あらすじ
★ほぼ日代表・糸井重里氏絶賛!!
「どんな聡明な人でも、失敗はする。背筋が寒くなるけれど、読みだしたら止まらない」
★著作累計200万部突破!30カ国で刊行の世界的ベストセラー!
★世界的イノベーター・著名人が続々推奨!
・ダニエル・ピンク(『モチベーション3.0』著者)
・リチャード・ブランソン(ヴァージン・グループ創業者)
・ジェームズ・ダイソン(ダイソン創業者/発明家)
◎あらゆる失敗に通じる「原因」と一流組織が備える「学習システム」のすべてがわかる!
・なぜ10人に1人が医療ミスの実態は改善されないのか?
・なぜ墜落したパイロットは警告を無視したのか?
・なぜ検察はDNA鑑定で無実でも有罪と言い張るのか?
オックスフォード大を首席で卒業した異才のジャーナリストが、医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツチーム…あらゆる業界を横断し、失敗の構造を解き明かす !
■虐待事件で正義感に目覚めた市民が、役所の失態を責め立てた結果、どうなったか?
■「ミスの報告を処罰しない」航空業界が多くの事故を未然に防げている理由は?
■撃ち落された戦闘機に着目した天才数学者が、戦闘機の帰還率向上をもたらした洞察とは?
■治療法が発見されていながらも、「人類が200年放置し続けた病」があるのはなぜ?
<目次>
第1章 失敗のマネジメント
「ありえない」失敗が起きたとき、人はどう反応するか
「完璧な集中」こそが事故を招く
すべては「仮説」にすぎない
第2章 人はウソを隠すのではなく信じ込む
その「努力」が判断を鈍らせる
過去は「事後的」に編集される
第3章「単純化の罠」から脱出せよ
考えるな、間違えろ
「物語」が人を欺く
第4章 難問はまず切り刻め
「一発逆転」より「百発逆転」
第5章「犯人探し」バイアス
脳に組み込まれた「非難」のプログラム
「魔女狩り」症候群 そして、誰もいなくなった
第6章 究極の成果をもたらす マインドセット
誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる
終章 失敗と人類の進化
失敗は「厄災」ではない
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
ミスを隠す傾向がある医療業界とミスを共有する風土がある航空業界が、結果としてこうも違ってくるのかと序盤から惹きつけられる内容だった。
個人としてももちろん、上に立つ立場の人には是非読んで欲しいと思った。
「失敗は成功の元」という言葉があっても、やはり失敗したくないと思うのが人間。でもこの本で失敗から学べることの多さや重要性を多くの具体的な事例から知ることができ、考えさせられることがたくさんあった。失敗を臆することなく、挑戦し続けるマインドが社会全体に広がれば、世界はもっと変わるだろうなと思わされた一冊。
Posted by ブクログ
まず興味深い事例がたくさんあり、読み物として面白い。かつ、組織運営する立場からすると、組織学習(フィードバック)をいかにデザインするか、多くのヒントと示唆に富んでおり、実務にも活かすことができる良書。おすすめです。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ勉強になりました。
■ ポイント
- 失敗を許容し、失敗経験を前向きに捉えてデータとして分析して次に活かす文化がない環境だと、認知的不協和、外的非難などにより失敗が隠される→クローズドループにより失敗が認識されない状況となる、すなわち失敗の再発防止がなされない=失敗確率が減らない
- メソッド
- マージナルゲイン→分割した小さい成功の積み重ね
- リーンスタートアップ→アジャイル
- RCT(ランダム化比較試験)→反事実取得
- 事前検死→実施前失敗シミュレーション
■ アクション
- 失敗を認め、データとして分析、そこから学ぶ
- そういった環境づくりをする、それがないと認知的不協和や外的非難によるクローズド・ループの温床となる
- 行動してガンガン失敗しろ、そこから学べ
