あらすじ
AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。
企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。
【目次より】
はじめに AI時代の経営とは
技術的にスゴいことと儲ることは違う
L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ
WhatよりもWhen,How,Whoの勝負
第1章 これがAI革命の真相だ
デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ
「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる
産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」
大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり
オープンイノベーションとブラックボックス化
日本の自動車メーカーは生き残れるか
第2章 なぜ日本企業が有利なのか
ハードとソフトの融合が焦点に
ハイブリッド経営システムを構築せよ
モノづくり日本にチャンスあり
ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来
ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない
第3章 日本企業がとるべき戦略
天才技術者を雇うには
一国二制度で異質なものと共存する
プロ経営者の改革がうまくいかない理由
リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ
産学連携で人を育てる
第4章 AI時代のリーダー像・働き方
分断される「Gの世界」と「Lの世界」
真のグローバル人材を目指すには
AI時代に残る仕事、なくなる仕事
おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ
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Posted by ブクログ
最近感じている、「何となく世界ってこんな風に動いてる?」が活字化されていて、すっきりした。ただローカルに対する思い入れは、筆者の現在の立場もあり、やや強すぎるように思う。海外現地法人のローカル化は、新興国では筆者が言うほど進んでおらず(それが弱みであるといえばそうなのだが)、それに一時的にでも対処できる人材(経営×英語or現地語×技術)のニーズは高い。彼らは中継ぎで、世界ランクが多少低くても構わない。そういった人材すら確保できていない日系大手企業は、今後のあり方が求められていると思う。
以下内容メモ
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これからは、デジタル×ローカル×シリアスの世界。
第一期:IBM→wintel(コンピュータ)
第二期:ソニー→アップル(AV、通信)
第三期:IoTがリアルな全産業へ
今後起きること
ビジネスサイクルの短命化
製品・サービス・機能の標準化・モジュラー化
スマイルカーブ現象
(バリューチェーンの真ん中は儲からない)
小さいこと若いことの優位性向上
※疑問)シリアス領域でも??
→経営力の時代へ
これからは限界費用ゼロ→完全競争へ
スイッチコストないため広告モデルも市場原理へ
サイバー空間で完結するネットビジネスの終わり
(唯一ライブコンテンツ配信はコト消費社会なので伸びしろあり)
日本は少子高齢化で人手不足のため、AIで生産性をあげても反発されない稀有な国。既に製造業はカンバン方式などで生産性が高いため、サービス業に効果を見込む。
AIはERPのように皆が使い始める分野なので、使わないと取り残されるが、自社開発は時代遅れになる可能性あり。
先端技術領域はアカデミズムとの連携&投資機会のポートフォリオ化・管理が必要。過去を見ると、製薬業界の再編が参考になる?
自動車はモジュラー化、デンソーもボッシュのようにティア0.5化するべき。
精度と耐久性が必要な分野は長年のノウハウで材料技術へ行き着くため、中国よりドイツや日本に利あり。
オープンで不連続なイノベーション(ソフトウェア)の世界と、クローズドで蓄積的なイノベーション(ハードウェア)の世界の統合がキー。
また同時に、グローバル企業とローカルチャンピオンとが手を組むことになる。
会社の枠を越えたオープンイノベーションスペースをつくれるか?ベンチャー、大企業、研究者…。
日本の組織が変わるのは諦めたとき。外資系経営者の経営Whatの追求は企業文化の変革にはならない。
企業の中央研究所はクローズドなので、大学に立場を奪われ、産学連携が今後の鍵になる。
AIによってレポート作成は容易になり、中間管理職の仕事は減るため、ローカルな中小企業の経営陣にシフトしていくべき。
Posted by ブクログ
「コロナショック・サバイバル」「コーポレート・トランスフォーメーション」に続けて休日を利用し一気読みしました。
やばいなぁ...
