【感想・ネタバレ】ボラード病のレビュー

あらすじ

日本中を震撼させた傑作がついに文庫化!

B県海塚市は、過去の厄災から蘇りつつある復興の町。
皆が心を一つに強く結び合って「海塚讃歌」を歌い、新鮮な地元の魚や野菜を食べ、
港の清掃活動に励み、同級生が次々と死んでいく――。

集団心理の歪み、蔓延る同調圧力の不穏さを、少女の回想でつづり、
読む者を震撼させたディストピア小説の傑作。
(解説・いとうせいこう)

「誰も触れたがらないきわどいポイントを錐で揉みこむように突いてみせた、とびきりスキャンダラスな作品」(松浦寿輝)

「この作品に描かれた社会が、近未来の日本に現れないことを願っている」(佐藤優)

「世界をありのままに感じることがいかに困難であるかを描きだした魂の小説」(若松英輔)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

怖い。逃げる場所があるようでないのが本当に怖かった。同調圧力を感じずに過ごしたら、気持ちの良い達成感とかあるんだろう。それに乗っかって生きていけたら幸せに死ねるのかもと思う。でも本当に怖い話。

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2023年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ーー本当に病気なのはあなた方の方です。せいぜいそうやって、どこまでも仮想現実を生きていけばいいんだ。(p.182)

世界が狂う時、正気でいることは、狂気に囚われていることと見做される。
使い古されたモチーフかもしれないけれど、震災後の風景を念頭に読むと、また違った響きを帯びてくる。
村田沙耶香さんの『消滅世界』や、今村夏子さんの『こちら、あみ子』に通じる読後感だった。

0
2022年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

多和田葉子先生の『献灯使』と同じで、震災後の日本を彷彿とさせるような舞台設定。
明確に「ここが怖い」みたいなポイントがあるわけではないけど、最初からうっすらと漂う不気味な雰囲気が漂っていた。
こういう寓話ぽさがある文体、話の進み方をする物語は得意ではなくて読むのに少し時間がかかることが多かったけれど、終盤どんどん不穏さが増していく物語にページをめくる手が止まらなかった。
ディストピア小説だけどリアリティもあり、描かれている世界が全然大袈裟にも思えなかった。こういう大きな災害などで大人数が同じ感情を共有するような出来事があった時、「団結」を全面に打ち出されると弱さを出すのが難しくなったり、逆にお通夜ムードだから楽しい様子を見せることがNGな空気になってしまう、みたいなことは結構ありそうだし、多感な年齢の子どもたちにはこのへんのケアも必要だと思う。
アメリカは「ポジティブ」の同調圧力がある、という話を思い出した。

0
2025年01月06日

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