- 失敗できるようアクションしろ、アウトプットしろ→アジャイル
- 自分は神ではない、間違うこともあると信じる
- 公明正大でいく
- RCTで反事実データも取得する
- 失敗指摘を愛す
Posted by ブクログ
とにかく面白いのでどんどん読める感じ。
失敗を恐れる、失敗を恥じる、社会に属する人間の心理。これにより失敗を隠してしまい改善のチャンスを逸してしまう。クローズドループ。もし、無人島に1人だったら人は何度も失敗してサバイバルするだろうに、と思った。それをうまく実践できているのが航空業界。
洗剤メーカーのノズル形状の改善の話では、流体や数学の専門家による改善案ではうまくいかず、生物学者らによる考えうる形状を多数試して、その中で一番良い結果が得られた形状をベースにさらに様々な改善を施した形状で試して、を繰り返して、最終的に改善に至る。まさに生物の自然淘汰である。採用されなかった形状は全て失敗である。要はたくさん失敗することで成功に辿り着く例である。宇宙もマルチバースなのではと思ってしまう。
その他にも、マージナル・ゲイン、リーン・スタートアップ、RCT、事前検死、など失敗から学ぶいろいろな手法があることを知れた。
著者は外国人であるが、なぜか日本の話が出てくる。
Posted by ブクログ
大切だと思ったこと
・質より量
用意周到に準備して臨むよりも、試行錯誤を繰り返しながら成功に近づく。最初の一歩をいかに早く実行に移せるか。
・成長型マインド
失敗は欠かせないもの。学習のチャンスと捉え多面的に分析する人こそ成長していくということ。
・データで分析
検証する時にイメージと感覚だけで行うと人間は都合のいいように作り替えてしまう。航空業界のブラックボックスのように動かし用のないデータで検証することでより信憑性の高い振り返りとなる。データがない場合は意図的にデータを取り入れる仕組みを作れ。
・失敗を受け入れる風土作りが全て
懲罰ではミスの報告が減っただけで実際のミスは減らない。組織全体が失敗をウェルカムに失敗から学ぼうとするチームは必ず成長する。そのためには処遇を決める人への信頼が大切。
考えたこと
かといってなんでもかんでも失敗していいわけではない。「失敗しました~」と軽く報告するヌルイ組織であってはいけない。
あくまで、前に進むために挑戦し考え創意工夫を凝らし、個人やチームが前に進むためにやろうとした行為に対しての話しかと思う。その辺りの線引きが難しい。
Posted by ブクログ
「失敗は成功のもと」が丁寧に解説されている。
実際の航空事故、医療事故などが臨場感たっぷりに描かれていて引き込まれるし考えさせられる。
・進化・成功のカギは「失敗とどう向き合うか」
・チームワークが機能すれば、緊急事態でも部下は意見を言いやすい。
・フィードバックが無ければ何年訓練や経験を積んでも向上しない。
・失敗に対してオープンで正直な文化があれば、組織全体が失敗から学べる。
・失敗から学ぶには、システム(失敗を最大限に活かすシステム)、スタッフ(躊躇なく情報提供できる)の2要素が不可欠。
・フィードバックを重視し新たな状況への適応を続ける姿勢が進歩や進化をもたらす。
・認知的不協和=自分の信念と事実が矛盾している状態、或いはその矛盾によって生じる不快感やストレス。解決方法は自分の間違いを認めるか、否定。否定は簡単で認めるのは難しい。自分が認知的不協和に陥っていることには気づきにくい。
・累積淘汰=選択・淘汰の繰り返しの結果。試行錯誤を経ないシステムは弾力を失う。だから計画経済は機能しなかった。
・反事実=もし〜をしなかったら起きたかもしれないこと(結婚しなかったら、等)。反事実は目に見えないが、ランダム化比較試験(RCT。小さい要素に分けて比較する)で検証可能。
・マージナルゲイン(小さな改善)を積み重ねると大きな進化になる。大きなゴールを小さく分解して一つ一つの改善を積み重ねる。
・失敗から学べる人と学べない人の違いは失敗の受け止め方の違い。失敗を自分の成長に必要として受け止めるか、才能がないからと捉えるか。
