あらすじ
「混迷の現代」を読み解くカギは「歴史」の中にある。古代ローマ史研究の第一人者によるはじめての世界史講義。教養としての「世界史」の読み方とは、「歴史に学ぶ」ということ、「過去と現在との関わり合いを知る」ということ。東京大学教養学部で28年間、教鞭をとった著者が教養として世界史をどう読むかを教える1冊。文明の発祥、古代ローマとの比較史、同時代史、民族移動、宗教、共和思想……世界史を読み解く上で大切な視点を新説や持論を織り交ぜて、わかりやすく、面白く講義する。 (目次より)第1章 文明はなぜ大河の畔から発祥したのか/第2章 ローマとの比較で見えてくる世界/第3章 世界では同じことが「同時」に起こる/第4章 なぜ人は大移動するのか/第5章 宗教を抜きに歴史は語れない/第6章 共和政から日本と西洋の違いがわかる/第7章 すべての歴史は「現代史」である
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Posted by ブクログ
ローマ史専門の先生が世界史を語る。
ギリシャ・ローマ中心だけど同時代を平行に見るとか、わかりやすくて面白い。昔勉強したことが今では違う解釈になってたり、知らなかった情報も入ってきました。
宗教の辺が特に興味深かった。
~宗教を抜きに歴史は語れない
かつて人々は神々の言葉にしたがって行動していた。ジュリアン・ジェインズ「二分心」の時代。
二分心は左右の脳が生み出したものらしい。すなわち、神々の声は右脳の声。
言葉が発達するにつれ、左脳が発達し、次第に神々の言葉が聞こえなくなった。
そこで人間が生きる指針として造り出したのが全知全能の唯一神なのではないか
という説が面白かった。
Posted by ブクログ
著者がローマが専門ということでローマの話が多かったが、その辺の知識がほぼ皆無だったため知れてよかった。以前に読んだ本や大学の講義とも繋がるところがあって興味深かった。
第三次世界大戦はもう始まっている、という意見は新鮮だった。
ただこれだけでは世界史の知識は一部しか身につかないから他の本も読みたい
Posted by ブクログ
愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ(ビスマルク)
少し違った切り口で世界史を語っている本
1.文明はなぜ大河の畔から発祥したのか
乾燥化による人々の水辺への集中
めぐまれた環境に文明は生じない
2.ローマとの比較で見えてくる世界
ローマの歴史の中には人類の経験のすべてが詰まっている
3.世界では同時に同じことが起こる
アルファベット、一神教、貨幣が同時代に誕生した
産業革命だけはイギリスのみで起こる
→近郊で石炭などのエネルギーが手に入った
植民地の拡大で巨大市場が手に入った
4.なぜ人は大移動するのか
新大陸発見、戦争難民、奴隷貿易
気候変動による食糧不足→ゲルマン民族による大移動
→民族移動にがもたらす価値観の対立
5.宗教を抜きに歴史は語れない
かつては神々の声に従って行動
占いは神々の声の代用→デルフォイの信託
二分法→昔は右脳と左脳が別々に動いていた→
文字の誕生により右脳が退化→意識を持つようになり神々の声が聞こえなくなった
→一神教が必要になった
一神教は他の神の存在を許容できない→宗教対立は一神教の宿命
6.共和政から日本と西洋の違いがわかる
ローマを元とした欧米→為政者と民衆が近い
東洋→為政者はお上、民衆と距離がある→共和政が根付かない
7.すべての歴史は現代史である
6の理由により欧米は民主主義が根付きやすい
中国は世界初の国内植民地政策
民族のつながりを無視した国境は悲劇を招く
平和と反映が続くと人は退廃する