これが今の正直な気持ちです。
何がやばいか、それは先に読み終えた2冊よりも圧倒的に本作の方が読みやすく、その分少しは血肉となった感覚があるからです。
今から2年8ヶ月(約3年)前に出版された本書の内容は頭に入ってきやすいが、約半年前に出版された「コロナショック・サバイバル」「コーポレート・トランスフォーメーション」はなかなか頭に入ってこなかった。
つまり、私の感覚と知識レベルは今の時代からすでに約3年も遅れているということだと思う。
経営者ではないが、一般社員でもない。
本書の中でまさに8割が不要の対象であると書かれている管理職である自分もしっかりとトランスフォーメーションしていかねばならない時代が来ている。
私が勤めている会社はいわゆる大企業でもなく、グローバルな市場で戦ってもいない。
いわゆる中小企業で、ローカルな市場の中で活動をしている。
すでに始まっているデジタル化というパラダイムシフトの中で、戦い、勝ち残っていく為に、そして何より人生を楽しむためにも今後も学びを続けていきたい。
著者の他の出版本も今後も手にしていこうと思う。
説明
内容紹介
AI時代のビジネスを理解するためのキーワードとは?パラダイムシフトによる千載一遇のチャンスを生かせ!いかにAIを利用し、儲けるか。日本復活、勝利のシナリオ。カギはLとSにあり!企業再生の第一人者が伝授するAI時代の経営論。
内容(「BOOK」データベースより)
AI革命で「産業構造」「稼ぐ仕組み」が激変する。
企業再生の第一人者による「AI時代の経営論」。
【目次より】
◆はじめに AI時代の経営とは
技術的にスゴいことと儲ることは違う
L(ローカル)の風とS(シリアス)の風をつかめ
WhatよりもWhen,How,Whoの勝負
◆第1章 これがAI革命の真相だ
デジタル革命が「バーチャルの世界」から「リアルの世界」へ
「稼ぐ」構造が根こそぎ変わる
産業革命の核心はAIの進化と「S(シリアス)の世界」
大自動化革命ではタブーの少ない日本に勝機あり
オープンイノベーションとブラックボックス化
日本の自動車メーカーは生き残れるか
◆第2章 なぜ日本企業が有利なのか
ハードとソフトの融合が焦点に
ハイブリッド経営システムを構築せよ
モノづくり日本にチャンスあり
ローカル型産業、中小企業にはもっと巨大なチャンス到来
ターゲティング型の産業政策はもはや通用しない
◆第3章 日本企業がとるべき戦略
天才技術者を雇うには
一国二制度で異質なものと共存する
プロ経営者の改革がうまくいかない理由
リアルキャピタルからヒューマンキャピタルへ
産学連携で人を育てる
◆第4章 AI時代のリーダー像・働き方
分断される「Gの世界」と「Lの世界」
真のグローバル人材を目指すには
AI時代に残る仕事、なくなる仕事
◆おわりに 千載一遇のチャンスをつかめ
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
冨山/和彦
経営共創基盤(IGPI)代表取締役CEO。1960年生まれ。東京大学法学部卒、スタンフォード大学経営学修士(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、コーポレイトディレクション代表取締役を経て、産業再生機構COOに就任。カネボウ再建を成功させる。解散後の2007年、IGPIを設立。現在、経産省が取り組む官民共働型のIoT化推進組織であるIoT推進ラボ座長、建設現場の生産性革命を狙った国交省主導のi‐Construction推進コンソーシアム委員を務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
Posted by ブクログ
カジュアル(facebook)な世界からリアルでシリアスな世界へ。ソフトからハードの世界へ。何故ならAIやロボットなどが主流になってくるから。アルゴリズムは天才で作れるが、今後AIやロボットで必要なのは、ハードな技術とリアルな情報。そのため、ハード技術を持っている企業と顧客情報を握っているローカル企業にチャンスがある。
また、研究費が膨大になってきているため、オープンな場での開発が重要になってくる。例えば、産学連携など。
Posted by ブクログ
富山節が炸裂した、AIによる日本の可能性と取り組む道、考え方についてしるされた良著。
<メモ>
・革命的なイノベーションの波に飲み込まれた業界においてビジネスの世界での勝ち負けはあくまでも急速に変化する環境の中で、構造的持続的に稼ぐことのできるビジネスモデル、競争モデルを先に構築できたかどうか。
・確率論としてはイノベーションを起こすのは自社以外である確率の方が圧倒的に高い。
・新鮮なリアル性を持たなければマネタイズが難しい時代になってきている。日本のライブイベントは唯一無二の競争障壁ともいうべきタイムゾーンの優位性を持っている。