・最も早く進化を遂げる方法は、失敗に真正面から向き合い、そこから学ぶこと。
Posted by ブクログ
失敗を前向きに捉え、失敗から学ぶことの重要性を論理立てて腹落ちさせてくれる。多くの人にとって失敗はネガティブなもので無意識のうち避けてしまうものだと思う。側から見れば明らかな失敗でも認知的不協和のために受け入れられないのも人間の性質かもしれない。しかし失敗を直視し、そこから学ばなければ進化は無い。本書で印象的だったのは失敗から学ぶカルチャーがある航空業界と反対に失敗を隠蔽し直視しない性質がある医療業界。どちらも人命に関わる重大な業界である点は共通しているが、失敗に対する姿勢が異なる。もちろん失敗を受け止め、改善する姿勢の航空業界の方が進歩を続けてきた歴史がある。個人としても失敗を恐れず、むしろ早めに挑戦と失敗を経験しようと思えた。
Posted by ブクログ
沢山の事例と共に失敗から学ぶことの大切さを理解させられた本だった。
最後に失敗を想定し、失敗ありきで設計することの大切さが書かれている。
まさにこの本が沢山の失敗の事例を並べ、そこから学びを得るという構成になっている。
失敗と向き合うことは時に難しいし大変だ。
失敗を公にすれば、人に非難され、自分の評価がさがるかもしれない。
大きな失敗になればなるほど人には言いにくい。
しかし、失敗と向き合わないと成長はない。失敗を前向きに捉える個人になり、組織もそのように変えていくことが大事なのだと感じた。
Posted by ブクログ
失敗から学ぶことの重要性、いかにして失敗を活かせる組織に変えていくかを述べた、得るところの多い本。
失敗から学習することができた業界として航空業界が、学習できない組織として、医療業界や警察、検察が例示されているのも、すごく説得力がある。
"人は誰でも、自分の失敗を認めるのは難しい。•••特に、何かミスをして自尊心や職業意識が脅かされると、我々はつい頑なになる。"
そして、"人は失敗を隠す。他人から自分を守るばかりでなく、自分自身からも守るために、失敗を記憶から消し去る"こともしているらしい。
だからこそ、検証すること、立場や組織の上下関係に関わらず、リスクを指摘し、打開策を相談し合える環境、そして上に立つ人ほどその指摘を受け入れられるマインドになることが重要。
失敗から学ぶことは最も「費用対効果」がよい。何か大きなプロジェクトを始めるときには、全てを「失敗ありき」で設計し、パイロット•スキームで検証する、ということを取り入れていきたい。
また、常に"誰でも、いつからでも能力は伸ばすことができる"と信じる「成長型マインドセット」でいることも重要。
日本は起業家が少ないと言われるが、それを打破するためには、子供や若手に成長型マインドセットの思考を植え付けていくことも大事だと思う。
Posted by ブクログ
引きずり込まれるように一気に読んだ。
人は緊急時には、たとえその道に熟練していても、平時には考えられないようなミスをすることがある。一種の心理的なバイアスがかかるから。
ところがその道に熟練している人であればあるほど、そして権威になればなるほど、そうしたミスを認めようとしない。本人は本当に「ミスの原因はほかにあるのだ」と信じ切っているのだ。これも一種の認知のバイアス。
また正しいと思われていることでも、対照実験を行うと実は正しくなかったとか、効果がなかったというケースも実に多い。
だから失敗は重要な学びの機会なのだ。失敗を深く分析することによって人は進歩できる。
個人レヴェルでも組織や業界の風土としても、失敗に対してオープンな成長型マインドセットなのか、失敗に蓋をしてしまう固定型マインドセットなのかによって、結果は大きく違ってくる。
「失敗を科学する」-座右の銘にしたい。
Posted by ブクログ
掛け値なしに面白く、学びの多い一冊でした。
原題は「Black Box Thinking」というもので、「失敗」から学ぶことの大切さが、様々な興味深いエピソードから示されます。
あっ!という面白い気づきがあったのは、米軍の爆撃機について、装甲をどの部分に装着するのが良いのか、というエピソード。
