお試し使用
=「比較検討・評価指標」
試乗は購買サイクルの比較評価段階におけるもっとも重要な測定指標。
「試乗コンバージョン率=購入数/試乗数」
…誰が試乗に参加し、誰が実際に購入したかを把握することが必須

【3.解約率】=既存顧客の中で、商品やサービスの購買を中止する人の割合。
=「ロイヤルティ指標」…顧客ロイヤルティを高め、リピート購買を増やしていくために欠かせない指標

まず、販売データや質問調査で顧客のリピート購買率を把握し、解約率を測定する。重要性の高い顧客層に対するロイヤルティ・マーケティングのキャンペーンを小さいところから展開していく。

【4.顧客満足度(CSAT)】=将来の売上高の先行指標
=「マーケティングの黄金指標」
「友人や同僚に、この商品(サービス)を勧めたいと思うか?」という質問を通じて測定される、9~10(10点満点)点が満足度の高いロイヤル顧客

ネット・プロモーター・スコア(NPS)=9~10点を付けた推奨者の割合から、0~6点を付けた批判者の割合を引く

【5.オファー応諾率】=マーケティング上のオファーに応じる顧客の比率
=「運用効率指標」
「オファー応諾率=オファー応諾数/オファー送付数」
「顧客獲得単価=オファー送付単価*オファー送付数/オファー応諾数」(=オファー送付単価/オファー応諾率)

オファーが応諾されてもたらされる利益が、顧客獲得単価に満たない場合、需要喚起型マーケティングに損失が生まれている

【6.利益】
利益=売上高-費用

【7.正味現在価値(NPV)】
…将来手に入るお金を現在価値に変換して計算
NPV=-C₀+(B₁-C₁)/(1+r)+(B₂-C₂)/(1+r)^2+…+(Bn-Cn)/(1+r)^n
=-C₀+Σ(Bn-Cn)/(1+r)^n
C₀=初期費用、Bn=n期の売上げ、Cn=n期の費用、r=割引率・ハードルレート
NPV>0なら投資すべき!

【8.内部収益率(IRR)】
=キャンペーンや施策を実施する場合の投資利回り(複利)
NPVが0になるr=IRR
0=-C₀+Σ(Bn-Cn)/(1+IRR)^n
IRR>rなら投資すべき!

【9.投資回収期間】=投資した累計支出と同額の累計利益を稼ぐまでにかかる時間
→短いに越したことはない

【10.顧客生涯価値(CLTV)】=顧客が将来にわたってもたらす価値
=「顧客価値指標」

=-AC+Σ(Mn-Cn)*p^n/(1+r)^n"
AC=新規顧客獲得費用、Mn=n期において当該顧客によってもたらされる粗利益、Cn=当該顧客へのマーケティングにかかる費用、p=当該顧客がその年に取引を継続する確率(1-解約率)

高価値、中価値、低価値に分類。
「高価値」→維持および更なるアップセル、クロスセルを
「中価値」→アップセルとクロスセルを通じたCLTVの向上を
「低価値」→支出の最小化を

赤字顧客を見極めることが大事

【11.クリック単価(CPC)】=リスティング広告、ディスプレイ広告のクリック単価
「クリック率=クリック回数/広告表示回数」

【12.トランザクションコンバージョン率(TCR)】=広告をクリックしてウェブサイトに遷移したユーザーが商品を購入した割合
「リスティング広告におけるオファー応諾率(広告を目にして、商品を購入した顧客の割合)
=クリック率(CTR)×トランザクションコンバージョン率(TCR)」

【13.広告費用対効果(ROAS)】
「広告費用対効果=収益/費用」

〇CPCとオファー応諾率に基づいたインターネット広告の媒体最適化フレームワーク
(高CPC×高オファー応諾率)=コストは高いが、購入に繋がっている媒体→ROASが高い広告を特定し、同じ媒体でその広告活動を拡張する
(低CPC×高オファー応諾率)=コストが低く、購入につながる可能性の高い媒体→この媒体への予算投入額を強化
(高CPC×低オファー応諾率)=コストが高く、購入に繋がっていない→打ち切りを検討
(低CPC×低オファー応諾率)=購入につながる可能性は低いがコストも低い→CTR対TCRマトリクスを利用してキャンペーンを最適化

〇TCR及びCTRに基づいたリスティング広告の最適化フレームワーク
(高TCR×高CTR)=好調なキャンペーン→改善する必要はない
(低TCR×高CTR)=クリックはするが購入率は低い→遷移先のウェブサイトのキャッチコピーなどの改善を検討
(高TCR×低CTR)=クリックした顧客の購入率は高いがクリック率が低い→検索結果に表示される広告のキャッチコピーなどの改善を検討
(低TCR×低CTR)=リスティング広告および遷移先のウェブサイトの両方に問題あり→打ち切りを検討

【14.直帰率】=滞在5秒未満で離脱してしまうユーザーの割合
適切な基準は場合によって前後する

【15.口コミ増幅係数(WOM)】
「口コミ増幅係数=ダイレクトクリックの数+友人へのシェアから発生したクリックの数/ダイレクトクリックの数」
ダイレクトクリック=広告が直接クリックされた数(企業サイト、ディスプレイ広告、ブログ、SNSのいいねなど)


【アジャイル・マーケティング】
=データ収集をキャンペーン実施期間中に行い、データがキャンペーンの不成功を示唆していた場合、キャンペーンの軌道修正を行う
→マーケティングの成果は5倍以上に

ニアタイム・データ(キャンペーン実施期間より短い時間軸で収集したデータ)を使う。
少なくとも実施期間中に10回以上データを収集すべし

【「まさにこれが必要だったんだ!」効果を生み出す、解析マーケティングの3つのセオリー】
…適切なタイミングで、適切なターゲット顧客に、適切な商品を提供→「まさにこれが必要だったんだ!」

1.傾向分析モデル:過去の顧客の購買行動から、次の購入可能性を予測する…回帰分析
2.アソシエーション分析:ある商品を購入した人は他に何を購入するかを分析し、アソシエーションルールを生成する…クラスター分析
3.決定木アプローチ:より柔軟なセグメンテーションが可能…決定木分析

0
2019年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一つ一つの指標も参考になるが、それ以上にデータドリブンとは何か?という概念とどう導入するかという点で参考になった。そのまま使えるわけではないけれど、導入していく流れなど考え方として使える。ただ、実際にはもう一歩踏み込んだ分析などもいれていかないと本当に使えるものにはなっていかないかな。

0
2020年05月17日

「ビジネス・経済」ランキング