・世界中の多様な投資機会をポートフォリオ的に捉え、投資管理する能力を競う世界。
・社内のやっかみを生まないために特区は海外にあった方が安全。いかに必要最小限の的確なガバナンスを効かせられるか。いかに優秀な人を白けさせないか。ケイパビリティをいかに高めるか。
・地域の領域は、いかに地域や顧客との関係で密着度と密度を高めるかが重要。密度の経済性をいかに高めるか。地域の覇者、商圏の覇者になることが重要。拡大時は先に密度を高め、確固たるポジションを確立してから隣接地域に滲み出して、新たな地域ドミナントを築いていくこと。
・物流も電話もラストワンマイルは基地局設置などベタな商売なのでグローバル化することにシナジーがほとんどない。コストの大半がローカルで生じていて、国際的な共有コストがあまりないからグローバル化するメリットがない。
・エコシステムとして経済社会全体を捉え、G型企業とL型企業の共存・相互補完モデルはもちろん、デジタル革命の中でさらに多様化し、流動化するビジネスモデルや経営モデルが全体として国民経済の持続的発展に資するよう機能させることが重要。
・世界中で集約産業化が進んでおり、高い生産性、高い賃金を実現し、高い企業価値を作っていこうと思えば、大量生産モデルを頭から排除しなければならない。
Posted by ブクログ
「いつ、どの産業で、どれくらいのインパクトで何が起こるか」まで予測できないと儲けにならないし、そんなこと的中できやしないとバッサリ。そんなことより、予測可能な「いつ、どうやって、誰と」に関わるタスクをしっかり管理していこう、というのは潔くて腹落ちた。このほか「小さいこと、若いことが優位になる」「機能の標準化、モジュール化の加速」「省力化、自動化」も予測可能な方向とのこと。
Posted by ブクログ
タイトルに騙された。何やら「AI経営」というものを活用した企業再生ストーリーを創造したが、実際は表紙を開けたブックカバーにある、「起業再生の第一人者が伝授するAI時代の経営論」が適切。この手のストーリーについて、著者の冨山さんはブレなく一貫としており、その主張も非常に腹落ちする一方、他の著作との違いがはっきりしない。読みながら、「この前に読んだ、冨山さんの書籍と何が違うのかな?」というクエスチョンが常に脳内に付きまとう。
Posted by ブクログ
○デジタル革命がバーチャルの世界からリアルな世界へ移ってきており、「シリアス」(人の命に関わる)(自動車、機械、重電、サービス業、農業)へ。
○インダーストリー4.0は生産管理をIoTによって個別の工場や企業の枠組みを超えて最適化し、資産の活用効率や回転効率を飛躍的に高めようとしている話にすぎない(在庫などの流動資産についてはトヨタのカンバン方式と同様であり、固定資産であればシェアリングエコノミーのようなもの)。
○デジタル革命ではビジネスサイクルの短命化、製品・サービス・機能のモジュラー化、スマイルカーブ現象、小さいこと・若いことの優位性の向上、トップの経営力の時代はほぼ確実に起こる。
○日本は人手不足であるためAIによる労働代替を進めるチャンス。ロボット好き文化(宗教的タブーなし)も逆に無駄につながる可能性はある。
○多くの先端技術領域で、開発競争は既存の企業単位での競争要因ではなくなっている。世界中の多様な投資機会をポートフォリオ的にとらえて投資管理する能力を競う世界へと変質している。
○ハードウェア技術に関してはクローズド型組織のほうが有利であり、比較的同質な集団が長期間にわたって連続的に働く日本企業が有利。
○ローカル型産業、中小企業こそがAIによる労働生産性工場の恩恵を受けられる。
○伝統的なターゲティング政策は通用しない。他方でレッセフェールであっても市場は失敗し、企業単位の最適化が国民経済的な全体最適につながるとは限らない。国の役割は、それぞれの事業者が唯一無二の独自路線をいくことを歓迎すること、すなわち、余計な指針やターゲットを設定しないこと。次に規律が経営に働くような制度整備すなわち企業統治の強化が必要。破壊的イノベーションを無理に押さえつけても世界の別のところでそれを達成したプレイヤーに国内の既存プレイヤーは滅ぼされることを歴史が証明している。イノベーターがいち早く社会実装に挑めるように規制改革などの制度整備を行うことや、産学連携・産学協働を含めたイノベーション
・エコスシステムの整備が(攻撃は最大の防御の観点から)重要。
○企業は、超優秀な人材が楽しんで働ける環境を用意するべき。そうした人材は一つの企業に固執しない。
○一握りのグローバルエリート以外はローカルに居場所を見つけられるようにすべき。国の7、8割の経済はローカルな産業が占める。Gの世界とLの世界はますます分断されていく。
○歴史的に見れば、人間にとって快適なことが仕事になっていく。