軍司令部は、「無事に帰還した」爆撃機の損傷具合の検証データを元に、砲撃を受けていないコックピットと尾翼以外の、たくさん穴が開いていた部分に装甲を施せばいい、と判断します。
ところが、ある人物が、「帰還しなかった」爆撃機のデータを考慮していないことを理由に、その案に反対します。
すなわち、帰還した爆撃機のコックピットと尾翼に穴がなかったのは、「そこを撃たれたら帰還できなかった」という事実を示しており、逆に帰還した爆撃機の穴は、「そこなら撃たれても耐えられる」ということを示す検証データだったのです。
著者はこのエピソードを踏まえ、「失敗から学ぶためには、目の前に見えていないものも含めた全てのデータを考慮しなければならない」と言うのですが、これは本当に盲点でした。
旧共産主義圏での計画経済の破綻については、企業は補助金などで倒産の危険から守られている、つまり「誰も失敗しない」システムであったため、失敗による試行錯誤が出来ずに進化の機会を失ったゆえの帰結だと指摘します。
この点が、倒産による市場からの撤退という「失敗」があり得る自由市場との違いです。
自由市場は、倒産という進化のプロセスに必要な失敗を、そのシステムに組み込んでいるからこそ進化でき、今もなお継続しているのです。
こういったエピソードに加え、人は失敗した時に自分の過ちを認めずに事実の解釈を変えてしまったり、かえって自己を正当化してしまうこと、小さな改善(マージナル・ゲイン)こそが大きなゴールにつながることなどが示されています。
あと、「あるある」と頷いたのは、何か事故や事件があった際、それが様々な要因が絡み合ったものであるにも関わらず、脊髄反射的に出来事を単純化し、「誰の責任か」を追及することに躍起になったり、「魔女狩り」に陥ってしまうこと。
誰かのせいにして非難するだけでは、決して問題の解決にはつながらないのです。
自分自身もよく失敗を犯しますし、組織として時に失敗することもあります。
失敗から学ぶためには、ある意味では失敗に寛容になり、失敗についてのあらゆる情報を出し惜しむことなく、原因追求に向けフィードバックをきちんと行うことが大事です。
失敗から学ぶことは、進化のために必須なのです。
Posted by ブクログ
これはとても素晴らしい内容だった。
もっと早く知っていればと思った。
義務教育で失敗学として学べば世の中が優しくなると思わされるほど、少しずつ勇気が湧く内容だ。
第1章
航空業界はオープンで、失敗から学んでシステムを改善しているので、高い成果を上げている
医療業界はクローズドで、全く失敗から学んでいないし、学ぼうとする姿勢がない
ヒューマンエラーの多くは設計が不十分なシステムによって引き起こされる
フィードバックは道を示す「明かり」
整理された読みやすい報告書大事
第2章
認知的不協和
冤罪はこれのせいでなかなか解決しない
エリートほど厳しい加入儀礼を通過しているため、失敗が認められず、自己正当化や保身の衝動に走ってしまう
認知的不協和が何より恐ろしいのは、自分が認知的不協和に陥っていることに滅多に気づけない点にある。
認知的不協和は「外発的な動機づけ(評価や賞罰などの外部要因)」によって起こると誤解されがちだ。しかし、これだけでは認知的不協和の影響を説明しきれていない。問題は「内発的な動機づけ(バイアスなどの内部要因)」にもある。むしろ内発的な方が影響が強い
わざと間違える、失敗することが確証バイアスから抜け出せる
記憶は「編集」可能
第3章
試行錯誤がテクノロジーや発明やイノベーションを生み、それがのちに論理化・体系化されていく
リーン・スタートアップなど失敗型の開発が結果的にはコスパが良い
スティーブ・ジョブズでもフィードバックは必要だった
ランダム化比較試験という特に重要な検証法
「反事実」は目に見えない
RCTは「全体」を見ないといけない、長期的・包括的に
第4章
マージナル・ゲイン(小さな改善)
問題が大きいとRCTは機能しないので、問題を小さく分解する
ホットドッグ早食いの小林尊もマージナル・ゲインのアプローチを行っていた
第5章
処遇を判断する立場の人間を、スタッフは信頼しているか?
