【感想・ネタバレ】ゆれるのレビュー

あらすじ

「ディア・ドクター」「夢売るふたり」「永い言い訳」など、
濃密な人間関係を題材に作品を生み出し続けてきた映画監督・西川美和氏の小説処女作

田舎を嫌って都会に出た奔放な弟・猛と、田舎に残り実家を継いだ実直な兄。
対照的な二人の関係が、幼馴染みの女性の死をきっかけに、大きく揺らぎはじめる……。
2006年に公開され数々の映画賞を受賞した同名映画を監督自らが初めて小説化。
文学の世界でも第20回三島由紀夫賞の候補になるなど、大きな評価を受けた。解説・梯久美子

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2020年現在の、この小説の、刊行されているバージョンを調べましたところ。

2006年 ポプラ社単行本刊行
2008年 ポプラ文庫刊行
2012年 文春文庫刊行

という感じでして、2020年現在、3バージョンが、流通している感じ?みたいですね。

凄い不思議なのが、2008年にポプラ文庫から文庫本が刊行されていて、何故に、2012年に、出版元を変えて、文春文庫からも、文庫版が刊行されているの?ってのが、凄い不思議。なんで?

ポプラ文庫版が、絶版になっている?訳でもないようなのですが、、、凄く不思議だ。何故、ポプラ文庫で文庫化されている作品が、更に、文春文庫で文庫化?ホンマ不思議。どんな理由があったのだ?不思議だ。

文春文庫版では、ノンフィクション作家の梯(かけはし)久美子さんが、解説を書いておられます。お見事な解説です。なのです。が、、、が。

梯さん、マジですみません。ですが。この中で、個人的に断然オススメなのは、ポプラ文庫版、ですね。ポプラ文庫版だけ、香川照之さんの解説が、収録されているんですよ。

小説本編も、まあ途轍もなく素晴らしいんですが、映画で早川稔を演じていた香川さんの書く、解説が。いやもう。めっちゃくちゃ良いんですよ。ちょっと、もう、驚愕するほどに。是非とも、「ゆれる」という作品を愛する一人でも多くの人に、この香川さんの解説を、読んで欲しいなあ!!って、心の底から思います。

本当に素晴らしい解説なのです。早川稔という人物を、あれほどに演じ切った香川照之だからこそ、書くことができた解説。そんな気がしますね。

文春文庫版のレビューなのに、ポプラ文庫版の方を薦めてしまっていて、マジごめんなさい、なのですが。それほどに、あの、香川さんの解説が、、、好きなんや。

なして、この文春文庫版は、ポプラ文庫版の香川さんの解説を併記したうえで、新たに梯さんの解説を増やす、という事をしなかったんや。版権の問題とか、色々あったのか。どうなんだ。でも、、、あの香川さんの解説は、マジで素晴らしいんや。梯さん、そんな事ばっか、しつこく言って、マジすみません。

いやでも、この文春文庫版の梯さんの解説も、凄く良いです。ホンマです。
この作品の比較対象として、太宰治の「駆け込み訴え」を挙げている所とか、マジ慧眼!って思いましたね。うん。ホンマに似ている。感じが。
キリストが兄の稔で、ユダが弟の猛かな?ってイメージに、ぴったり合うんですよね。
あ、そういや、西川さん、NHKのBSの作品で、太宰治の「駆け込み訴え」の映画化、してるやんか。リンクしてるなあ~。おもろいなあ~。

西川さん、多分、太宰治、絶対好きだろうな、って思うんです。「永い言い訳」の小説版も、途中で、まんま「走れメロス」やんかコレ、な箇所、ありましたし。ああいう、西川さんの創作の原点、というか、感動の原点、みたいなんが観られる箇所、すげえ好きですね。

あんま、全然、小説の内容の感想書いてないんですが、すみません。まあ、とりあえず、途轍もなく素晴らしい作品であることは、間違いないです。あくまでも、あくまでも自分の中では、映画版「ゆれる」が最高峰ですが、この小説版も、まあ、コレ単体で読むだけでもホンマに面白いし、映画と補完しながら味わうとしたら、更に面白い。

「あの時のあの場面のあの人物は、内面でこんな事を思っていたのか!?」という事を答え合わせできる幸せさよ。西川監督自身が小説化してるんだもの。本家本元ですやんか。いやもう、、、素晴らしいなあ、ホンマ。

まあ、映画版も小説版も、一生手元に置いておきたい作品であることは、間違いない。それほどに、圧倒的に、大好きですね。

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2020年07月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画を何回か観ているにも関わらず結末を思い出せないのだが確実に面白かった記憶があったので原作本を読む。

→要検討な余韻を残すオチであった。そうそう確か映画もそうだったことを思い出す。個人的には兄は冤罪だったと思うが兄自身はもう虫も殺さぬような平凡で退屈な自分自身に嫌気がさしており、弟に対する愛憎も踏まえて犯罪者になりたかったんだろうと考察。

女性が書く文章とは思えずとはいえ男性的でもないというか、監督文才もすごいな。

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2018年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以前から気になってた映画の小説版。聞けばこれが原作ではなく、映画後のノベライズだとか。

ノベライズということで期待はしていなかったのだけど、これは衝撃だった。それぞれ登場人物による語り、少しずつ明らかになる真実、兄弟関係。ぞくぞくした。
映画を見てみたくなりました。

西川美和は監督も脚本も自身で行い、しかも小説まで書けるとは何て多才な人なんだと思ったら、解説を読むと努力の人と言うのが分かる。すごいなあ。

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2013年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

つり橋から落ちて一人の女が死んだ。事故か殺人か。
人物の語りで物語が進み、お互いの「妬み」「愛情」が引き出される。
「どうしてお前と俺はこんなに違うの?」どこの家にもありそうで胸が痛い。

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2012年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

兄弟って
血が繋がってて同じ所で育ってきたから
ある程度何を考えとるか分かるし、
でもそれぞれプライドとか嫉妬とかもあって
素直な気持ちも大人になるにつれて
伝えにくくなっていって
ある意味1番複雑やなと思う

自分が思い描いていたこととは
大きくかけ離れたことが起きる度に
それぞれの登場人物の気持ちがゆれていくのが分かった

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2022年01月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

同著者の「永い言い訳」からこちらに戻る形で読んだ。
芥川龍之介の「藪の中」形式そのまんまで語られる内容は、誰が本当の事を言っているのか、読み手は惑わされながらサクサク読み進められるが、最後だけは「?」な感じ。どんでん返しを期待してたが、そのまんま終わってしまった。

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2016年10月21日

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