あらすじ
19世紀初頭、ナポレオンのロシア侵入という歴史的大事件に際して発揮されたロシア人の民族性を、貴族社会と民衆のありさまを余すところなく描きつくすことを通して謳いあげた一大叙事詩。1805年アウステルリッツの会戦でフランス軍に打ち破られ、もどってきた平和な暮しのなかにも、きたるべき危機の予感がただようロシア社交界の雰囲気を描きだすところから物語の幕があがる。
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Posted by ブクログ
「ナターシャピエールアンドざグレートコメットオブ1812」っていう、ものすごい長い、しかし戦争と平和のお話ですよーっていうアピールがすごいタイトルのミュージカルを、見るに当たって読まなきゃと思ったのだけど、まあ読み終わらない(T-T)初日が明け、観劇し、千秋楽が終わってようやくよみおわりました。
トニー賞を取った?あれ?とってないか、ノミネートされたやつなんだけど、冒頭に登場人物紹介ソングがあって、その紹介ソングと、ナターシャが生田絵里香ちゃん、ピエールが井上芳雄さんという顔変換があってやっと読み終われたの。ありがとう井上芳雄様。
だいたい、ロシア人、名前がややこしく、愛称が本名からはかけ離れてるという上に、名字にも何種類か呼び方があり、さらに男性と女性で同じ名字を別の呼び方するって言う。あげくに、お父さんと同じ名前を子どもにつけるの。もう、カオス。
おもしろかった!!
ただ、トルストイさんちょっとくどい。〇〇のような。。って、多くてまあ2つまでじゃない。「バラのような、少女のような」がギリなのに、こういう比喩表現を、もんのすごい、10こも11こも並べてくる。もはや何を表したいのかが迷子だわ。あと、クトゥーゾフっていう将軍が大好きすぎる。だれも嫌いとか思ってないのに、すごいかばってくる。しらんおじさんなのに、そんなにかばったらかえって怪しくない?
クトゥーゾフをかばわなかったら4巻の本が3巻ですんだな。
で、全部読んだ結果、そのナターシャピエールアンドザグレーとコメットなんちゃらが、ものすごくトルストイさんが表現したいことを端的にしかも詩的でおもしろく表現していることが分かった。作った人天才だし、このピエールを、こういう風にみんなに好かれるキャラクターとして再現する井上芳雄様天才だった。
トニー賞は取れなったけど、私が、トルストイで賞をあげる!!
トルストイさんは、天国の雲の上からめっちゃ感謝した方がいいよ。とおもいました。
Posted by ブクログ
ナポレオンが統治するフランスvsロシアを背景に
若者たちがどう生きていくか、が描かれている…が
なにせ4巻中の1巻、起承転結の起、物語は始まったばかり。。
登場人物は多いけどとりあえず、ピエール・ベズウーホフ、
アンドレイ・ボルコンスキィ、ニコライ・ロストフ、ナターシャ・ロストワを
押さえておけばなんとか読み進められます
「真実を語ることはひじょうにむつかしいことで、若い人で
それができるものはきわめてまれである」(p561)とあるように
若者が人生の岐路に立ち、これから迷っていく、そのスタートラインの第1巻。
2巻も楽しみです。
Posted by ブクログ
全4巻、2500ページ余りからなる巨作です。19世紀初頭、ヨーロッパに吹荒れたナポレオンの嵐、そしてナポレオンによるロシア遠征(ロシアでの呼称は「祖国戦争」)とその失敗、アウステルリッツの戦いなどの歴史的背景を盛り込み、戦争に関わる貴族、軍人、そして農民たちを描いています。登場人物は550人を超えるが、それぞれの人を人間味溢れ、魅力的に描くのがトルストイの特徴でもあります。
実は、学生のときにチャレンジしたのですが、1巻を読み終えることができずリタイアした思い出があります。今回も1巻には苦戦しましたが、1巻の後半になると、アウステルリッツの戦い、三帝会議など歴史物のテンポの良さが出てくるので、そこに行くまでに折れなければ、その後は結構スラスラと読めてしまいます。4冊の大作小説の最後に待っているエピローグは、この小説を通して語られる人間愛、人生観、歴史観を総括していると言えるでしょう。ただ、ここだけ読んでも「何のこっちゃ?」です。
意志の弱い主人公ピエールが、社交界の花形婦人エレンとの結婚生活、フリーメーソンとの出会い、戦争体験、捕虜生活を経て、真の愛に目覚めていく壮大な流れは、小説を読み終え振り替えると、新しい視野の広がりと言葉にならない感動を覚えます。
Posted by ブクログ
「この一線を越えるのは恐ろしい、だが、越えてみたい気もする。」
アンナ・ミハイロヴナによるボリスのための画策、アンドレイ公爵による死への願望、ロストフによる皇帝への羨望。様々な人間が様々に交差しながら、それぞれの信念のもとに行動している小説。舞台はものすごい広がりを見せる。