「プロジェクトの6段階
1. 期待
2. 幻滅
3. パニック
4. 犯人探し
5. 無実の人を処罰
6. 無関係な人を報奨」
我々が非難の衝動と決別するためには、相当な努力と覚悟が必要
失敗からの学習が非難という外圧によって妨げられる
第6章
プロセスに失敗が欠かせないと強く認識する人に成功者は多い
失敗から学ばない傾向を克服する方法
失敗の受け止め方の違い(マインドセット)
成長型マインドセットの人は、失敗を自分の力を伸ばす上で欠かせないものとしてごく自然に受け止める
固定型マインドセットの人は、失敗を「自分に才能がない証拠」として受け止める
グリット(GRIT)(やり抜く力)・スコアが良い指針
成長型マインドセットは「合理的」にあきらめる
失敗に対する恐怖心が日本人は高い
終章
究極の失敗型アプローチ「事前検死」
まずチームのリーダー(プロジェクトの責任者とは別の人物)は、メンバー全員に「プロジェクトが大失敗しました」と告げる。メンバーは次の数分間で、失敗の理由をできるだけ書き出さなければならない。その後、プロジェクトの責任者から順に、理由をひとつずつ発表していく。それを理由がなくなるまで行う。
Posted by ブクログ
失敗に向き合って学べというシンプルなメッセージだが、丁寧な事例の説明によりとても分かりやすい。暗闇の中でのゴルフ練習という言い方が印象に残る。
Posted by ブクログ
失敗することの大切さを、具体的な事例とともにわかりやすく教えてもらえる良本です。
何度も読み返したい本です。
それでも間違えることが怖くて躊躇してしまったり、失敗したことを恥ずかしくて隠してしまう自分がいます。
なので、何度でもこの本を読み返し、失敗を恐れず、自分の成長のためにどんどん失敗して改善できる人になります!
Posted by ブクログ
失敗の原因は、失敗を失敗と認めない思考回路、「クローズド・ループ」にある、とする。これにはまり込むと、「失敗から学ぶ」というフィードバックが止まってしまう。
誤審を認めない検察、医療過誤を認めない医療施設、犯罪者の更正プログラムが機能していると疑わない行政など例が続く。
逆に失敗を共有し再発防止に役立てる、「オープン・ループ」が機能すると目覚ましい成果が上がる。好例が航空業界、とする。
人は失敗から学ぶ姿勢がある人とそうでない人に分かれ、会社も成長型企業と固定型企業に分かれる。
ではどうする?という次の思考につながる、ヒントになる一冊。好著。
Posted by ブクログ
失敗に対してはネガティブな気持ちがどうしても湧いてくるものであるが、健全で前向きな姿勢を保つことが失敗から学ぶことの本質のように思える。
バイアスからは誰も逃れることができない。一度、事象を経験すること、他者からの気付き(観察)、情報共有などによって事前にある程度対策を行うことができるが、初めてのケースについては、自分達が現場で判断しなければならない。その際は何を基準に正しいと思える行動をとることが可能になるだろうか。判断力の軸を作るには、様々な失敗事例を知っておくことが最短なのかもしれない。
本書は物語調で話が展開されていくため、一冊の読み物として興味深い内容である。客観的に見ればそれはおかしい、と気付けるものもある。
だが、主観的、言い換えればそのケースの当事者であるなら、加えてその業界の経験を多く積んできたベテランであるなら、自身の経験を優先して視野が狭くなってしまうこともあるのだろうと思う。
失敗を恐れるなとまでは言い切れないが、失敗からの学びは時に成功より勝るという考えを抱くに至った学びの多い一冊である。
Posted by ブクログ
