あらすじ
すべての親子への応援歌!
『だるまちゃんとてんぐちゃん』で知られる著者の歩んできた道のりとは?
19歳で敗戦を迎え、態度を変えた大人に失望した著者は
「子供たちのために役に立ちたい」と、セツルメント活動に励むようになる。
そこでは、絵本創作の原点となる子供たちとの出会いがあった――。
90歳の国民的絵本作家から、未来への希望のメッセージ。
解説・中川李枝子(『ぐりとぐら』)
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Posted by ブクログ
かこさとしさん、なんて大きな温かい視点で、絵本を書いていらしたのでしょう。
命をかけた人々の思いを胸に、戦後の全ての変化から、迷いながら大切なものを自分の視点で考え、子どもたちの未来に行きついたこと。仕事も、絵本作家としても、人生そのものに妥協せずに、誠実に生きていらしたこと。どの絵本も子どもたちから学んだことを隅々にまで気を配り、よく考え考え、作り上げてきたこと。
特に科学絵本を書く際に、子どもたちに向けて責任を持って「見取り図を描く」姿勢には頭が下がる。
戦争に深く後悔されたかこさんだからこそ、非戦の絵本を読んでみたかったとしみじみ思う。
Posted by ブクログ
絵本作家として有名なかこさとし氏の半生と、未来の子供たちへの想いが綴られた本作。
前半は朝ドラを楽しんでいる感覚で、後半は子どもを育てていく大人のための参考書として読ませてもらった。
著者は絵本作家だが、工学部出身で、50代半ばまで一般企業の研究員として働いていたということに驚かされた。
幼いころから絵が好きで、親の目を盗んで風呂沸かししながら絵の練習をしていたこと、学生時代には工学を学びながら、文学や演習の勉強をしていたこと、社会人になってからは仕事と子どもとの交流や作品作りを2足のわらじを履きながら続けてきたこと…常に生活とバランスをとりながら絵本作家としての自身を築き上げてこられてきた。
純粋にすごいバイタリティだと思うし、人間本当にやりたいことであれば置かれた環境を言い訳にせずに、どれだけでも打ち込めるものだと思い知らされた。
また、専攻してきた学問の知識や、社会人としての経験が、作品を作る上での基本的な哲学になっているのも感じた。子ども騙しの見かけのみの演出だけではなく物事の本質に迫ろうとする姿勢が、何世代にも渡って子どもの心を掴み続けてきたのだと思う。
自分も幼少期に愛読していたカラスのパン屋さんなどのあの好きなページに隠された作者の考えなども知れてよかった。自分の子どもにもぜひ読み聞かせしてあげたいと思う。