あらすじ
母性に倦んだ母親のもとで育った少女・恵奈は、「カゾクヨナニー」という密やかな行為で、抑えきれない「家族欲」を解消していた。高校に入り、家を逃れて恋人と同棲を始めたが、お互いを家族欲の対象に貶め合う生活は恵奈にはおぞましい。人が帰る所は本当に家族なのだろうか? 「おかえり」の懐かしい声のするドアを求め、人間の想像力の向こう側まで疾走する自分探しの物語。
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Posted by ブクログ
思春期特有の悩みを抱える少女の成長を描く小説……ではない!ラスト50ページで奇妙な世界に放り込まれる快感は、読んでいて手が震えるほどでした。やっぱり村田さんのこういうカタルシスの解放が大好き!
Posted by ブクログ
カーテンにくるまってオナニーする話生命式?の短編のなかで読んだことあるな〜、世界99もだけど短編の内容が長編まで膨らむことが村田さんのなかにあるんだろうか。
社会から家族を作れとか子供を産めとかそういうマジョリティ的な生き方を強いられそうになるとき、それってあなたの家族欲では?と思えるようになると思う。“家族”って何でそんな特別みたいに扱われるんだろう…。もちろん自分の両親や兄弟姉妹のことは大切なんだけど。それを自分から作りたいとはあんまり思ってなくて。「なぜ弟は母に欲望の処理を求めるのだろう」ってあって、愛されたいって欲望は家族欲なのかと腑に落ちて その処理をしたいされたいっていう双方向の矢印が伴わないってなったらただ自己処理すればいいって恵奈の考え方も本当にすごいな……
「家族」を辞書で引いて「システム」に辿り着くところが好きだった。家族ってそういう社会的な単位なだけで大きな社会のなかの部品でしかないし、社会を回していくためのシステムだな〜って妙に納得してしまった。
Posted by ブクログ
中毒なのか、、、?
村田さんの本を見つけると手にとって「しまう」。
また今回も、とんでもない小説なんだろうな、と思いながら読む。
当たってた。
とんでもなかったし、読後感がとても良くない。(褒めてます)
いつもだいたい悲惨なことになるし、怖いし気持ち悪いしキツいんだけど、何で読みたいと思って「しまう」んだろう。
村田さんの小説に流れる、現世を生きている居心地の悪さだとか、この世の色々なものを気持ち悪いと思う感覚に、共感できるところがあるからなんだと思う。
気持ち悪いけど、わかる。わかるから怖い。
Posted by ブクログ
主人公が人間は入れ替わりでその存在を繋いでいく生命体にすぎないと気づいたのは理解ができるが、それを他者(家族)に強要したがる理由がわからなかった。ただ家族に対してカゾクヨナニーを各々楽しんでるんだなーと嘲っとくだけでよかったのでは?本書を読む限り主人公は他者を説得するより自己解決で満足できる性格に感じた。
あと瑞稀の存在がわからない。ただ渚さんに会わせるため?独り立ちに強い意志を持っている性格がどう主人公に影響したのかがも謎。
ラストの壮大な映画を観ているような気持ちにさせてくれる描写が好きです。
Posted by ブクログ
好きなれないけど、黙々と読んでしまった。
恵奈が何を得たかったのかよく分からなかった。せっかく家族になれそうな人と一時的にでも一緒に暮らしてたのに、恋人が自分でカゾクヨナニーしてると気づいたときから、壊れてしまった恵奈の狂い加減が理解できなかった。なぜ恋人とカゾクヨナニーを切り離すのか、よく分からなかった。
最後は人間になる前の生命体に帰るとかいう話になってますます分からなかった。
家族とはなんなのか考えるきっかけを与えてもらった。
Posted by ブクログ
かわいいかわいい人類。
とあるツイートのこの言葉を思い出した。主人公の私が最終的にホモ・サピエンスを「愛おしい」「かわいい」と捉える心理がとても興味深い。「終わりをもっとかわいく捉えたい」。女の子にとって「かわいい」とは何なのだろう。そのヒントのようなものが、この小説にはあった気がする。
物語が進むにつれて「壊れて」いっているのは明白で、それにしたって最終的には言葉が鳴き声みたいに細切れになっていくのはとても真理な気がして震えた。この圧倒的な飛躍。どこか早見純っぽくもあって、不思議と読後感は悪くない。
Posted by ブクログ
家族愛に嫌悪感を抱く一方で家族愛に飢えてる、なんかそういう簡単に分類できないことや矛盾てあるよなあ
ニナオとのカゾクヨナニーの時間はずっともう自分の一部で、自分の中だけの自分にだけ都合のよい理想のかたちだから絶対的に特別なもので
家族欲を欲したときにしてたカゾクヨナニーを、恋人が自分に!ってときのあの領域侵食された汚されたような侮辱感、なんかすごいわかる気がした
特に母へのモノ観察するような言い回し、この感じ安定してすき
メモ
「それは本当に食べたくて食べているのではなくて、これしきのトラブルをまったく意に介せず呑気に大学芋を食べるサバサバとした自分でいたいのだった」
「唇を舐めるとまるで、弟が吸いたがっている甘い蜜のような味が舌に絡みついてきて、私は顔をしかめた」
「ワカメの量を間違えて具だらけになった吐瀉物のような味噌汁を、私は微笑んで受け取った」
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解説の村田沙耶香作品への感想、ほんとそれですよね