失敗=悪、起きてはいけないこと、捉えるのではなく、改善への貴重なデータや情報収集の機会と捉えられるかどうか。医療界、航空界の対比がわかりやすく面白い。組織全体を変えるにはまずトップ層、リーダー層が失敗に対して個人責任のなすりつけあいや非難から入るのではなく、組織としての課題解決にまず目を向けるという、意識と行動が何より大切とわかった。
Posted by ブクログ
“失敗は防ぐものではなく、活かすもの”という視点を徹底的に突きつけてくる一冊。成功企業ほど、失敗を隠さず共有し、学習し、改善する「オープンな仕組み」を持つ。ベンチャーを経営する中で、失敗を個人の責任にせず“学習の材料”として扱う文化づくりこそ、組織の成長速度を決定づけると痛感した。失敗にどう向き合うかが、未来の成果を左右する。
Posted by ブクログ
失敗することは恥ずかしいと思いがちだが、失敗なくして進歩はないと筆者は訴えている。本書の中でも言及があったが、日本では失敗は不名誉なものと見なされる傾向があり、そのため日本には起業家が少ないというデータが出ている。イノベーションなくして経済発展はないのであるから、日本人は失敗=不名誉という考え方を改めるべきであると思う。
Posted by ブクログ
事故やミスが起きたあとの処理の仕方や、今後への活かし方が、医療業界と航空業界では真逆であること。
トップダウン型がいいのか、ボトムアップ型がいいのか。
ただどこの業界でも、権力者や重鎮がみっともなく権力にすがるのはどうにかならないものか。
失敗を成長の糧とする方法
航空業界の事故分析や医療ミスの事例を通じ、失敗を隠す文化が学習を阻害し、イノベーションを妨げることを指摘。
失敗をオープンに共有し、システム改善につなげる航空業界のアプローチを高く評価し、対照的に医療業界の隠蔽体質を批判。
心理学や経済学の知見を交え、失敗を恐れず試行錯誤を重ねることの重要性を説く。
特に「エラー関連陰性電位」や「事前検死」などの概念は新鮮で、個人や組織のマインドセット変革に示唆を与える。
日本の失敗を避ける文化にも一石を投じる内容だ。文章は具体的で読みやすく、ビジネス書ながら物語のように引き込む。
ただし、事例が多岐にわたり、結論に至るまでやや冗長な印象も。
Posted by ブクログ
いろんな例があって興味がある分野の話は楽しく読めた。
子育てに活かせそうなところ
失敗しても感情のままに怒らずに次からどうするかを一緒に考えること。
ミスや失敗を言いやすい環境を作る。
ミスを許さない組織(家庭)・組織内で上下関係が厳しいと失敗しても言えない・失敗を認められなくなる。→助けを求めることも難しくなるかも。
Posted by ブクログ
わりと当たり前の事を様々な事例を交えて伝えているが、結論より事例のボリュームが多くて、若干読み飽きてしまった。
哲学者カール・ポパーの「真の無知とは、知識の欠如ではない。学習の拒絶である」という言葉が印象的だった。
失敗から学び、挑戦し続ける姿勢をいつも忘れないようにしたい。
Posted by ブクログ
1章
医療事故と
航空機事故を比べている。
医療のほうは失敗に対するフィードバッグが少ない傾向にり、失敗の教訓から再発防止につながらない側面がある。
航空機事故は事故原因を究明し、対策が取られ、全パイロットがその情報にアクセスできるようになっている。またそれらを研修などで習得するシステムが出来上がっている
のちのフィードバッグがない状況では、成長が鈍化する。検査技師は目の前の判断が時間を経てどんな結果につながったのかを確認する手段が少ない。医師は事故があっても「まれにあること」として原因究明につながらないことがある。また、「検死」の実施が少ない。検視はっ状況把握や、死の原因を探ることができる貴重な機会で情報の宝庫だ。しかしなされていない。
医療事故に対する医師の対応の差が書かれていた。
事故正当化をする医師は・・・?ここ内容忘れた
事故を認めた医師は、所属する病院全体の意識がかわり、事故対応や情報共有が進んだ。今全米で安心できる?病院の上位ランクにいるらしい。(手術中に造影剤と消毒液を間違って注入し、女性が片足切断、のちに12日ぐらいだったか?死亡する事故が起こっている。要因の一つに2種類の自販機が同じ色?形?の注射器に入っていたからだとされていた。◆なかなか衝撃的だ。改革の中で、ミスは自分で申告、ミスを見つけたら伝え合うことで、原因の共有対策が進んできた。はじめミスした人は叱責されるのでは?と不安に思っていたが、聞いた人より、そんな可能性があるのか、教えてくれてありがとうとプラスのフィードバックがあり、お互いにミスを報告しやすい環境になっていった。)
過集中では時間間隔がゆっくりになる。
航空機事故を起こしたパイロットは、危機対応中、副操縦士の燃料不足について申告があるも。時間はまだそんなに立っていないと無意識的に誤認し、時間を見誤っていた。予想より早く燃料が不足し・・・
医療事故では、看護師は器官切開の準備をして声をかけたが、医師らは自分のできることに固執し、無視した。器官切開時点で危険な時間に入っており、医師の時間間隔が伸び、体感が長くなっていた。
礼儀正しさ、年上を尊重する気持ちが失懸念点を強く指摘できないことにつながる。
気管支切開を準備した看護師は、今処置しているベテラン医師はじぶにょり優れており、今話しかけると、集中を途切れさせると思い、強くいうのを中所した。
状況が切迫してきた航空機ピッtpでは副操縦士がパイロットに懸念をしっかり伝えられずにいた(◆ここの副操縦士の心境について覚えていない。後で確認して書こう)
2章
努力は事実を誤認させる
間違えを正当化する人は自分の考えに固執し、自分都合の言い訳を並べる。失敗を認めることは過去の自分を批判することにつながり、恐怖感を抱かせる。逃避行動として自己弁護に走る。
教祖の世界崩壊説を信じた信者の観察が載っている。
世界崩壊日に実際何も起きず、信者は何もなかったという事実を、リフレーミングし、自分都合の内容に思い直した。預言は正しく、世界崩壊を信じていた人々がいたので、神はお目こぼしで世界崩壊を阻止した。我々がいたから世界は救われた。世界崩壊は起こらなかったが、わたしたち崩壊を阻止し新しい世界が始まったの。今から素晴らしくなると主張している。(◆生存者バイアスでその当時はおかしかったが、今から見ると正しいかったとされることが多くある。過ちが正当化され、多くの人がそれに無関心か信仰を持つようになると一般化されることにつながる。・・・この感想自分で書いてるけど、世界崩壊が何度も出てきてゲシュタルト崩壊w)
読みたいこと
失敗とは、ある目的や目標を達成できなかった、期待した結果を得られることができなかったこと。そもそも、目的や目標を自分の中で把握していなければ起こらない事態だ。
だが失敗とは認識できない過ちがある。
今の失敗を見返して、あぁあの時も間違っていたんだと気が付くあれだ。
法律では知らなかったでは済まされず、自分に過失があれば裁かれる。
だが明文化されていない、自分でも気が付いていない思い込み、マイルールを大きく否定、破壊されたらどうなるのだろうか?もちろん否定し、考えを停止する。
その後人はどう行動しどうとらえていくのか・・・そんな答えがこの本にあるのかなぁ?
長い。事例が重い!
ニアミスからので生還パイロットの話が泣ける(´;ω;`)ウッ…
Posted by ブクログ
ミスは必ず起こる。ミスをした人を抜歯。完全に統制しておけば、物事は完璧に進むのだろうか?
本書は、そうではないと言う事の実例と失敗が起こったときに、人は何を感じるのか、またそれを避けるためには、どのようなマインドセット考え方を持たなければならないのか。読んでみれば当たり前のことではあるが、考え方を変えることの難しさは自覚しておく必要があるだろう
Posted by ブクログ
まあ、読み物的には面白かったと思います。
航空業界が徹底的に失敗をあぶりだし、機内デザインからオペレーションから要員配置など多くの日常業務を「失敗」から得られる教訓をもとに洗練化している、と。
それに対し、医療機関はミスを偶然と見做し、その間違いを分析せず、むしろ分析や調査結果を信じず、自分の考え(まさに信念?)に固執するという。
医療機関の旧態依然たる状況に背筋が冷えるとともに、英国自転車チームの「マージナル・ゲイン」の考えなど、勇気づけられるお話もありました。
またある事象とその結果との因果についてRCTという手法を使い、政策やアクションの効果の有無を確認し、「そうなると思う」をデータで検証(データで否定・肯定する)方法などは興味深かったと思います。
・・・
では、この本を読んですぐに現実に応用できるかというと、それはちょっと難しいと感じます。
・・・
私のやっている仕事は数字をまとめるような仕事なのですが、DBからデータをダウンロード、エクセルを駆使してピボットテーブルを作る、マクロで集計をする、最後に報告用フォーマットにコピペするなど、兎に角マニュアル作業が多い(マクロを組んで大分楽になりましたが)。
私もかつてシコタマ間違いをしまくって、自分で作ったミスを発見するのに数時間かかるのが良く続いたものです。
いま部下が同じ状況ですが、やはり失敗に対して自己認知が出来ないと、失敗を生かすことはできないよなあ、と感じています。
彼女は、自分が作った成果物にも関わらず「これ、数字が合いません」とか平気で言います。「何故ですか? どうやって作ったのですか? 調べてください。手順を一つずつ追ってください」などと突き返し、時にミスは見つかるし、時に見つからない。
その間違いについて毎回ここがこうだああだと一応指摘してるのですが、一向に改善しません。むしろ彼女をうまく引き上げられない私がおかしい、と思われている節もあります。ただ、自己認知を促すべく禅問答みたいに質問に質問で返すことが多いのですがこれが悪いのかもしれません笑
かつて私が一人で業務をこなしていた時は「あー、こんなクソみたいな仕事で、しかも自分の仕出かしたミスで午前一時まで仕事するなんて耐えられない!」と切れたときから自分のミスを直したい、と強く感じ始め、どういうミスがどういうタイミングで起こるのか、自分に興味が出てきました。またこうやって省察できるとプロセスの余分な部分や時間がかかっている部分についても良く見えるようになったのですがねえ。
・・・
で話は戻りますが、本書。
失敗に取り組むにはまさに組織的にやらないと難しいでしょうね。ミスを取り仕切るような人材が必要でしょうが、ただミスを指摘するだけの部署を作ってもどうしようもないでしょうし、所謂「(失敗を尊ぶ)カルチャー」の醸成も必要でしょう。でまたこれが難しい。
RCTについても統計の専門家がいれば、何らかのイニシアチブの効果を社内で確認する、或いは外注して調べることもできると思います。ただそういう余資があるような団体も今日び珍しいでしょうね。
・・・
ということで、一時有名になったビジネス書を読んだという事でした。
ビジネス読み物としては面白いです。が、仕事に生かそうと意気込む人は空振りする可能性が高いと思います。
までも、参考にはなります。自分の仕事の在り方を改善したいという方は、読んでおいて損はない本だと感じました。